GadgetSonic 2024 グランプリ作品発表
KORG Gadget
COMPOSITION COMPETITION
GadgetSonic 2024
🌴 GREEN EARTH FIELD 🌴
👑 BEST OF SONIC 👑
028|Thickone “音速ノ風 “
選評:このラップとグルーヴ感はクセになる!
この曲の主役となるラップであるが、歌詞もガジェソニならではの内容となっており、ガジェソニ経験者なら共感を覚える部分も多いのではないだろうか。
韻を踏んだ秀逸なライミングが素晴らしい。特にサビの部分であるが、強烈で心に訴えかけてくる。普段の生活をしている時に、鼻歌で歌っていたことに気付いた。
ライブ感があるので、ステージで歌われたら、サビでノリノリでメロディーに合わせて手振って一緒に歌ってる選者の姿が目に浮かぶ。
本作は、iPhoneをメインにとして、周辺機器を加えて制作されている。コンポーザー自身のSNS上で制作風景や、使用ガジェット等を窺い知ることができる。
オケは詰め込ませず、シンプルに仕上げており、主役のラップを引き立たせている。使用トラックの大部分を複数のZurichに担わせて、ボーカルを中心とした音源に充てていることが分かる。
とにかく渾身の逸品!
今年のBEST OF SONICの栄冠はこの作品に与えられ、作品は伝説となった。
Congratulations on winning the Grand Prix!
KORG Gadget
COMPOSITION COMPETITION
GadgetSonic 2024
🌴 GREEN EARTH FIELD 🌴
🎖️ SONIC OF THE YEAR 🎖️
159|あこぎ屋 “SHALLOW DENIAL“
選評:FMシンセベースのチョッパーリフで始まるメタルナンバー。
ベースのリフの後、驚きのシャウトが!まさかのOtoriiのサンプラーの音色をつなげてボーカルラインを構築してきたのだ。これにはやられた!
ギターも、Otorii のアフターバーナー&パワードリフトのディストーションギター音源により、コード、カッティング等のテクニックを駆使し、丁寧に作り込まれている。
本作はFM音源搭載機の頃のレトロゲーム風のアレンジを意図して制作されていると思われるが、実際この曲で戦闘機系のシューティングゲームを楽しみたいなーと心から感じた。
Switch版を使用している作家の方々は、箱庭の環境下で、可能な限りGadgetの個々の音源の特徴を活かすよう、創意工夫して表現しようとしている作品が多く、この作品についても度肝を抜かれた秀作!
Switchでもボーカル曲は作れます!
217|necobit “陽炎に影が在るかと笑うあなたに陰差して、 Dimension, Vision, Emulsion“
選評:曲の出だし…
雲一つない青空に照り輝く太陽。
カメラは空から次第に路面へとパンしていき、その太陽から降り注ぐ光と熱で、路面は揺らぎ…というような場面を想像。暑さとどこか懐かしさを感じさせる。ねこびっとさんの作品はなぜか脳内に映像が付いてくる。リスナーによってそれぞれの景色が見えていると思う。
そして、曲調はアップテンポに転換。スタイリッシュやストリングスリフに、クリスタル&リード音が乗ってくる。
場面は変わり、再びスローテンポに戻る。後半から囃子の音色が遠くに響きつつ、徐々に重厚なストリングスがそのお囃子に変わってくる。
終盤プログレッシブな曲調でクライマックスへ駆け上がっていき、本作の幕が閉じられる。
ねこびっとさんの作品でおなじみの特徴的なピュアなリード音が今回も作品全般で登場。ねこびっと監督の作風がチラリと感じられる重要な音色。
本作も作品の非常に高い完成度の中で、重厚感、静寂、スピード感、ストーリー性を併せ持つ。4分33秒の中で様々な体験をさせてもらった。
今は一つの映像作品を観終わった満足感で満たされている。amazing!
064|Pheny “Fade My Loneliness (feat. 花隈千冬)”
選評:今巷ではSynthesizer Vが音声合成界の勢力図を大きく塗り替えている。遂にガジェソニにもその大波がやってきた。
ガジェソニ2024開催直後に作者が迎え入れた音声合成ライブラリー「花隈千冬」。あまりにも自然で実はfeat.表示がなければ音声合成と分からなかった。この最強MNGボーカルが加わると、こんなスピード感のあるダンスポップが完成するのかと驚かされた秀作。
KORG Gadgetで作られたオケとの相性も良い。作者の得意分野であるTranceをベースとした曲の構成、音色、マスタリングの完成度は正直文句のない出来。ボーカルラインもキャッチーで、歌詞も良かった。
今回の作品は歌系にとってシンギュラリティであり、ボーカルが苦手でも歌物に挑戦したいという作家陣にとっては、現状SynthesizerV の場合はPCの導入が必須となるものの、大きな道標になったのではなかろうか。選者側としてもSynthesizerVをはじめとした音声合成系採用曲の基準点となりうる作品になったと感じている。
素晴らしかった!次回作を心待ちにしたい。
044|RabbitPyongyoung “CYBER HIGHWAY“
選評:RabbitPyongyoungさんの曲はどれも入選ラインに達していたが、その中でもこちらのチップチューン要素満載の本曲を選出させていただいた。
曲を通してチップチューン中心で制作されており、打ち込みについては、非常に丁寧に作られている。
オープニングはシンセベル系の音色。どんな曲が始まるのかなと、聴いていると、エレキギターのアルペジオが加わり、そこにチップチューンメロディーが乗っかってくる。50秒過ぎからはバッキングにMiami?の逆ノコギリ派のギュンギュン音がアゲていく。そこからはスピード感を感じながら透明感、かつクールな展開。中盤1分55秒からの音の抜き演出、音色もDetuneやオートメーションPanが効果的に使われており、空間的に広がりも感じることができる。Nintendo Switch版のポテンシャルを遺憾無く発揮した一品。
he’s number is such a bop!
