メンフィス(KORG Gadget)

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  • 永遠の名機「MS-20」を再現した、モノフォニック仕様のアナログ・セミモジュラーシンセ。
  • 図太いオシレーターと強烈なフィルターが持ち味。パッチングにより、自由で複雑な音色を作成できる。
  • アシッドサウンドやSEといった「奇音」を作らせたら無双の、暴れ馬ガジェット。
目次

🇺🇸 Semi-Modular analogue Synthesizer "Memphis"

タイプサンプラー(スライサー )
プログラム90音色
リリース2014年
for iOS対応
for Mac対応
for Plugins対応
for Nintendo Switch 非対応
for PlayStation 非対応
KORG Gadget VR 非対応
 価格 ¥3,680(KORG iMS-20 for iPad)
 入手方法アプリ"iMS-20 for iPad"をインストールする
 App内課金アイテム調査中(2025年12月現在)
パッチ次第でエキセントリックな奇音を出せるが、シンセサイザーについての高度な知識が要求される。
パッチ次第でエキセントリックな奇音を出せるが、シンセサイザーについての高度な知識が要求される。

Memphisとは

Memphis(メンフィス)は、1978年にリリースされたモノフォニック・アナログシンセの名機KORG MS-20をガジェット化したものです。

Memphisのガジェット・パネル。SYNTH画面

アナログシンセの中でも屈指の、ワイルドかつ野太い出音が持ち味。ブリブリ・グチョグチョとしたアシッドサウンドも得意で、いかにも電子楽器的です。

Memphis最大の特徴は、パッチングによってユーザー自らが信号の流れを定める、セミモジュラー仕様であること。

PATCHBAY画面

VCOやEGなど、各モジュールには入出力端子が用意されており、タッチパネルをドラッグして送信元と送信先をパッチ・ケーブルで接続し、様々な音色加工を行います。

一見難しそうに思えますが、実はインプット同士やアウトプット同士など、不適切なパッチングは行えないようになっています。一種の「ガイド機能」と言えます。

OUT同士だと端子がグレーアウトし、接続できない。

この種のセミモジュラーシンセ・ガジェットに、同じくモノフォニック仕様であるDublinがありますが、Memphisの方が自由で、より複雑なセッティングが可能。

外部から入力した信号のピッチをCV信号に変換するエクスターナル・シグナル・プロセッサまで用意されています。

PHONE端子から、信号をエクスターナルさせている様子。

そんなMemphisですが、シンセとしての仕様は2VCO・2VCF・1VCA・2EGと、いたってオーソドックスな構成。しかし、各モジュールの素性は強力そのもの。

リング・モジュレートも可能な2基のVCOは、倍音成分がたっぷり含まれた基本波形を発生します。まさにMemphisを率いる2トップ。

太い出音が自慢のVCOを2基搭載。RINGを適用できるのも美点。

フィルターも強烈で、ローパスに加えてハイパスにもレゾナンスを適用可能。PEAKノブを上げていくと、やがてフィルター自らが発振します。

ハイパス・フィルターを活かした、ピーキーな音色作りも可能。
ハイパス・フィルターを活かした、ピーキーな音色作りも可能。

このキレの良いフィルターを活かした複雑な音色作りこそ、Memphisの醍醐味であると言えます。
そんな自由さゆえ、シンセ初心者にとっては難しいガジェットですが、90種類のユニーク、かつ即戦力となる音色がプリセット。それだけでもMS-20の魅力を存分に味わえるでしょう。

Memphisの使いかた

Memphisは、SYNTH画面とPATCHBAY画面を切り替えながら使います。

2画面共通エリア

SYNTH画面とPATCHBAY画面のどちらでも表示されるエリアです。

  1. SOUND PROGRAM Memphisの内蔵音色を呼び出す
  2. 画面切り替えスイッチ SYNTH画面とPATCHBAY画面を行き来する
  3. FXスイッチ Onにするとエフェクトが有効になる
  4. マルチFX Memphisのマルチエフェクターを14種類から選択

SYNTH画面

SYNTH画面はこのように、多くのセクションで構成されます。

  1. VOLTAGE CONTROLLED OSCILATTOR 1 / 2 基本波形を生成したり、音程を定める
  2. PORTAMENTO ポルタメント。音程が滑らかに移動する時間を定める
  3. MASTER TUNE オシレーターの音程をセント単位で定める
  4. VCO MIXER VCO 1およびVCO 2の出力レベルを定める
  5. FREQUENCY MODULATION クロス・モジュレーションに関する設定を行う
  6. VOLTAGE CONTROLLED HIGHPASS FILTER 電圧制御式のハイパスフィルター。
  7. VOLTAGE CONTROLLED LOWPASS FILTER 電圧制御式のローパスフィルター。
  8. CUTOFF FREQUENCY MODULATION (HIGHPASS FILTER) ハイパスフィルターのカットオフ周波数を定める
  9. CUTOFF FREQUENCY MODULATION (LOWPASS FILTER) ローパスフィルターのカットオフ周波数を定める
  10. MODULATION GENERATOR LFOに関する設定を行う
  11. ENVELOPE GENERATOR 1 ADRタイプのエンベロープジェネレーター。
  12. ENVELOPE GENERATOR 2 ADSRタイプのエンベロープジェネレーター

