音色探訪

サビに向かって盛り上がれ!超定番EDMサウンド「ビルドアップ・ライザー」の作り方。

私たちがEDMやダブステップをやる時、「サイドチェイン」「ウォブルベース」に比肩する最重要テク「ライザーサウンド」。

リスナーの高揚感を煽り、せり上がるようなあの感触は、誰もが耳にしたことがあるでしょう。

こんなサウンドですね。まずは聴いてください!

これはもちろん、KORG Gadgetだけで作ったもの。

今回は、コルガジェに標準搭載されたシンセサイザーを使い、ビルドアップに効果的な「ライザーサウンド」作りに挑戦します。

ドロップめがけてピッチを上げろ!

そもそも、なぜ私たちはEDM楽曲のビルドアップをハイパーに感じるのでしょうか?

よくよく聴けば分かりますが、ドロップ(サビ)に向かって、リードのピッチが少しずつ「上昇」していくんですよね。これが高揚感の理由。

この上昇音で気分を高ぶられるのは、人としての本能なのかもしれません。

つまりライザーサウンドを作るには、シンセにおいて音程を司る「VCO(オシレーター)」に、「EG(エンベロープ・ジェネレーター)をかけるのが得策です。

ただしコルガジェにおいて、これができるシンセは意外と限られています。

具体的には、パッチングで自由に音の流れを定めることができるモジュラーシンセ・Dublinや…

ルックスからも見て取れる、チップチューン・サウンドが得意なピコピコシンセ・Kingston

そして、オシレーター・シンクによるエグいリードサウンドが持ち味のアナログモノシンセ・Berlinなど。

他にも、往年の名機「ARP ODYSSEY」をガジェット化したLexingtonら、ピッチに対してADSRをかけることのできるガジェットは幾つか存在します。

しかし今回は、KORG Gadgetにおいては無料版の「Le」でも使え、かつ王道と言える本格シンセ「Dublin」で、ライザーサウンドにトライしていきます。

Dublinでライザーサウンドを作る

それでは、実際にやってみましょう。

Dublinの新規トラックを作成

まずはDublinの新規トラックを作り、ガジェットパネルにて初期音色である「48: Dublin Init」を呼び出してください。

ライザーサウンド用のノートを入力

ピアノロールにて、このようにノートを打ち込みます。

ご覧の通り「1.1〜4.4」まで、ほぼ4小節分の長さを、ベタで打ち込んでいます。

ノートの音の高さは、基本的にその曲のキーや、ビルドアップの時のコードに合わせましょう。この例ではC2。

そうしておいて、このノートの最後で「数オクターブ上のC」に着地するよう、このあと設定していきます。

Dublinで音色作成

はじめに、完成後のDublinの各パラメーターを提示しておきましょう。まずはSYSTH画面。

そしてPATCHBAY場面です。

これから、音色作成のポイントを解説します。

オシレーターの設定

Dublinには、2基のVCOが搭載されています。

このメリットを生かすには、VCO 2のTUNEノブを調節して、ピッチを少しズラすこと。

そのようなディチューンを適切に行えば、VCOからの出音に「厚み」をもたせる事ができます。

また、基本波形(WAVEFORM)はお好みで結構ですが、倍音成分を多く含むノコギリ波(SAW)を選ぶと「らしく」なりますね。

あとは、2つのVCOを同時に出力させるため、MIXERセクションのVCOノブを、両方MAXにしてください。

フィルターの設定

一般的なライザーサウンドは「明るく派手」ですので、VCFのCUTOFFを全開にします。

逆に「こもらせた音色」にしたい場合は、CUTOFFを絞ってください。

さらに、レゾナンスをかけて発振気味にしたければ、適宜PEAKを上げても良いでしょう。

アンプの設定

VCAに関しては、ドロップに向かって徐々に盛り上げていくライザーサウンドの役割上、決して音が減衰しないように設定するのがキモとなります。

具体的には、ディケイ・タイムをゼロにし、かつサスティーン・レベルをMAXにすること。

