今回から、KORG Gadget for Nintendo Switchの使い方について徹底解説します。
チュートリアル形式で、実際にトラックを作りながら、コルガジェの基本操作を覚えていきましょう。
本来ゲームマシンであるSwitchで行う曲作りの特徴は、何と言ってもJoy-Conを駆使してのボタン操作がメインになること。
ドラムガジェットのパッドなど、一部タッチパネルを使うこともありますが、あくまで「画面上で操作したいツマミやスライダーにカーソルを持っていき、スティックでパラメーターを変える」操作が基本です。
前置きが長くなりましたが、とにかく実際にやってみるのが一番の近道。
この記事の通り操作すれば、すぐさま快適に操ることができるようになりますよ!
ドラムパターンを入力する
今回から、「ドラム」「ベース」「コード」の3トラックで、ソングを作ってみたいと思います。まずはドラム編。
① ソフトを起動し、ドラムマシン・ガジェットを選ぶ
KORG Gadget for Nintendo Switchを起動します。
タイトル画面でAボタンを押すとメニューが表示されます。「新規作成」を選んでください。
ガジェット・セレクターが表示されます。
Switch版KORG Gadgetでは、この16種類のガジェット音源を駆使して曲作りを行えます。
そして、これから行おうとしているのは「ドラムの入力」でしたね。
それにふさわしいドラムマシンは、London、Tokyo、そしてAmsterdam。
それぞれユニークな特徴を持つガジェットですが、今回はオールマイティーに使えるLondonを選んでください。
② キックを入力
ガジェットセレクターでLondonを選ぶと、これから曲作りを行うソングの「オーバービュー画面」が表示されました。
すでにLondonのトラックができていて、打ち込みのスタンバイOKです。
今カーソルが合っているクリップ上で、Aボタンを押してください。
これから演奏データを打ち込む画面「ピアノロール」が表示されました。
何やら、マス目が並んでいますね。ここに演奏データ「ノート」を入力して、トラックの打ち込みを行います。
早速、ダンスミュージックの基本中の基本「4つ打ちキック」を入力してみましょう。
4つ打ちとは、1小節に4分音符で4回「ドン・ドン・ドン・ドン」と打ち鳴らされるリズムのこと。キック(バスドラム)で鳴らされ、これを聴くと自然と踊りたくなるマジカル・ビーツ。
こんな感じで、左から「1・5・9・13」マスにカーソルを持って行き、Aボタン。
上のように打ち込めたら、Yボタンで再生してみましょう・・・お馴染みの「4つ打ちキック」が、延々繰り返されますね。
③ キックの音色を変更
4つ打ちキックをプレイしたまま、ピアノロールの一番左に目を移してください。
ここに表示されているのはプログラム。つまり音色名のことで、8つあることがわかります。
ちなみに、このプログラムを一括りにしたグループのことをドラムキットと呼びます。
ドラムキットごと変更する
今鳴っている4つ打ちの音を、別の音に変えてみましょう。
右Joy-Conの+ボタンを押すと、画面移動を行えるスクリーンが表示されるので「ガジェット」を選択。
すると、Londonのガジェット・パネルが表示されます。
このガジェット・パネル上で、Londonの音色を選んだり、作ったりができるのです。
今度は。ドラムキットごと切り替えてみましょう。パネル左上にあるDRUM KITにカーソルを合わせ、Aボタンを押すと・・・
ドラムキットがリスト表示され、好みのキットを直接呼び出すことができます。
Londonのドラムキットは、全63種類から選ぶことができます。なお、DRUM KIT表示窓の右にあるSELECTボタンを押すと、キットを一つずつ変更できますよ。
プログラムだけを変更する
ドラムキットはそのままに、プログラムだけを個別に差し替えることも可能。
プログラム名が表示されている表示窓にカーソルを合わせてAボタンを押すと、膨大なプリセットから任意の音色を選択できます。
ポップアップの左にあるのは、プログラムのジャンル。最初にジャンルを選んでから音色を絞り込めば、素早く目的の音を探すことができます。
…少々長くなりました。キックの打ち込みは、この辺りにしておきましょう。
④ スネアを入力
今度は、スネアを打ち込んでみます。
+ボタンを押してピアノロールへ移動し、以下のようにノートを置きましょう。
下から三番目のパートがスネアです。その行の空いているマス目でAボタン!
