第3回 KORG Gadget ユーザー作曲コンペティション「GadgetSonic 2020」結果発表!!
BLUE Lake(10作品)
楽曲を支えるボトムや飛び道具は今日的なれど、気怠さを帯びた甘いヴォーカル、そしてこの上なくキャッチーなサビ&カウンターフレーズは、むしろ80年代の和製テクノを思わせる。アシッドな肌触りでありながら、クールかつスタイリッシュな「名曲」。作者の確かなソングライティング能力が為せる技。
061:Swenzy Kong Yosh–Piano police(インスト)
ピアノが主役の、小粋で可愛らしい極上ポップ。カラフルな音色使いと変幻自在なフレージング、緩急をつけた要所のパーカッション使いなど実に巧み。おもちゃっぽい雰囲気が魅力のミラクルワールドを堪能できる。それにしても、常に存在感のあるトラックを生み出すこの作者は、コルガジェユーザー屈指の手練れであることは疑いようがない。
個人的に大フューチャーしたい、ガジェソニのアンセム的作品。荒削りで不器用だけどエナジーあふれるドラミングに乗せ、ういういしくもストレートな美フレーズがどこまでも疾走する。まるでひと夏の青春がスパークしているかのようだ。いつまでも、こんな真夏に浸っていたいと思う。曲のタイトルもまた、はかなく美しい。
知らず知らずのうちに体が跳ねてしまう、ファンキーとしか言いようのないグリッチ・ホップ。リスナーをグイグイ引っ張る推進力、そして説得力あふれるサウンドで、仮にこの曲がKORG Gadgetのデモソングであっても何らおかしくない出来。1:52以降のキテレツテンションが圧巻。Hey! Hey!!
コルガジェ界きっての「プログレ番長」による、その持ち味が遺憾なく発揮された逸品。今回も絶好調で、8/8拍子と7/8拍子が混在する曲の先行きは絶対に予測不能。また、この曲の主題をなす1:20以降のメインフレーズが強烈で、繰り返し聴いていると何かに洗脳されていくような危うさがある。MarseilleのプリセットをギターアンプのRosarioへ流し直し、ローファイな質感に仕上げるサウンドメイク術も見事。
ひぐらしの鳴くサンプルで始まり、終わりゆく「ぼくの夏休み」を一曲にしたかのような、爽やかで郷愁あふれるドリーム・ポップ。タイトル通り、リスナーを涼やかな気分にさせてくれる音色と旋律。実のところ8分の5拍子の曲だが、まったく変拍子を感じさせないのがポイントで、この曲の魅力につながっている。夏の終わりを慈しむかのように、フェードアウトで曲を終わらせたのも正解。
148:Taiki overthere–Nightfly,the
コルガジェ・ユーザーを代表する名手が、満を辞しての登場。晩夏の深夜の雰囲気を纏う、気怠くメランコリック、そしてどこか抑圧的なヴォーカルが魅惑的。他にもエレクトリック・ギターなどオーディオトラックが多用されており、演奏者としても卓越したスキルを持つ作者の持ち味が存分に発揮されている。IFXを駆使した、極めてエフェクティブなサウンドメイクにも注目。
いつもガジェソニを、個性的なトラックで盛り上げてくれる「DORAYAKIサウンド」は今夏も健在。厳選された音色のみで構築されている、非常に大人びたこのテクノトラックは、リスナーが「ここでこんな音が欲しい!」と思うような所で、適切な音が配置されている印象。痒いところに手が届くというのはこの事。言い換えるなら「センスの塊」。
057:four o’clock/Yuki Nambu–folklore2
エレクトリックピアノによる即興演奏が印象的な、ピースフルで小粋、そして叙情あふれるトラック。お洒落なカフェで流れるような曲で、アートワークに違わぬゆったりとした優しい気分になれる。何より作者自らが、楽しみながら作曲しているのが伝わってくる。とても微笑ましい幸せ楽曲。
全編 KORG MS-20 をガジェット化した「Memphis」だけで構成された曲。作者のiMS-20への愛を感じずにはいられない。「宇宙的」としか形容できないような音色作りも去ることながら、伸びやかなでメランコリックなメロディーと、それに絡むカウンターが秀逸そのもの。MS-20というシンセサイザーの奥深さを、改めてリスナーに教えてくれるトラックでもある。
以上、SONIC OF THE YEARの発表でした!
Thanks !! 大会を盛り上げてくれたトラックメーカー「SONIC MEDAL」をご紹介!
今回の大会から、ガジェソニを盛り上げてくれた、ユニークで印象的なトラックを表彰する部門を創設しました。題して SONIC MEDAL。
通常のコンペティションの枠に収まらないようなトラックを評価する、アトラクション的企画です。
まず最初にご紹介するのは、こちらの曲。
001: Lizard'sMobileSoundLab – Song Of Gadgetsonic2020
栄えあるGadgetSonic 2020 エントリーナンバー1番のトラック。作者MobileSoundLabさんによるラップで、ガジェソニの開幕を高らかに宣言してくれています。そのリリックをご紹介しましょう。
ステイホームでも無礼講!
すげぇ曲かませ!さぁ今Break Out!!!
またまた来たぜ俺たちのフェス!
各々進んだ新たなフェイズ!
自信に満ちたFace揃って
頂点目指しぶつかるChase!
