ウェーブテーブルを纏ったオールインワン・アプリ「KORG ELECTRIBE Wave」デビュー。

コルグは2018年8月27日、次世代ELECTRIBEともいえるiOS音楽制作アプリELECTRIBE Waveを発表しました。
ELECTRIBEシリーズは、1999年に発売された「ELECTRIBE A」を源流とする、コンパクトな音源付きハードウェア・シーケンサー。
image:vintagesynth.com
当時大流行していた Roland MC-303 に代表にされる「グルーヴボックス」の流れに乗る製品でした。
このシリーズがユニークだったのは、「バーチャルアナログ音源」「リズムマシーン」「サンプラー」など機種ごとに機能が特化されていて、つまみなどの操作子がシンプルゆえ直感的に操作でき、さらに4万円台という低価格を実現した点。
これによってELECTRIBEユーザーは、自らの制作環境や、ライブ環境に合わせてセットアップを柔軟に変えることができたのですね。
そんなELECTRIBEも、シリーズを重ねるごとに洗練化と機能の統合が進み、今ではシンセサイザー総合環境であるelectribeと、サンプラー総合環境electribe samplerの2機種で展開されています。
image:Digiland
そんな中、突如登場したのが、ELECTRIBEをiOSアプリとして復活させたiELECTRIBE for iOSでした。
iELECTRIBE for iPadは、なんと2010年にApple iPadと同時にデビューした、世界初のiOS音楽制作アプリ。
今でこそKORG Gadgetを筆頭に隆盛を極めるiOS音楽制作シーンですが、iELECTRIBE for iPadはその原点ともいえるアプリだったのですね。
翌2011年に「架空の超人気バンド」GorillazとのコラボモデルiELECTRIBE Gorillaz Edition、2015年にはiELECTRIBE for iPhoneがリリースされています。
さて、このほど発表されたELECTRIBE Waveは、昨今の音楽シーンに完全対応。
そのサウンドのみならず、トラック・メイキングを強力にサポートする各種機能やユーザー・インターフェースなど、様々な強化が施されました。
この記事では、ELECTRIBE Waveの持つ特徴をピックアップし、できるだけ分かりやすく紹介します。
ウェーブテーブル音源搭載。今風のサウンドを速攻でゲットできる。
ELECTRIBE Waveというネーミングの由来である「ウェーブテーブル音源」が搭載されています。これが最大のウリ。
image:KORG
具体的には、このような変幻自在で、奇妙キテレツなサウンドを作れます。
ウェーブテーブル音源は、通常のシンセサイザーでの音作りとは根本的に異なり、波形の断片をつなぎ合わせて、それを繰り返し再生させたり、波形そのものをリアルタイムにいじったり…とまあ、今っぽい「リアルタイムな変化に富む」アブストラクト・サウンドを作ることが出来るというもの。
既存の機種では、iOSアプリやガジェット化もされたKORG WAVESTATIONで用いられた音源方式ですね。
正確にはベクトル・シンセシスですが…。
image.KORG
概念が特殊なので最初は戸惑うかもしれませんが、ある意味パズルのように波形をいじれるので、変に構えず楽しみながら、音作りを覚えていけばいいと思いますよ。
ウェーブテーブルを自在に操ることができれば、あなたのトラック・メイクの強力無比なる武器になることは必定!
もちろんELECTRIBE WaveにはPCM音源も搭載されているので、古くからのELECTRIBEユーザーもご安心あれ。
ユーザー・インターフェースが大幅進化。トラックメイクを強力にサポート。
ELECTRIBEでの打ち込みといえば、今も昔も「16ステップのパッド」で行います。
しかしELECTRIBE Waveでは、なんと「キーボード」が追加投入されています。
しかもこのキーボードは、KORG Gadgetでもおなじみの「スケール・キーボード」。
このスケール機能により、モーダルな音楽知識がない初心者でも音を外す事なくトラックメイクを楽しめるのです。
KORG Gadgetでもお馴染みなインターフェースなので、コルガジェユーザーならELECTRIBE Waveの打ち込みはすぐに理解できますよ。
こうやって「ドラムパターン」「シンセフレーズ」入力別に、適切なインターフェースを切り替えながら曲作りを行うのです。まさにiOSアプリならでは。
おなじみのカオスパッドで、様々なパラメーターを自在に操ることも可能です。
メロディーからコードを自動抽出!「Fetch」機能がすごい。
ELECTRIBE Waveに搭載された機能のうち、筆者が特に興味を引いたのはコード・パッドの使い勝手です。
指先一つで和音を鳴らすことができて便利なのですが、このセクションに「Fetch」というボタンがあります。
これを押すと、シーケンス・データから和音抽出し…
なんと、自動でコード・パッドに割り当ててくれるんですね。
上のトラック例では5種類のコードが抽出され、コード・パッドにセットされています。
生成されたコードはアルペジエーターを適用することもできるので、フレーズを作る際の強力な武器に。
この機能は、和音などの音楽理論を持たない方にはもちろん、手練れのトラックメーカーにとっても、トラックを素早くスケッチしてイメージを追い込んでいけるので、とても有効だと思います。
発売記念セール実施中。今なら33%オフ!
ELECTRIBE Waveの発売を記念し、現在セールが行われています。
通常価格3,600円のところ、2018年8月27日(月)から9月30日(日)までの約一ヶ月間に限り、33%オフの2,400円です。
ELECTRIBE Waveを格安で手に入れるチャンスなので、お見逃しなく!
最先端のダンス・ミュージックを作るためのオールインワン・アプリ。
以上、2018年8月27日にリリースされたばかりのiOS音楽制作アプリ・ELECTRIBE Waveについて紹介しました。
サウンド面もさることながら、素早い入力ができるステップ・シーケンサーなど、ひたすら今流行りのEDM作りに特化した制作環境が提供されています。
基本的にはスタンドアロン・アプリなので、KORG Gadgetなどとの連携はむずかしいのですが(WAVエクスポートしてAudioCopyで使うこと等はできます)、この種の音楽制作に興味のある方は、導入を考えても良いのではないでしょうか。
ELECTRIBE Waveだけにフォーカスして、その機能を徹底的に駆使する曲作りというのも、トラックメーカーの有り様としては大アリだと思いますよ。
それではまた。Have a nice trip!