ちなみに入力済みノートにカーソルを合わせてAボタンを押すと、そのノートを削除することができますよ。
⑤ スネアの音色をエディット
さて、KORG Gadgetには、膨大なプリセット音色が用意されています。
それらは即戦力となりますが、やはりサウンドを自由にアレンジして「自分だけの音」を作るのがコルガジェの醍醐味。
ドラムマシンガジェット「London」では、プリセット音色に対し、以下のエディットが可能です。
- 音の高さ(TUNE)
- 音の長さ(TIME)
- 音のパンチ(PUNCH)
- トリガー(GATE/ONESHOT)
- 音のボトムを強化(LOW BOOST)
- 音を反転(REV)
- エフェクトを有効化(MFX)
- 音の音量(LEVEL)
- 音の定位(PAN)
- ミュート(MUTE)
- グループ(GROUP)
これからスネアの音色を用いて、順に説明して行きます。まずは+ボタンで、ガジェット・パネルへ移動してください。
さあ、これからスネアの音色をクリエイトしましょう。どのドラムキットも、たいていの場合は左から3つ目がスネアなので、このパートをエディットしていきます。
音の高さ(TUNE)
TUNEと書かれたツマミ(ノブ)に、カーソルを合わせてください。
合わせてから、右Joy-Conのスティックを上下させると、TUNEノブをクルクル回すことができます。
スティックを上へ倒すとピッチが上がり、下へ倒せばピッチを下げることができますよ!
音の長さ(TIME)
音が発音する長さを変えたい時はTIMEノブを回します。
この後説明するトリガーを「ONESHOT」にすると、そのパートのディケイ・タイム、つまり音の減衰する速さを変えることができます。
また「GATE」だと、そのパートのリリース・タイム、つまり音の余韻を調節可能。あえてTIMEを短くすればサウンドをタイトに決めることができ、有効に使えますね。
音のパンチ(PUNCH)
Londonのガジェット・パネル上部にあるMODE SELECTION。ここで、「EDIT」「IFX」「MIXER」の3画面を切り替えることができます。
点灯しているボタンから、今いるのはEDIT画面だと分かります。右にカーソルを持って行き、Aボタンを押してIFX画面にしてみましょう。
すると、Londonのガジェットパネルが以下のように切り替わりました。
ここは、音色自体にエフェクト効果を適用できるiFX画面。ためしにPUNCHノブを上げて、スネアにパンチを加えてみましょう。
適切に使えば存在感溢れるサウンドになりますが、上げすぎると音が飽和してバランスが悪くなったり、歪んだりするのでほどほどに。
トリガー(GATE/ONESHOT)
GATEにすると、そのパートのサンプルはノートの長さが分だけ発音。ONESHOTでは、ノートの長さに関係なく、サンプルが最後まで鳴ります。
前者はドラムンベーストラックなど、タイトに仕上げたい場合に有効。
音のボトムを強化(LOW BOOST)
PUNCHツマミの下には、LOW BOOSTノブがあります。
その名の通り、その音色の低域を持ち上げる効果があります。これはスネアよりも、バスドラムに使う方が有効かも。
音を反転(REV)
また、LOW BOOSTノブの下には、2つの小さなボタンがありますね。
左のREVを押すとボタンが点灯し、そのサンプルを逆回転することが可能。上手く使えば、意表を突くギミックに使えます。
特にリバース・シンバルは、展開づけのための定番テクニックなので、ぜひ覚えておきたいですね。
エフェクトを有効化(MFX)
MFXボタンを押すと、この後説明する「エフェクト」が、そのパートの音色にもたらされます。
音の音量(LEVEL)
再びパネル上部のMODE SELECTIONに目を転じ、一番右にあるMIXERボタンを押してください。
London独自の、ミキシング画面に移動します。
スライダーにカーソルを持って行ってスティックを上げ下げすると、そのパートの音色のボリュームを調節できます。
音の定位(PAN)
