GadgetSonic 2021 グランプリ作品発表
KORG Gadget
COMPOSITION COMPETITION
GadgetSonic 2021
🐠 BLUE LAKE 🐠
👑 BEST OF SONIC 👑
008「Raspberry Jam - 2nd Jar -」by mistyminds
選評:タイトでシンプルなビートループに乗せ、レトロなアナログシンセがふんだんに盛り込まれたポップチューン。エイティーズのニューウェーブサウンドを現代風に落とし込んだようにも聴こえ、とにかくお洒落。淡々と紡ぎ出されるボーカルはどこかアンニュイだが、その歌詞はラズベリー・ジャムへのこよなき偏愛…なんと小粋で、温もりあふれる世界だろう。日々の生活の中で曲作りを愛し、音楽と寄り添う作者の姿が浮かぶようだ。
過去のガジェソニでことごとく入選してきた実力者が、ついに戴冠を果たした。Congratulations‼️
KORG Gadget
COMPOSITION COMPETITION
GadgetSonic 2021
🐠 BLUE LAKE 🐠
SONIC OF THE YEAR
067「マーキュリー#3」by xxkadotani
選評:聴く者を、否が応でもエモーショナルな境地に導く極上エレクトロニカ。憂いを帯びた甘いボーカルは、まさに真夏の都会の夜の匂い。印象的なパッドのグリッチ・サウンドは Fairbanks の拡張音源。こいつの威力で、トラック全体にまたとない深みをもたらしている。控えめだが有機的なリズムトラック、程よくポルタメントの効いた流麗なブリッジ…どこを取っても手ぬかりなし。作者のスキルによって、KORG Gadgetのポテンシャルを存分に発揮させた名曲。
001「B11」by SJKGSDS
選評:ガジェソニ開幕直後にエントリーされた、栄えあるエントリーナンバー1は、90年代の気配漂う骨太エレクトロ。多少の歪みもなんのその。むしろクリップが荒々しいエフェクトと化し、この曲の妙味となっているのが何ともシニカル。それにしてもこのトラックが、KORG Gadget for Nintendo Switch の音源数個だけで作られたことに驚く。一つ一つの音色変化が顕著で、各種パラメーターに相当手が入っていることは想像に難くない。曲作りに注ぎ込まれた、途方なきガッツを感じさせる。
079「Tokyo Scrap」by MIX-MAX
選評:アナログリズムシンセ「東京」7トラックだけで構築された、極めて実験的でアヴァンギャルドな作品。あたかもシンセ弾きに聴こえるフレーズは、パーカッション・モジュールのチューンつまみを緻密にエディットして実現。制約下において出來得る限りの努力を払う、まさにテクノのスピリット。繰り返しになるが、リズムシンセ一つでこれほど完成されたソングに仕上げたのは、率直に言って偉業という他ない。曲名もサイコーにイカす。
011「Piles of leaves」by MN:tron
選評:作者の持ち味が遺憾なく発揮された、抒情的で美しいエレクトロニカ。めくるめく音の波動が私たちを静かに包み込む…と思いきや、中盤以降のボトムは強く音色も明快かつ具象的。そのギャップが本作の魅力の一つ。パッド・ベース・ドラム・フレーズは丁寧な計算の上で配置され、そのせいか耳心地が非常に良い。山々の稜線から朝日が登る様子が目に浮かぶ、夜明けのような音楽だ。
146「--NEWBORN--」by Imori(イモリ)
選評:雄大でポジティブなサウンドを放つ独特な音楽性。強烈なフィルターを活かし奇音を発するARP ODYSSEY や、リズムパートを司る MS-20 といったアナログシンセがふんだんに盛り込まれているためか、曲全体に宇宙っぽさを感じさせる。音の一つ一つに意匠を凝らした、トリッキーで手の混んだトラックメイクは見事の一言。それでいてメインフレーズはキャッチーという、なんとも不思議な魅力が詰まった曲。唯一無二。
112「Daylight」by POPFACES
選評:全エントリー作品の中で最もグッと来た、ひと夏の胸キュンソング。少しキックが出過ぎだったり、やや単調な音色づかいはもう一工夫欲しい所。しかし、この曲にはそんなものを遥かに凌駕する魅力がある。エレピによる素朴なコードワークとキラキラしたカウンターに乗せ、ひたすら真っ直ぐな美メロを追求する姿勢。そんなひたむきさを持ち続ければ、この若きアーティストの創作人生はきっと明るい。これからも期待しています。
052「202108」by 八岐大蛇
選評:このような珍妙で無国籍な曲は、世界広しといえどもこの作者にしか作れないだろう。例えるなら○すず学苑や○ちばな出版のAD、ゲーム会社だとDEC○のようなブッ飛んだ世界観。ロボットボイスによる謎の合いの手が入り、要所のフレーズにオルガンを選ぶセンスも強烈。モンドミュージック・フリークな選者好みの怪作。以上、すべて激賞の評。
084「恋愛ループ」by Dorayaki Taro
選評:毎回趣向を変えたエントリーで、引き出しの広さを見せてくれる実力者。今度のGadgetSonic 2021で放ったのは、なんとボカロ曲。伸びやかで美しい旋律を歌うが、あくまで主軸となるのはアナログ・シンセサイザー。それゆえ、この曲からは80年代のニューウェーブやテクノポップの香りがする。作者の技量もさることながら、ボーカロイドと音楽制作アプリの進化をも見せつけられる逸品。さすがとしか言いようがない。
095「歩廊」シミヅ_A(iD404)
選評:切れ味鋭い、変幻自在なドラミングが耳を引くポスト・ロック。終始緊迫感をたたえる曲だが、中盤のハーモニクスの効いたシンセサウンドが何ともサイケデリック。一転してトリッキーなピアノフレーズが奏でられるかと思えば、今度は荒々しくギタープレイ。そしてピアノソロでしっとり終わる…決して先行きの読めない「物語性」はプログレッシブそのもの。様々なアイデアと工夫、そして作曲スキルを一曲に投入。リスナーを最後まで飽きさせない。
130:cage_「棲」
選評:曲全体を支配するのは、アタックの弱いオーケストラ・ヒット(おそらくサンプルではなく打ち込み)。これが極めて印象的で、他のトラックにはない個性となっている。その後ピアノとLisbonによるスペーシーなフレーズが続き、やがて入ってくるストレートな美メロが曲を一気に盛り上げる。2分少しのシンプルな曲だが、聴き終わった後の感じが非常に良い。これはポジティブかつ鮮やかな、曲後半のフレージングゆえ。
🌴 GREEN FIELD 🌴
🔥 RED STAGE 🔥