VOLTAGE CONTROLLED OSCILATTOR 1 / 2

Memphisに2基搭載されたVCOです。ここで基本波形を生み出します。

  1. VCO 1 基本波形を、Tri / Saw / Pulse Width / Noiseから選択する
    VCO 2 基本波形を、Saw / Pulse 50% / Pulse 10% / Ring Mod.から選択する
  2. VCO1 PW VCO1でPulseを選んだときのパルス幅を定める
  3. VCO2 Tune VCO2の音程を定める
  4. Scale VCO1とVCO2の音程をオクターブ単位で定める

PORTAMENTO

ポルタメント。違う鍵盤を引いたとき、音程が滑らかに移動する時間を定めます。

MASTER TUNE

VCOの音程をセント単位で調整します。±100セントの範囲で定めます。

VCO MIXER

VCO 1とVCO 2の出力レベルを定めます。

FREQUENCY MODULATION

金属的な響きをもたらす、クロス・モジュレーションに関するセクションです。

  1. Pitch MG/T.EXT MGによってVCO 1と2の音程にかかるモジュレーションの深さを定める
  2. Pitch EG1/EXT EG 1によってVCO 1と2の音程にかかるモジュレーションの深さを定める

VOLTAGE CONTROLLED HIGHPASS FILTER

Memphisのハイパスフィルターです。カットオフ周波数から上の帯域を残し、それよりも下の帯域をカットします。

  1. HPF Cutoff ハイパスフィルターのカットオフ周波数
  2. HPF Peak カットオフ周波数付近を強調して音にクセをつける

VOLTAGE CONTROLLED LOWPASS FILTER

Memphisのローパスフィルターです。カットオフ周波数から下の帯域を残し、それよりも上の帯域をカットします。

  1. LPF Cutoff ローパスフィルターのカットオフ周波数
  2. LPF Peak カットオフ周波数付近を強調して音にクセをつける

CUTOFF FREQUENCY MODULATION (HIGHPASS FILTER)

ハイパスフィルターのカットオフ周波数変調に関する設定を行います。

  1. HPF MG/T.Ext MGによってかかるモジュレーションの深さを、ハイパスフィルターのカットオフ周波数に合わせて調整する
  2. HPF EG2/Ext EG2、または外部入力によってハイパスフィルターのカットオフ周波数にかかるモジュレーションの深さ

CUTOFF FREQUENCY MODULATION (LOWPASS FILTER)

ローパスフィルターのカットオフ周波数変調に関する設定を行います。

  1. LPF MG/T.Ext MGによってかかるモジュレーションの深さを、ローパスフィルターのカットオフ周波数に合わせて調整する
  2. LPF EG2/Ext EG2、または外部入力によってローパスフィルターのカットオフ周波数にかかるモジュレーションの深さ

MODULATION GENERATOR

LFOに関する設定を行います。

  1. MG Key Sync Onにすると、鍵盤を押さえるたびにMGの振幅がリセットされる
  2. MG Tempo Sync Onにすると、LFOが曲のテンポに同期する
  3. MG Waveform LFOの波形を定める
  4. MG Frequency ②がOnのときはLFO周期を音符単位で定め、OffのときはLFO周期を周波数単位で定める

ENVELOPE GENERATOR 1

ADRタイプのエンベロープ・ジェネレーターです。

  1. EG1 Delay Time 鍵盤を押さえてからEGが動作するまでの時間
  2. EG1 Attack Time 鍵盤を押さえてからアタックレベルに達する時間
  3. EG1 Release Time 鍵盤を離してからレベルが0になるまでの時間

ENVELOPE GENERATOR 2

ADSRタイプのエンベロープ・ジェネレーターです。

  1. EG2 Hold Time 鍵盤を離したあと、トリガーが保留される時間
  2. EG2 Attack Time 鍵盤を押さえてからアタックレベルに達する時間
  3. EG2 Decay Time 鍵盤を押さえてからEGが動作するまでの時間
  4. EG2 Sustain Level 鍵盤を押さえている間の持続レベル
  5. EG2 Release Time 鍵盤を離してからレベルが0になるまでの時間

PATCHBAY画面

各モジュールの入出力ジャック群です。これらのジャックをパッチケーブルでつなぐと、より奇抜なサウンドを作ることができます。

ジャック上でタップするとケーブルが現れ、そのまま目的のジャックまでドラッグして離すと接続します。接続状態のジャック上でタップして他の場所へ持って行くと、ケーブルを抜く(消す)ことができます。