リリース・タイムもゼロにして、上昇しきったサウンドが「ピタッ」と歯切れよく、無事役割を終えるようにすると良いですね。

エンベロープ・ジェネレーターの設定

さて、ここからがライザーサウンド作りの最重要ポイント。

EGをVCOにかけて、音程を上昇させる設定方法です。

まずはPATCH BAY画面に移動し、ENVELOPE GENERATORセクションにあるジャック「EG OUT」と、PATCHBAY INPUTS側の「PITCH」ジャックを、パッチケーブルで接続してください。

やり方は、EG OUTジャックをタップすると現れるケーブルを、PITCHのところまでドラッグ。

これで2基のVCOに対し、これから行うEGの効果を与えることが出来るようになりました。

続いてEGのAMOUNTノブで、モジュレーション量…この場合は「どれくらい音程を上下させるか」…を決めます。

調査したところ、AMOUNTノブを「1.00」にすると、ほぼ全音分(C2→D2)ピッチが上昇しました。

「2.50」で、1オクターブ上のC3まで上昇。

「3.53」で、2オクターブ上のC4まで上昇。

「4.33」で、3オクターブ上のC5まで上昇。

そしてMAXの「5.00」にすると、なんと4オクターブ上のC6まで上昇します。


どの程度ピッチを上げるかは、その曲のテイストや好みで決めれば良いのですが、中途半端な音程で上昇を終わらせず「きっちりオクターブ単位」(C2→C4など)で設定すると、良い結果が得られます。

したがって、先ほど提示したAMOUNT値を覚えておくと良いでしょう。

そしてATTACKノブを用い、先ほどAMOUNTで決めた音程まで、どのくらいの時間をかけて上昇させるかを決めます。

ここでは、例のエンベロープ波形でイメージしてみましょう。下の図は、ATTACKノブを少し上げた状態。

ATTACKノブを更に上げると、その分、SUSTAINレベルに到達するまでの時間が伸びます。こんな感じですね。

要は、ATTACKノブを絞れば早く、開けば遅くピッチが上がるということ。

このATTACKの長さは、ピッチが上昇しきった付近で、発音が止まるよう設定しましょう。

例えば、先ほどの実演動画のトラックはBPM136で、ライザー音色のノート長が4小節3拍分ですが、EGのATTACKを7.64に設定すると、良好な結果が得られました。

仮にもっと早い曲で、ATTACKを同じ7.76にしたら、上昇しきる前にビルドアップが終わってしまうはず。

というわけで、EGのATTACKについては「そのトラックのテンポとノート長との兼ね合い」を気にしながら、設定値を決めてください。

シーンをループ再生させながら、ATTACKノブを調節すると良いですよ!

ビルドアップの「ドラムパターン」は、こんな感じで

ここまでは、ビルドアップにおけるライザーサウンドを作っていきました。

参考までに、このデモで用いたドラムトラックを提示します。

まず、ビルドアップの始まりである1小節目。

2小節目。

3小節目。

そして、ビルドアップ最後の4小節目です。

EDMのサビ前でよくある、典型的なパターンだと思います。

このトラックで用いたドラムマシーン・LONDONのガジェットパネルも、一応紹介しておきましょう。

この記事で作ったデモトラックをプレゼントします。 ( ^▽^)

今回はKORG GadgetのDublinを用い、ビルドアップからドロップに向かって盛り上がる「ライザーサウンド」を作っていきました。

この記事を書くにあたり、4小節のデモトラックを作成したのですが、せっかくなのでAllihoopaにて公開します。

こちらは、この記事冒頭のツイッター動画のプロジェクトで…

こちらは、1→2→3→4オクターブ上昇させたバリエーション。

プロジェクトファイルごとアップしましたので、興味のある方はKORG Gadgetに取り込んでご覧くださいませ。

それではまた。Have a nice trip!

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