GadgetSonic 2022 グランプリ作品発表
KORG Gadget
COMPOSITION COMPETITION
GadgetSonic 2022
🐠 BLUE LAKE 🐠
👑 BEST OF SONIC 👑
200:Swenzy「GADGET SESSION」
選評:オシャレでポップで小粋でキャッチー、そして何よりグルーヴィー。
その秘密は、事もなげに紡ぎ出される超絶ソロピアノ達と、それらをしっかり支えるボトムス。
とりわけウォーキングベースの生み出す躍動感が圧巻で、聴き込んでみると細やかなアーティキュレーションが随所に施されていることが分かる。打ち込みでありながら、まるでベースプレーヤーの息吹を感じるようだ。
類まれなるポップセンスと、恐らくジャズの素養を兼ね備えた作者だけが成し得るミラクルワールド。
こんな素敵な作品がGadgetSonicから生まれたことを、1大会運営者、そして1KORG Gadgetユーザーとして誇りに思う。文句なしの一等賞です!!
KORG Gadget
COMPOSITION COMPETITION
GadgetSonic 2022
🐠 BLUE LAKE 🐠
SONIC OF THE YEAR
183:Yukimi.D「時」
選評:とにかく曲の始まり方が鮮烈で、初っ端からノックアウト。
Chiangmai🇹🇭やChicago🇺🇸による硬質なアルペジオが絡み合うバッキングに、どこか「和」「雅」な雰囲気を感じさせる旋律が魅力。
そして「時」を主題とした作品性が、この曲にまたとない深みをもたらしている。
刻一刻、淡々と時を刻み続ける…まるで真夏の終わりを告げるかのような余韻のエンディングも儚く、美しい。
204:Hiyocona「Happy Ramen」
選評:KORG Gadget Kingston🇯🇲が主役の、今大会では珍しいチップチューン風作品。
曲調といいコンセプトといい実にチャーミング。作者自らが普段の日常の中、笑顔で楽しみながら制作しているのがヒシヒシ伝わってくる。
曲中盤でテンポチェンジの錯覚を感じさせるテクニックも味わい深く、この曲を啜るリスナーを飽きさせない。
あっという間に完食…ごちそうさまでした!🙏
120:Pheny「Xyber Ravenz」
選評:非常にハイエナジー、かつアーバンな空気感を抱く、実にKORG Gadgetらしいトランスミュージック。
例えるなら、真夏の夜の首都高を疾走するイメージ。これはおそらく、Lisbon🇵🇹がその威力を存分に発揮している。
随所に施された「The Synthesizer」なフィルターサウンドをはじめ、楽曲の屋台骨を支えるタイトなキック、美しいピアノやポルタメントが効いた伸びやかな上モノ、トラックに彩りを添える意匠を凝らしたSE群。音質面もローからハイまでバランスが良く、すべてにおいて隙のなさを感じる。
決してトラックを一本調子にさせない工夫と努力が満載。初心KORG Gadgetユーザーは、この曲をレファレンスとして目指してみるのが良いだろう。
042:st.fe「Jörmungandr」
選評:極めて大人っぽい、インテリジェンスな匂いを纏う美しいテクノ。
控えめでクールなボトム上で泳ぐ、変幻自在なピアノとソロヴァイオリンの響きが実に端正。その旋律は、どこか牧歌的でノスタルジック。反面、地を這うかのような低音パートも聴きごたえがある。
エレクトロ好きリスナーとして純粋に楽しめる逸品。率直に言えば、WARPレーベルアーティストのトラックと遜色ないレベルにあると感じる。
191:Imori(イモリ)「The Way Home」
選評:肩の力がすっかり抜けた、聴く者みんなが笑顔になれる洒脱で親しみやすい曲。
ずっしり安定感のあるアコースティックドラムに、どこかとぼけた主旋律。