220|イモリ “The Alien Friends“
選評:MemphisやDublinの電子音がエイリアンがちょこちょこ動き回る様子をうまく表現しており、Glasgowの重厚感のあるピチカート音が、リズムよく曲を進めていく。Memphis、Dublin、Glasgowのそれぞれの良い部分をうまく活用し、曲名の世界観を5トラックでしっかり表現した秀作。
曲名は曲に命を吹き込むもの。選者は、宇宙船でやってきた小さなエイリアンが、初めて降り立った地表をどこか楽しげに探検している姿を思い浮かべた。皆さんはどのような情景を思い浮かべられただろうか。
072|Yakumo “邂逅“
選評:Salzburgを使用したピアノソロ曲。当作品を選ばせていただいた選者はピアノ演奏からDTM の世界に入った身であることから、実際に自身がステージ上でピアノ演奏していることを想像しながらという視点で拝聴させてもらった。
まず、曲の展開自体が非常に面白い。最初静かなアルペジオを主旋律で奏でていき、低音域がドーンとハッとさせる。その後は静かに進んでいくが、後半は右手の高速アルペジオ部分と、左手の低音部分がしっかりと曲を支え、激しい曲調を表現しながらまた静寂に戻っていく。
この楽曲を支える技術的な面でいえば、ピアノの高音低音の強弱バランス、テンポ、間の取り方、エフェクト処理について丁寧に作り込まれている。次の展開を楽しみにしながらつい聴き入ってしまった。今後、新しいピアノ曲も聴いてみたい。
素敵な作品でした。
141|Makiko YY “Another forgotten road“
選評:MakiyoYYさんは静・動どちらの曲風をお持ちであり、ステージプレイも得意な作家様。今回選出させていただいたのはこちらのChillナンバー。
本作はリバーブがたっぷりかかったピアノのコード進行から、ゆったりとしたピアノのメロディーで幕を開ける。いきなり作者の世界観に引き込まれた。中盤からメロディーを担当するシンセの音色も優しい。中盤の金属音、ベル系の音色と、曲全体にとても涼しげな感触を感じる。終盤に鳥の囀りも聞こえてきて、森の中で心地よいうたた寝をしているような、曲から、温度感や森の香りまで想像してしまう。
試聴時にはそんな素敵な時間を堪能させていただいた。
002|KeterBear “HALO”
選評:ストリングスの歯切れの良い音色に乗ってくるピコピコシーケンスがワクワク感を加速。そこから一気に訪れるピアノの機械的な超高速アルペジオ、Miamiのノイズ・ストリングス・ピアノ・シーケンスが交互に掛け合う展開が、聴くものをグイグイその世界観に引き込んでいく。中盤のストリングスソロから終盤への盛り上げ方、曲中に散らばるシーケンス音の配置場所が非常に心憎く、この曲の重要なアクセントになっている。
寂しげな美しいメロディーラインが素敵でした。KeterBearさんならではの王道作風で表現された秀作。
121|Penguin Robot “Uniform“
選評:ハートビートの様な音色から曲が始まり、2音(キック)、3音(シンセショット)、4音(プロペラ音のような音)、5音(機械音)、6音(Pad)…とどんどん音が足されていくのだが、どの音も喧嘩しずに全て独立して奏でられている。この辺りの塩梅はさすがPenguin Robotさんのなせる技というべきか。
無機質な世界の中で、カチカチとしたリズムが、この世界に入り込んだ我々の道標となって進んでいく。途中一瞬リズムが消えるパートは、一旦浮き上がるような心地よい浮遊感を感じ、また地面に降り立つとリズムが再開する。最後にまた浮遊感を感じさせて曲は終幕を迎える。
この不思議な世界観により深く入るために、ヘッドフォン・イヤフォンでの試聴を選者は推奨したい。
今回Penguin Robotさんの過去の入選作とは異なる世界観の作品を選出させていただいた。Penguin Robotさんのテクノの引き出しはどれだけあるのだろうか。まだ奥が見えない引き出しの数に期待を隠せない。
amazing number!
150| フラジールセル “Falling into a paddle“
選評:出だしからFairbanksの2音色をデュアルした特徴的な音色が、DM7-C#m7のメインコードで曲を引っ張っていく。オートメーションを駆使しているのか、その音色は儚くとても幻想的。
ベースはMiami。全般ではなく、中盤に登場して曲を引き締めてくる。後半はSalzburgがリフの掛け合いに加わってきて、最後は余韻を残してエンディングを迎えていく。
シンプルに仕上げているが、聴き掘っていくと、細かいところにも手が加わっていることに気付く秀作。
また、本曲はリミックスにも向いていると感じたため、コラボ等そんな展開も勝手に期待したい。
今回の選考には影響しなかった部分ではあるが、当運営のショーン氏がシーン名に絵文字を使っているアイデアを、フラジールセルさんも応用し、さらに可愛く活用されているので、皆さんもこの遊び心ある活用について、エントリー動画を参考にしてみて欲しい。
今後もKORG GadgetのTips等、ユーザー間での情報共有・拡散は大歓迎だ。
FIRE RED STAGE
BULE WATER LAKE
SONIC MEDAL