音速超えてオーバーザ突風!
Gadget Sonic! Are You Ready?
まさにガジェソニ讃歌。ここまで大会に入れ込んでくださり、ガジェソニ運営一同、本当に感激しております。
なお大会閉幕日には、See You Again(GS2020)というトラックもアップしてくれました。
それぞれ再び道を進んで
新たな課題も乗り越える
次逢う時には土産の調べ
皆で奏でよう此度のように灰からHIGH
LOW(老)になるつもりさらさらない!
HIGHから灰
完全燃焼 繰り返す上昇SEE YOU AGAIN Gadget sonic!
全ての出会いと企画へ賛辞 楽しい時間になりました!
SEE YOU AGAIN Gadget sonic!
全ての出会いと企画へ賛辞 みなさまお疲れさまでした!
ガジェソニを盛り上げてくれた大功労者として、最大限の賛辞をお伝えしたいと思います!!
◇
次に紹介するのは、この曲。
アップルパイのうた
作詞 作曲 ボーカル:うちの娘7歳の歌声を聴いてください。#KorgGadget #GS2020 pic.twitter.com/bDuBWeVPVz
— おー (@tekisuke) August 16, 2020
今大会では珍しくTwitter動画によるエントリーですが、なんと7歳の娘さんに、お父さんがKORG Gadgetで作曲した「アップルパイのうた」を歌わせています。
(2020/8/31追記:その後おーさんからメッセージをいただき、実際はなんと7歳の娘さんが自発的に作詞作曲した曲に、お父さんが伴奏をつけたのだそうです。すごい!!!)
なんとも可愛らしく、微笑ましいじゃありませんか!
わずか12秒間(全応募作品中、最短!)のトラックですが、こんな芸当がカジュアルにできるのは、iPhoneやNintendo Switchをプラットフォームとするコルガジェならではだと思いますが、いかがでしょう?
この女の子の将来が、本当に楽しみですね。
◇
どんどんいきましょう。次にご紹介するのは、こちらのトラックメーカー。
011:KIHACHI – External Focus
KIHACHIさんは昨年大会からお見かけしていましたが、この曲のように、確かなテクニックによるディスコサウンドをお作りになるトラックメーカーです。
とにかく短期的に集中してエントリーされる多作の方で、今大会では怒涛の19曲(!)ものエントリー。運営スタッフ間でも「どうしてこんなに作るのが早いんだろう…」と話題になっていました。
また、ハードフロアを想起するテクノサウンドが持ち味であるNO!NO!NO!さんも応募総数17作品と、こちらも尋常ならざる多作っぷり。
052:NO!NO!NO! – なんだか、マトモなこと言うなあ?
お二方へは運営チームからの感謝を込め、「SONIC MEDAL」を授与させていただきます。来年もよろしくお願いします!
◇
最後に紹介するのは、こちらの映像作品。
149: K41 – Dancing In My Room
ご覧の通り、KORG Gadgetでの楽曲制作課程を、とても綺麗なマルチビューで披露されています。
KORG Gadget for Macを使い、ARTURIAのMIDIキーボードで演奏し、手弾きのエレクトリックベースをDurbanで録音。AKAI MPD218によるフィンガードラムもプレイされています。
挙句に、なんと「あつまれどうぶつの森」(島メロ・しずえさんのハミング) のサンプルを、Nintendo Switchのイヤホンジャックから直接ZurichへRec。そのまま楽曲に活かしています。
一つの楽曲作品として、また自宅録音の模様を記録した貴重な映像作品として極めて完成度が高く、すべてのガジェソニ・ユーザーにとって興味深いのではないでしょうか。
次の大会では、こうした臨場感あふれる演奏動画が多く寄せられることも期待したいですね。
以上、ガジェソニアトラクション「SONIC MEDAL」の授与式でした!
GadgetSonic 2020 グランドフィナーレ。すべての参加者の方に、心からの感謝を込めて。
さて、3週間にわたって繰り広げられた、KORG Gadgetユーザー作曲コンペティション「GadgetSonic 2020」も、そろそろ閉幕の時を迎えようとしています。
2018年「昨今失われつつある作曲発表の場を、コルガジェユーザーへ提供する」という理念により、草の根コンペとして始めた今大会は、今や真夏の名物行事として定着した感があり、大会規模は年々拡大しています。
Twitterで #GS2020 のタグを開くと、ガジェソニを媒介としてユーザー同士が互いの作品を認め合ったり、あらゆるところで歓喜の声が湧き上がっているのを目撃します。受け手も送り手もみんなが幸せになれる、優しい世界が広がるばかり。
それは、お忙しい中で共に走り続けてくれた「ガジェソニ実行委員会」のメンバーであるショーン@seanwinter12さんとあやみ@sleepxnzさん。そして今回はトラックメーカーとしての参加となりましたが、ガジェソニ発案者であるTaiki@TaikiOverthereさん、第一回大会に携わってくださった和龍@japodragon1さんのおかげです。
そして何より、エントリーしてくださった176作品の作者様に最大限の謝辞をお伝えして、ここにGadgetSonic 2020の閉幕を宣言いたします。
このガジェソニは来年もその次の夏も、KORG Gadgetというプロダクトがこの世に存在し続ける限り、続けていきたいと思っています。
来年2021年の夏に、またお会いしましょう!!
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