それでいて、煌びやかな音色を起用したBメロはどこか郷愁を帯び、何気に美メロなのが印象的。そこはかとなく庶民的な上方気質を感じさせる雰囲気。
あの頃の夏休み。虫取りや三角ベース、駄菓子屋を満喫した、少年時代の帰り道を追憶できるかのような曲。
194:F.L.a.T「Afterhours」
選評:中毒性の高いループミュージック。
曲の基幹を司るレゾナンス多めの反復フレーズに、少しずつ美しい上モノが加えられ、最後になってスパルタンなドラムが控えめに登場。
このように構成そのものはシンプルこの上ないが、この曲もまたリスナーを飽きさせない工夫が随所に見て取れる。
プリミティブさと知性が静かに融合した、ガジェソニ入賞常連者ならではの味わい深き世界。
019:Kazuhiko Fujinawa「神速JazzFunk」
選評:煙っぽいベースの入りからして、一瞬で「こりゃヤバい」と感じさせるジャズファンク。
ガジェットはMadrid🇪🇸を礎とし、Darwin🇦🇺やGlasgow🏴による生音系プリセットを多用。EDMが得意なKORG Gadgetにおいて、作者はライブ感の再現を極限までチャレンジしている。
そんな音色選択に加え、中盤のサックス&クラリネットソロが圧巻。熱量あふれる即興プレイでリスナーを惹きつけるが、その前後に控えるユニゾンワークが実に端正。ユニゾンだがクラリネットはトリル奏法が施され、手抜かりは一切なし。わずか2分半のトラックにジャズ、そしてファンクの妙味が凝縮。非常に聴き応えがある。
余談ながら、このエントリー動画は紛れもなくKORG Gadgetの画面キャプチャー。しかもその画角からiPhoneだけで制作されていることが分かる。
これは作者の力量を示すのと同時に、音楽制作アプリ「コルガジェ」が持つ能力を世に知らしめる偉業、貢献であると言えるだろう。
072:vionan「Magni」
選評:KORG Gadget for Nintendo Switchから生み出された、高揚感のあるエレクトロ。
シンセブラスのフィルターが開いていくイントロは夏の始まりを思わせ、その後も明るくアッパーに展開する。
印象的なのは、ちょっとしたフレーズ使いに小慣れ感があり、かなりお洒落であること。そのフレーズ一つ一つに、シンセのプリセットに頼らぬ音色加工が丹念に施されている。衝動だけに頼らず、終始丁寧に作られているのが良く分かる。
曲後半になると一気にしんみりするが、どこか希望も感じさせる。そんな起伏に富んだトラックメイク術も見事!
201:Taiki overthere「Elgrand」
選評:この作品の主題をなすストレートな旋律が雄大で美しい。この美メロは曲全体に起用され、様々な音色が混ぜ合わされ、その表情を変え続ける。
まるでフェスの最後、ステージに向けられた大観衆の歌声に聴こえる。ガジェソニの大会アンセムのようだ。
そして曲中盤になって訪れる、気だるいラップが強烈。
人の声はリスナーの意表を突き、トラックにまたとない個性を吹き込む強力な「飛び道具」となる。是非このテクニックはZurich🇨🇭やBilbao🇦🇪で真似したい。
毎大会、唯一無二の存在感を示すコルガジェ界隈きっての実力者。この夏もその個性を遺憾無く発揮した。
158:八岐大蛇「202208」
選評:持ち前のユニークなポップセンスでガジェソニを盛り上げる立役者。
曲そのものは無国籍テイストで非常にアクが強く、途中からなぜかボーカロイドによるコーラスが加わる不思議な雰囲気。
そんなカオティックな世界観に眩暈がするが、選者的には大好きなセンス。
やりたい放題の映像もさることながら、音楽=創作ってこんなに自由でいいのか…そんな事をこの作品から、改めて認識した次第。
🌴 GREEN FIELD 🌴
🔥 RED STAGE 🔥
🏅SONIC MEDAL🏅