音色探訪

「オシレーター・シンク」を駆使し、エグいリードを手に入れよう。 Montpellier 徹底攻略ガイド ② Osc-Sync編

私たちがシンセサイザーで音を作るとき、真っ先にいじりたくなるのは「フィルター」ですよね。

「カットオフ」で音色の明暗を定めつつ、「レゾナンス」でクセをつける・・・王道、かつ定石だと言えましょう。

しかし、さらなる音作りの可能性を考えるとき、実は「まるで別次元」なやり方が存在するのです。

KORG Gadget版「Mono/Poly」であるMontpellierには、そんな特殊な機能が、なんと2つも装備。

今回から、オシレーターの基本波形そのものを変化させ、全く新しいサウンドを作ることができる高等テク「オシレーター・シンク」と「クロス・モジュレーション」を覚えていきます。

これらをモノにすれば、エレキギターにも負けない鋭いリードや、「これぞFM!」的なキラキラ・サウンドが作れるようになりますよ!

まずは、上のデモトラックで印象的なリードサウンドを担当している「オシレーター・シンク」から解説します。

「オシレーター・シンク」の原理とは

オシレーター・シンクとは、「あるオシレーターの周波数を、別のオシレーターに同期させることで基本波形を捻じ曲げ、強烈な音色変化をもたらす」テクニック。

どういうことでしょうか? 下の図を見てください。

まず、絶対的存在であるマスター役「VCO 1」が君臨していますね。

その下にいるのは、マスターへ忠誠を誓うスレーブ役の「VCO 2」。

オシレーター・シンクをONにすると、それまで各々のVCOが自らの音程で発声していたのをやめ、VCO 2はマスターであるVCO 1の音程に「隷属」します。

別の表現をすると「VCO 1の周期で、VCO 2の周期が強制的にリセットされ、波形が変化する」ということ。

その状態になっているのが、赤い色の波形です。このようなユニークな波形は、フィルターではなかなか作れません。

波形が複雑になると、より豊富な倍音成分をまとうことができます。

だから、あの強烈なシンクロ・サウンドが、オシレーターから生み出されるわけですね。

Montpellierでの作り方

原理を理解したところで、いよいよKORG Gadgetでオシレーター・シンクをやってみましょう。

KORG Gadgetを起動し、ガジェット・セレクターにてMontpellierを立ち上げてください。

まだゲットしていない方は、App Storeにて入手可能。

スタンドアロン・アプリ「iMono/Poly」(2018年6月現在:3,600円)を購入すると、KORG Gadgetでも「Montpellier」として使えるようになります。