パンポットは、そのパートの音色を左右に定位させることが可能。トラックにステレオ感をもたらすことができる、とても重要なツマミです。
ミュート(MUTE)
パンポットとスライダーの間に、何やら小さなボタンが2つあります。左はミュートで、そのパートの音を出力させない時に使います。
グループ(GROUP)
AおよびBの2グループが設定可能。同じグループに設定すると、先に鳴っている音の途中で後の音が鳴り始めると、直ちに先の音が止まります。
要するに、ハイハットの「オープン」「クローズ」を表現するための機能ですね。
⑥ ハイハットを入力
最後に、軽快なビートを刻むハイハットを打ち込んでみましょう、+ボタンでピアノロールへ移動します。
Londonでは、パート5がハイハットであることが多いので、下から5つ目の行にハイハットを入力してください。こんな感じに打ち込んでみました。
⑦ ハイハットのベロシティを調節
ここまで入力したノートは、すべて同じ音量なので、いささか単調かもしれません。そこで、トラックに起伏をつけるべくハイハットの音量(ベロシティー)をいじってみたいと思います。
Xボタンを押して、メニューを表示してください。
「ベロシティーを編集」を選択すると、画面下半分にベロシティー編集エリアが表示されます。
このトラックは、クォンタイズがジャストにかかっているので、たとえば一番左のノートだと「キック」「スネア」「ハイハット」の3パートが重なっています。
これからベロシティーを変えるパートは「ハイハット」でしたね。
なので、左Joy-Conのスティックを上下に倒して(または上下ボタンを押して)、ベロシティーを編集するパートを「ハイハット」に切り替えましょう。
そして、ツマミを回す時と同じように右Joy-Conのスティックを上下に倒すと、ベロシティーを調節できます。
今回は、こんな感じでハイハットのベロシティーに変化を与えてみました。
⑧ エフェクトを適用
今回のチュートリアルではLondonを用い、ドラムトラックを打ち込んできました。その締めくくりとして、全てのパートに適用可能なエフェクトを設定してみましょう。
EFFECT
パネル上部中央のEFFECT表示窓にカーソルを合わせてAボタン。
現在は「GATE REVERB」が選択されていますが、他にも全26種類の中から一つを選ぶことができます。
リバーブやディレイといった定番FXから、オートパンにスライサーなんていう面白系、さらにはコーラス/フランジャーや、リングモジュレーターなどの変調モノまで、ありとあらゆるサウンドメイキングが可能です。
TIME/LEVEL/MASTER LEVEL
EFECTウィンドウのすぐ右には、3つのノブが並んでいます。
左と真ん中のノブは、それぞれ「エフェクトの適用時間」と「エフェクト量」を設定するツマミ。
ここで設定したパラメーターをパートに適用するには、先に述べたMFXボタンを押してランプを点灯させます。
一番右はマスターレベルノブ。これは簡単ですね。London全体のボリュームを設定するツマミです。
⑨ ソングデータをセーブ
最後に、これまで入力したドラムトラックを保存しておきましょう。ここでセーブしたソングは、この後のチュートリアルでも使いますのでお忘れなく。
オーバービュー画面にてXボタンを押してメニューを表示し、システム>セーブを選択。
セーブ画面が表示されますので、新規保存を選択。
ソングタイトルを入力してOKを押し、セーブを完了してください。
お疲れ様でした。これでドラムトラックの入力を体得!
今回は、KORG Gadget for Nintendo Switchの使い方講座第一弾として、ドラムトラックの打ち込みに挑戦しました。
突っ込んだ内容になったせいか、結構なボリュームになってしまいました。それだけに、この記事を最後まで読みながら操作したあなたは、すでにかなりのスキルを身につけたと思います。
次回はベーストラックの打ち込み編。引き続きコルガジェの操作を習熟して行きましょう。
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