MIDIレコーディング&編集(ピアノロール/オートメーションに関する操作方法)
KORG GadgetをはじめとするDAWでは、現実的に存在する音である「オーディオデータ」と、仮想的なソフト音源(ガジェット)を演奏するための信号「MIDIデータ」を駆使して曲作りを行います。このページではKORG GadgetでMIDIデータを扱うため、エディット画面におけるピアノロールと、オートメーション画面について解説します。
ピアノロール/ノート/オートメーションとは?
KORG Gadgetのエディット画面です。大きく上下に分かれていて、上半分にあるのがピアノロール。ガジェット楽器を演奏させるためのデータを入力したり、編集したりできます。ピアノロールに点在するブロックをノートといい、ガジェット楽器が実際に演奏(発音)する部分となります。
エディット画面下半分にあるのがオートメーション。ここでは音量や音色など、あらゆる音を変化させるためのパラメーターが表示されます。
ピアノロールの基本操作
ここでは、ピアノロールの基本操作を解説します。
「リアルタイム入力」と「ステップ入力」の違いとは?
MIDIデータを録音する手段として、リアルタイム入力とステップ入力があります。文字通り、曲の進行に合わせてガジェットを演奏し、リアルタイムに録音するのがリアルタイム入力、ノートを一つ一つ手作業で打ち込むのがステップ入力です。
鍵盤演奏やパッド操作に慣れた方はリアルタイム入力、不慣れな方や、データを微調整する場合はステップ入力と、シーンによって使い分けるのが良いでしょう。
リアルタイム入力でMIDIレコーディングを行う
MIDIレコーディングをリアルタイム入力で行うやり方は、次のとおりです。
メイン画面にて、これからレコーディングを行うクリップをタップし、エディット画面のフッターにあるトランスポートのうち○(Recボタン)をタップします。するとヘッダーが赤く明滅し、Recスタンバイ状態となります。
Recスタンバイ状態で▶️(Playボタン)をタップするとレコーディングがスタート。Rec中に鍵盤を弾くと演奏情報が記録されます。また、Rec中にガジェットのノブやミキサーを操作すると、その動きが記録されます。これがオートメーションです。
再び○(Recボタン)をタップすると、スタンバイ状態が解除されます。
リアルタイム演奏時のズレを防ぐ(Quantize)
手弾きで鍵盤をリアルタイム演奏していると、どうしてもモタついたり、つんのめったりして、リズムがズレる事があります。そんな時はクォンタイズをONにすることでリズムがズレないよう補正され、ジャストにRecされます。
どの音符単位で補正されるかは、グリッドの設定値によります。
クォンタイズでタイミングがジャストになると、機械的な演奏に聴こえる事があります。そんな時はクォンタイズをOFFにして再チャレンジ!
クリップの一部だけを繰り返して再生・録音する
たとえば4 Bar(4小節)のクリップにおいて、2〜3 Barの範囲内だけで繰り返し演奏できます。こうすることで納得のいく演奏ができるまで、その範囲だけを思う存分やり直すことができます。そのやり方は次のとおりです。
ピアノロール上部にあるマーカーを長押しタップし、そのまま左右に移動させる事ができます。これにより、スタートポイントとエンドポイント内でリピート再生されます。
ステップ入力でMIDIレコーディングを行う
ステップ入力で演奏データを打ち込むやり方は、次のとおりです。
エディット画面にてDrawモードにします。
グリッド上でタップすると、演奏データであるノートが入力されます。
タップしたまま右へドラッグすると長いノートを、左へドラッグすると短いノートを入力できます。
ノートの削除方法を知る
一旦入力したノートを削除するやり方は、次の2通りがあります。
Drawモードに切り替え、削除したいノート上でタップすると、そのノートが消えます。
Slectモードに切り替え、削除したいノートを範囲指定して消すこともできます。
ノートの長さを変える
一度入力したノートの長さを変えるやり方は、次のとおりです。
エディット画面にてDrawモードにします。
ノートの右端をタップして左右にドラッグすると、自由に伸び縮みさせることができます。
複数のノートをまとめて移動or削除orコピーor複製or全選択する
入力済みのノートをまとめて移動したり削除したい場合は、該当ノートを範囲指定で選択するのが良いでしょう。そのやり方は次のとおりです。
エディット画面にてSelectモードにします。
ドラッグしてノートを範囲選択します。引き続き選択中のノートを移動できますし、ピアノロール下部に現れるコマンド(削除・コピー・複製・すべて選択)を実行することも可能です。
ノートを一発で全選択する
今いるクリップすべてのノートを移動したり削除したい場合は、全選択するのが良いでしょう。そのやり方は次のとおりです。
Selectモードでノートを一つでも選択すると、ピアノロール下部に削除・コピー・複製・すべて選択ボタンが現れます。
このうちすべて選択をタップすると、ピアノロールにあるノートすべてが選択されます。画面外のノートも含みます。
コピーしたノートを、別のトラックやプロジェクトにペーストして使う
KORG Gadget 3から、コピーしたノートを別トラックにペーストできるだけでなく、プロジェクトを跨いでペーストできるようになりました。そのやり方は次のとおりです。
Selectモードでコピーしたいノートを選択すると、ピアノロール下部に削除・コピー・複製・すべて選択ボタンが現れます。
このうちコピーをタップすると、「コピーしました」と表示されます。
別プロジェクトのピアノロール上で、先ほどコピーしたノートを貼り付けたいところで長押しタップすると、ペーストという吹き出しが現れます。これをタップするとペーストが完了します。
この機能により、異なるプロジェクトのフレーズを再利用できるようになりますよ!