Montpellierを立ち上げたら、テンプレートから初期音色「001 : 1VCO」を呼び出します。

Montpellierのパネルが表示されました。

ちなみに上の画面は、パネルのどこかをダブルタップし、拡大表示させた状態です。

ステップ1 VCO 2の音量を上げる

今、呼び出している初期音色「001:1VCO」は、4基あるVCOのうち「VCO 1」の音しか鳴りません。

オシレーター・シンクをやるには、原理上「2つのVCO」が必要でしたね。なのでVCO 2からも音を出しましょう。

まず、SYNTH画面右上にあるオシレーター・セクションの切替スイッチを「VCO 2」にしてください。

LEVELノブを右に回すと、WAVEFORMノブで設定された「ノコギリ波」がVCO 2より出力し始めます。そのまま10まで持っていきましょう。

 この状態で鍵盤を弾くと、VCO 1とVCO 2から、同じ音程・同じレベルで発音されるはず。

ステップ2 VCO 2側の音程を高くする

さて、この後オシレーターシンク・サウンドを気持ちよく響かせるには、あらかじめスレーブ側であるVCO 2の音程を高くすることが肝要です。

さもないと、鮮烈なリード音とは無縁の、こんな寝ぼけたようなサウンドになってしまいます…。

VCO 2のピッチを上げるため、VCO 2のSEMITONEノブを右に回します。

ノブの値が1増減すると「半音分」だけ音程が上下し、+12で「1オクターブ分」上の音程に。

今回は右に回し切って+24にし、2オクターブ上の波形を鳴らしましょう。

ここで鍵盤を弾くと、VCO 1とVCO 2が、オクターブ違いでユニゾンしながら同時に発音しましたね。

ステップ3 VCO 1の音を消し、VCO 2だけを発声させる

せっかくのシンクロ・サウンドですから、やはり純度100%で使いたいものです。

やり方は簡単。VCO 2のLEVELをフルテンにしたまま、VCO 1の方をゼロにするだけ。

鍵盤を弾くと、今度はVCO 1からの音が聞こえなくなり、VCO 2の音だけが鳴ります。

これで、オシレーター・シンクの準備は完了!

ステップ4 SYNCをオンにする

SYSTH画面の左下にある「VCO MODULATION」セクションを見てください。

拡大して見てみましょう。

このVCO MODULATIONセクションで、オシレーターをオシレーターでモジュレートする機能…つまり、「オシレーター・シンク」と「クロス・モジュレーション」を有効化できます。

ここは何も考えず、オレンジ色のON/OFFボタンをタップし、点灯させてください。

そして、鍵盤を弾いてみると…。

先に鳴ったのは「素」のノコギリ波で、その次がVCO MODULATIONをONにした音。

今はMODEスイッチが「SYNC」になっているので、オシレーター・シンク機能が発動し、「素」のノコギリ波よりかは若干クセのある音色になりましたね。

より複雑、かつ強烈な音色変化をもたらすため、次のステップに移ってください。

ステップ5 LFOやEGで音色に変化を与える

仕上げに「LFO」や「EG」をかけると、いかにもオシレーター・シンクらしいサウンドが完成します。

オシレーター・シンクにLFOをかける

VCO MODULATIONセクションの上にある「FREQ MOD」ノブを、少し上げてみてください。

今はモジュレーション・スイッチにて「MG 1」が選択されているので、VCO MODULATIONセクション右手にある「MGセクション」の周期で、LFOがかかっています。

FREQ MODノブでLFOの「効き具合」を定め、MG 1セクションで「LFOの周期」や「波形」を決めましょう。

オシレーター・シンクにVCF EGをかける

今度は、シンクロ・サウンドにADSRを適用してみましょう。

あの「ギュイ〜〜〜ン」という、脳天に突き刺さるような鋭いサウンドが手に入りますよ。

まず、モジュレーション・スイッチにて「VCF EG」を選択。

右隣にある「VCFセクション」のスイッチを「VCF EG」にして、そこのA・D・S・Rノブで音色変化の仕方を定めます。

こんな「ギュイ〜〜〜ン」にしたければ、各パラメーターを上のように設定してくださいね。

まとめ動画

シンクロサウンドを作るまでの1分間動画です。今回の内容が網羅された内容になっていますので、参考にしてくださいね。

他のガジェットでも「オシレーター・シンク」できます。

今回は「KORG Gadget Montpellier 徹底攻略ガイド第二弾」として、オシレーター・シンクにフォーカスした記事をお届けしました。

ちなみに、他にもオシレーター・シンク機能を持つシンセは、コルガジェにはじめから標準搭載されている「Berlin」や、ARP ODYSSEYをガジェット化した「Lexington」があります。

ただ、Berlinに関しては、見た目1VCO の「サブオシレーター」方式。

EGはATTACKとDECAYだけに限定していて、初心者に易しい反面、音程の差分は1オクターブまでと自由度が低め。

Berlinも振り切った仕様で良い音源だと思いますが、やはり「本物」のシンクロ・サウンドをモノにしたいですよね。

そんなわけで、この記事が少しでもあなたのお役に立てたら、筆者としてはとても嬉しく思います。

さて次回は、Montpellierに搭載されたもう一つの特殊機能「クロス・モジュレーション」について覚えていきます。

それではまた。Have a nice trip!

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