K.G.R

【KGR】デイドリーム・イン・モンペリエ。「Voiceless Setting – by Butz」

この夏、大いに盛り上がったKORG Gadget for iOS / Mac非公式コンペ Gadget Sonic2018

極めてクオリティーの高いエントリー138曲の中から、優秀3作品「BEST of SONIC」、および「SONIC OF THE YEAR」の発表が行われ、3週間にわたる熱きトラックメイキング・バトルの幕を閉じました。

今回から「KORG Gadget Recommends」特別編として、BEST of SONICに輝いた3作品の作者にインタビューを敢行。

受賞作品についてのテクニカルなノウハウや、何を想いながら制作されたかなど、ご本人に語っていただく予定です。

シリーズ1回目は、こちらの「BEST of SONIC」から。

Voiceless Setting – by Butz

なんとも不思議な魅力を抱いた曲です。

重々しいブラスで幕を開け、シンプルなれど荘厳なビートが曲を飾ったかと思えば、たちまち降り注ぐ美しい旋律。

そして空間を捻じ曲げるかのごとく現れては消える、アブストラクトな音塊たち。

まるでリスナーを白昼夢の世界へと誘うかのような、目眩(めくるめ)く音世界です。

このシューゲイザーを彷彿とさせる、荒々しくも甘美な作品は、一体どのように制作されたのでしょうか?

制作環境について

「Voiceless Setting」の作者 Butz@lucky_onionさんに、お話を伺いました。

【使用デバイス】

Apple iPad(2018春モデル) / iPhone 8

【使用アプリ】

KORG Gadget

曲作りのメイン作業はiPadで行い、iPhone 8はシンセ・ガジェットのプリセット音色のパラメーターをいじり、音の変化を確認しながら使われたとのこと。

このようなiOSデバイスの使い分け…とりわけ、比較的小さなiPhone 8でパラメータ・エディットにフォーカスするスタイルは、とても良いアプローチだと思います。

iPhoneでも横にし、ガジェットを全画面表示すれば十分ツマミを回せますし、オートメーションを自在に書く事ができますからね。

下のキャプチャー画像は、iPhone SEでMontpellierを全画面表示した状態です。

確かに小さいのですが、ご覧の通りツマミやスイッチの間が程よく離れているので、操作する上で問題になりません。

ちなみにガジェットを全画面表示するには、「ツマミやスイッチなど操作子以外のところをダブルタップ」ですよ!

テクニックについて

「テクニックと言って良いのか分からないですが、Montpellier(Mono/Poly)は触れるパラメータが多い分、リアルタイムでオートメーションを弄ると劇的に音が変化するので、自分の中でハマる形になるまで何度もリピートして、VCOのSemitoneと、MG1のFREQUENCYを書き直しました。」

Butzさんは、こう述べられています。

まず「Voiceless Setting」は、Montpellierを中心に制作されたことが伺えますね。

確かに、この曲の雰囲気を全体的に支配する重厚なブラスサウンドは、Montpellier自慢の「4VCO」ならでは。

そして曲中で極めて意匠が凝らされ、縦横無尽に飛び回って活躍するSEたちの正体は、Montpellierのオシレーター・シンクが中心なのは明らかです。

モジュレーションされる側のVCOのSEMITONEを回すと、波形が強制同期される際の音程が変化し、音色が「ギュー〜〜ン」と強烈に変化しますから。

またMG1のFREQUENCYで、オシレーターシンクをモジュレートする「LFO」をオートメーションして、あのグネグネしたサウンドが作られたのでしょう。

…と、ここで小難しい解説を始めるのも野暮なので、オシレーターシンクについてはコチラの記事をご覧くださいませ。

トラックメイキングに関しては、

初っ端のイントロの音色を聴いて、そこからダークな雰囲気の旋律の中にグネグネするようなサウンドを散りばめていき、シンセのカッコいい音を生かせるような曲を目指して作っていきました。

サウンドメイクについては、

自分はMono/Polyサウンドが好きなので、今回はMontpellierを中心に、なるべく使うガジェットを制限して、このイベント(GadgetSonic 2018)の中で試行錯誤する事でより造詣を深めることが出来たなら良いなぁーとも考えていたりしました。

…なるほど。まずイントロのブラスから自らインスパイアされ、曲作りが進んで行ったのですね。いわば「足し算的」な発想でしょうか。

Mono/PolyことMontpellierにフォーカスした結果、この作品がシンプルでありつつ、統一感の取れた仕上がりになっていると思います。

扱える音源が増えるということは、バラエティーに富んだサウンドが得られる反面、一歩バランスを踏み外すと散漫な印象になってしまう、いわば諸刃の刃ですからね。

音数を少なくし、このようなクールで印象的なトラックメイクを行うという姿勢は、ぜひ見習うべきだと感じました。

創作成就のキッカケとなった、GadgetSonic 2018。

最後にButz@lucky_onion さんから、こんなメッセージをいただきました。

このイベントは、とにかく怠け癖のある自分に対して「何が何でも一曲完成させるぞ!」という喝を入れるような心意気で参加させて頂いたところが大きいです(笑)

このようなコメントを頂戴でき、GadgetSonic 2018運営メンバーの一員として大変嬉しく思います。

やはりトラック・メイカーにとって、普段の腕を披露できる場…つまりコンペやコンテストはモチベーションであり、不可欠なイベントだと確信しました。

そのような機会をご提供でき、心から良かったと改めて感じ入った次第です。

今回は「BEST of SONIC」のお一人 Butz@lucky_onion さんが制作された「Voiceless Setting」を紹介させていただきました。

それではまた。Have a nice trip!

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