選択したノートを1オクターブずつ上下させる
選択したノートを、まとめて1オクターブ移動させるやり方は、次のとおりです。
Selectモードでコピーしたいノートを選択すると、ピアノロール右下にTransposeボタンが現れます。-12をタップすると選択中のノートが1オクターブ下へ、+12をタップすると1オクターブ上へ移動します。
選択したノートのベロシティー(音量)を変更する
ピアノロール上で、ノート自体の音量を変えるやり方は2通りあります。
① Selectモードで音量を変えたいノートを選択すると、ピアノロール右下にVelocityボタンが現れます。-または+ボタンをタップすると、選択したノートの音量を1ずつ変更できます。
② ピアノロール下部にあるパラメーター表示部をタップすると、パラメーターが拡大表示されます。Drawモードでパラメーターの先端部分を上下させ、Velocity(音量)を調節してください。
パラメーター表示部がVelocityボタンなどで隠れている時はノート選択状態なので、選択を解除するとパラメーター表示部が現れます。
ノートのベロシティー量は、以下の通りビジュアルでも把握できます。
ピアノロールを全画面表示させる
エディット画面下半分にあるガジェットを隠し、ピアノロールを全画面表示させるやり方は、次のとおりです。
ヘッダーの↕️ボタンをタップするとガジェットパネルが隠れ、ピアノロールが全画面表示されます。再度↕️ボタンをタップすると元に戻ります。
ピアノロールのマス目(グリッド)数を変更する
ピアノロールのマス目のことをグリッドといい、このグリッド単位でノートを配置していきます。通常は1 Bar(1小節)につき16マス…つまり16分音符単位ですが、これを8マスにしたり、32マスにしたりするやり方は次のとおりです。
フッターのFunctionボタンをタップし、表示されたポップアップにてグリッドを変更します。グリッドをOFFにするとマス目の概念がなくなり、ノートを自由に配置できるようになります。
ノートを3連符で入力したい
ピアノロールのマス目(グリッド)を3連符に対応させるやり方は、次のとおりです。
フッターのFunctionボタンをタップし、表示されたポップアップにてTripletをタップすると、選択中のグリッドで3連符に対応します。
再度Tripletをタップするとグリッドは元に戻りますが、Triplet状態で入力されたノートの位置はそのままです。
ピアノロール画面を一本指、または二本指でスクロールさせる
スクロール操作を一本指、または二本指で行うかは、その他の設定の1 Finger Scrollで選ぶ事ができます。
ピアノロール画面を拡大/縮小表示させる
ピアノロールは基本的に、1画面につき1 Bar分、およそ3オクターブ分だけ表示されます(iPadを縦置きにして全画面表示した場合)。これを拡大したり、縮小するやり方は次のとおりです。
グリッド上で、2本の指を広げるように動かす(ピンチアウト)と、表示範囲が狭まる分グリッドが拡大表示され、つまむように動かす(ピンチイン)と、広範囲を表示することができます。
同じようにピアノロールの鍵盤上でピンチを行うと、今度は音の高さの表示範囲を広げたり、狭めたりすることができます。
画面の大きなiPadでピンチインすると、ピアノロールを広範囲に見渡す事ができますし、画面の小さなiPhoneでピンチアウトすると、より入力操作がしやすくなりますよ!
小節数(Bar)を変更する
プロジェクトを新規作成すると、空のクリップが1小節(1 Bar)分だけ生成されます。これを最大16 Barまで増減させるやり方は、次のとおりです。
フッターのFunctionボタンをタップし、小節数を変更します。1 / 2 / 4 / 8 / 16 Barであればワンタッチで変更でき、1 Barずつ増減させることも可能です。
ちなみにメイン画面でも同じように、クリップの小節数を変更できます。
オートメーションの基本操作
ここでは、オートメーションの基本操作を解説します。
オートメーションをリアルタイム入力で適用する
オートメーションをリアルタイムに適応するやり方は、次のとおりです。
エディット画面のフッターにあるトランスポートのうち、○(Recボタン)をタップします。ヘッダーが赤く明滅し、Recスタンバイ状態となります。
Recスタンバイ状態で▶️(Playボタン)をタップすると再生がスタートし、この最中にガジェットパネルの操作子(ノブやフェーダー)を操作すると、その動きがオートメーションとして記録されます。
オートメーションを手作業で適用する
オートメーションをマニュアルに行うやり方は、次のとおりです。
エディット画面にて、ピアノロール下部に少し見えるパラメーター表示部をタップすると、オートメーションが大きく表示されます。
オートメーションを開くと、常にパラメーターの一つであるVelocity(音量)を調節できる状態です。別のパラメーターに対して変化をつけるには、オートメーション画面左にあるパラメーター名(例:Filter Freq)をタップして選択します。
Drawモードでオートメーション画面をドラッグして、選択中のパラメーターを「描く」ようにエディットしましょう。該当するノブやフェーダーの動きとして記録されます。
オートメーションをより滑らかに変化させる
オートメーションをきめ細やかに変化させるやり方は、次のとおりです。
フッターのFunctionボタンをタップし、表示されたポップアップにてグリッドをOFFにすると、オートメーションを滑らかに変化できます。
記録済みのオートメーションをリセットする
オートメーションをリセットするには、次の操作を行います。
フッターのFunctionボタンをタップし、オートメーションを削除をタップすると、すべてのパラメーターがリセットされ初期状態になります。
直前の操作を取り消す/やり直す(Undo/Redo)
あらゆるエディット画面上での操作は、その画面を抜けない限り、取り消す(アンドゥ)、またはやり直す(リドゥ)ことができます。そのやり方は次のとおりです。
フッターのUndoボタンをタップすると、直前の操作を取り消す事ができます。Undoを複数回タップすると遡って取り消せます。もし取り消しすぎた場合は、Redoボタンでやり直すことも可能です。
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