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4-3 コードトラックを作ろう

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高さのことなる、ふたつ以上の音を同時に鳴らした「和音」のことをコードといいます。世の中には、ひとつのコードしか使わないワンコードの楽曲もありますが、たいていは場面ごとにコードをチェンジさせて曲の雰囲気を変えていきます。これをコード進行といいます。コードを理解して曲作りに活かすには、キーやスケールといった音楽知識を要しますが、KORG Gadgetは「知識ゼロ」でもコード進行を作ることができます。そのやり方も含め、このチュートリアルで覚えていきましょう。

今回のチュートリアルで完成を目指すコードトラックです。PLAYボタンをタップするとプレビューできます。

目次

コード用のトラックを作る

まずは、コード・バッキング用のトラックを作りましょう。前のチャプター4-2 ドラムトラックを作ろうからのつづきです。

新しいトラックを追加するには、メイン画面にて+ボタン①をタップ。

ガジェット・ブラウザが起動するので、今回はSynthカテゴリにあるWolfsburg②を選んでください。新たにTrack 2③ができます

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キーとスケールを設定する

コードを打ち込むにあたって、この曲のキーとスケールを決めたいと思います。キーとは曲の調性のことで、「ハ長調」「ニ短調」などと呼ばれるものです。スケールは音階のことで、西洋音楽でおなじみの「ドリアン」や「リディアン」から「マイナーブルース」、エキゾチックな響きの「アラビック」「琉球音階」など、さまざまです。KORG Gadgetは、50種類以上のスケールを選ぶことができます。

このチュートリアルで用いるキーとスケールは、次のとおりです。

キー|C#(=D♭)
スケール|Dorian(ドリアン)

C#とD♭は異名同音といって、ちがう名前ですが同じ音です。このチュートリアルではC#の方で解説します。

キーとスケールを設定するには、エディット画面にてガジェットパネルのSCALE①をタップ。表示された吹き出しにてChord off②にして、スケールに関する設定③を行います。

とりあえず、このように設定しましょう。

Scale TypeDorian
KeyC#
Oct Position3
Oct Range2
Scale Step7

ピアノロールを見ると、音名表示が明るいものと、暗いものに分かれています④。先ほど設定した「C#ドリアン・スケール」で演奏するための音をガイドしているわけです。逆にいうと、暗い音はスケール外であり、避けるべき音です。

C#ドリアン・スケールの楽譜です。上のピアノロールと見比べてみましょう。

コードを入力する

ここでガジェットパネルの鍵盤を見てください。先ほど行った設定どおり、C#ドリアン・スケールを構成する音だけが「7ステップ/2オクターブ」分並んでいます。これにより、スケールの音をハズすことなく演奏できるのです。

これと同じように、ピアノロールもスケール構成音だけにすることができます。実際に試してみましょう。

ピアノロールをスケール構成音だけにする

ピアノロール左下のScale Off①をタップ。Scale On②となり、スケールの音だけが表示されるようになります。

はじめてのコードを打ち込んでみよう

先ほどScale Onにして、ピアノロールをスケールを構成する音だけにしました。この状態で(最も基本的な)コードを打ち込むのはとても簡単です。特別な音楽知識も要りません。
具体的には、Scale Onの状態で、ノートを1マス飛ばしで打ちこむこと。たったこれだけです。単純に3つ重ねれば3和音、4つ重ねれば4和音…セブンスコードを組むことができます。

さっそく、C#ドリアン・スケール1番目のコードである”C#m7”(Cシャープマイナー・セブンス)を打ち込んでみましょう。

ピアノロールにて、1マス目のC#4①をタップし、続いてE4,G#4,B4②と打ち込んでください。これだけでC#m7ができます!