ルーティングとして不適切な場合、接続は行えません。

MS-20は、音声信号である「SIGNAL」と、制御信号である「CV」および「トリガー」があり、それぞれに出力(OUT)、および入力(IN)ジャックが存在します。パッチングは基本的に、同じ種類の信号のOUTとINをつなぎます。

PATCHBAY画面はとても複雑なので、ここからは大まかなセクションごとに役割を紹介します。各項目には信号の種類と、IN/OUTのどちらであるかを付記します。

上段:各種モジュレーション出力を受け入れるジャック群

PATCHBAY画面のパネル上部に、2つのオシレーターからシグナルアウトまでの信号のながれが示されています。

そしてその下には、さまざまなモジュレーション・ソースを受け入れるためのジャックが並びます。出音に直接作用する重要セクションです。

  1. TOTAL (CV IN) VCO 1・VCO 2・VCF (HIGHPASS)・VCF (LOWPASS)を同時コントロールする。SYNTH画面のMG/T.EXTノブでモジュレーション量を調節する
  2. FREQ (CV IN) VCO 1とVCO 2の音程をコントロールする
  3. EXT SIGNAL IN (SIGNAL IN) 外部からの音声信号を、VCO 1とVCO 2の音声信号とミックスする
  4. CUTOFF FREQ (CV IN) HPFのカットオフ周波数をコントロールする
  5. CUTOFF FREQ (CV IN) LPFのカットオフ周波数をコントロールする
  6. INITIAL GAIN (CV IN) 音量をコントロールする
  7. VOLUMEノブ 音量を定める
  8. SIGNAL OUT (SIGNAL OUT) 音声信号のマスターOUT
  9. PHONES (SIGNAL OUT) ヘッドフォン出力

中段:各種モジュレーションを生み出すジャック群

PATCHBAY画面の中段は、あらゆるモジュレーション・ソースを生み出すセクションです。

実際のパッチングは基本的に、中段で生成した制御信号を、上段へ送ることだと考えると分かりやすいです。もちろん、中段同士をつなぐこともできます。

MODULATION GENERATOR

LFO(低周波発振器)です。VCOにつなぐとビブラート、VCFだとワウ、VCAだとトレモロ効果が得られます。

  1. MG OUT (CV OUT) SYNTH画面のMG Waveformノブで定めたLFO波形を出力する。連続可変するWaveformノブの操作により、ノコギリ波→三角波→ランプ波とモーフィングする
  2. MG OUT (CV OUT) SYNTH画面のMG Waveformノブで定めたLFO波形を出力する。連続可変するWaveformノブの操作により、パルス幅が0〜100%と変化する。50%だと矩形波で出力される
ENVELOPE GENERATOR

SYNTH画面で定めたEG 1、EG 2のエンベロープ(ADSR)を出力します。REV OUTにするとエンベロープ波形が反転するので、たとえばフィルターが開いた状態から閉じていくサウンドが得られます。TRIG INでは、EG1単独またはEG1+2を発動させるためのトリガー信号を入力できます。

  1. EG1 OUT (CV OUT) EG 1のエンベロープ波形を出力する
  2. EG1 REV OUT (CV OUT) EG 1のエンベロープ波形を反転出力する
  3. EG2 REV OUT (CV OUT) EG 2のエンベロープ波形を反転出力する
  4. EG1 TRIG IN (TRIG IN) トリガー信号を入力し、EG 1だけを動作させる
  5. EG TRG IN (TRIG IN) トリガー信号を入力し、EG 1と2の両方を動作させる

たとえばMG OUTからトリガー信号を入力すると、鍵盤を弾かなくてもLFOの周期で音を鳴らし続けることができます。

この記事は、2026年6月時点でリライト中です。最新バージョンに対応すべく更新していきます。

VCO
KBD
S&H
MVCA
Noise

下段:外部入力に関するジャック群

おすすめ利用シーン

実機MS-20と同じく、モノフォニック仕様であるMemphisの主戦場はやはりシンセ・ベース。非常に図太く、存在感のあるベースサウンドを生み出すことができます。
フィルターを目一杯効かせたビヨビヨとしたアシッド・サウンドも、得意中の得意。

さらにリング・モジュレーターを活かし、キンキンした金属的なサウンドも作れます。

ホワイト&ピンクノイズジェネレータもバッチリ用意されており、トラックメイキングにおいて場面展開に使えるような奇抜なSEなど、飛び道具作りも思いのまま。

とにかく非音楽的というか、不思議でエキセントリックなサウンドを作らせたら、このMemphisの右に出るガジェットはありません。一方、繊細で、浮遊感あふれるようなサウンド作りは不向きです。

アナログシンセの魅力がいっぱい詰まったMemphis。そんな「暴れ馬」を操ることができれば、あなたにとって大切な相棒になってくれることでしょう。

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