今打ち込んだC#4,E4,G#4,B4を楽譜にすると、このようになります。

実際は、「C#m7を打ち込む」というより、「C#から1マス飛ばしで打ち込んだら、自動的にC#m7ができる」という感じでしょうか。

コード進行を組んでみよう

かんたんなコード進行を作ってみましょう。先ほどと同じようにScale Onのまま、コードの元になる音(ルート音といいます)を打ち込み、1マス飛ばしでノートを積み上げていきます。

2 Bar①に移動し、1マス目にA#3,C#4,E4,G#4②と打ち込んでください。A#m7(♭5)というコードができます。

3 Bar③に移動し、1マス目にD#4,F#4,A#4,C#5④と打ち込んでください。D#m7というコードができます。

4 Barにへ移動し、1マス目にG#3,B3,D#4,F#4⑥と打ち込んでください。G#m7というコードができます。

4 Barまで打ちこみ終わりました。できあがったコード進行は、C#m7 → A#m7(♭5) → D#m7 →G#m7です。

このように、ピアノロールをScale Onにしてひとつ飛ばしでノートを置くと、その曲のキーとスケールにおける「基本的な」コードを作ることができます。もちろん、今回のC#ドリアン・スケールに収まるコードは他にもありますが、この方法でできる7つのコードだけで、十分曲作りが楽しめます。
また、コード進行には「定番もの」や「一定のルール」があります。「コード進行 定番」などと検索すれば、さまざまな進行を紹介するサイトが見つかります。ぜひ活用しましょう。

コード同士のつながりを滑らかにする

ここまでに登場した4つのコードは、ルート音を土台とする「基本形」で打ち込みました。ただ、このままだとコード間の音程差が大きいのでスムーズに聴こえません。そんなときは、コードを構成する音はそのままに「音の積み方」を変えてみましょう。そうすることで、コードとコードのつながりが滑らかになります。

このように、コードの構成音を変えずに積む順番だけ変えることを転回といいます。

基本形
第一転回形
第二転回形

それでは、2 BarのA#m7(♭5)と、4 BarのG#m7を転回させてみましょう。

2 Bar①へ移動してSelectモード②に切り替え、A#3のノートを選択③。ピアノロール下に現れるツールのうち、Transposeの+12ボタン④をタップしてください。1オクターブ上のA#4⑤に移動します。

C#4のノートも、1オクターブ上のC#5⑥へ移動させます。ここまでするかはお好みですが、聴き比べてみて気に入った響きにしてみましょう。今回は3 Barとのつながりで判断しました。

今度は4 Bar⑦へ移動し、G#3とB3のノートを1オクターブ上げましょう⑧。複数選択すると一度に移動できて効率的です。

転回前と転回後を比べると、見た目にもコード同士のつながりが滑らかになったと思います。

転回前
転回後

バッキングを刻む

ここまでのチュートリアルで、Bar1〜4の先頭グリッドに4つのコードを打ち込ました。今度はそれを元に、リズミカルなキーボード・バッキングを打ち込みたいと思います。

1 Bar

1 Bar①に移動し、Selectモード②に切り替えてから、ノートを囲むようにドラッグ③して複数選択しましょう。

どれかひとつのノートの右はしを長押しした後、右へドラッグ④すると、選択したノートを伸ばすことができます。ここでは1.3のところまで伸ばしてください⑤。

Drawモード⑥に切り替えてピアノロール11マス目⑦をタップしてノートを打ち込み、Selectモード⑧で先ほどと同じように複数選択してから1.4のところまで伸ばします⑨。

もしグリッドが1/16でなければ、Functionボタンをタップして1/16にしましょう。

最後に13マス目⑩にノートを置けば、1 Barのバッキングは完了です!

ルート音をオクターブ下に置く

メインのコード構成音とは別に、そのコードのルート音(第1声)をオクターブ下に置くと、音に厚みを持たせることができます。

C#3の1マス目にて、タップしたまま右へドラッグ①すると、長いノートを一気に打ち込めます。同じようにのノートも入力してください。

C#4のノートを複製して、C#3へ移動させてもOKです。

2〜4 Bar

2 Bar、3 Bar、4 Barも、このように入力してください。画像をタップ(クリック)すると拡大表示します。

2 Bar
3 Bar
4 Bar

音量を調節して起伏をつける

ステップ入力でコードバッキングを打ち込んだので、どれも同じ音量(ベロシティー)です。ベロシティーを適度にバラつかせることで、生き生きとした演奏を表現できます。

ピアノロールの下にパラメーター表示が見えます。タップすると拡大表示し、パラメーターのひとつ「ベロシティー」が示されますが、すべて75%です。

そこで、打ち込んだノートのベロシティーを「上げ下げ」してみましょう。いくつか方法がありますので順に紹介します。

ノートをひとつずつ変える

最もシンプルなやり方は、Drawモード①に切り替え、パラメーターの先端②をドラッグして上げ下げ③することです。同じタイミングでノートが重なる時は、一番高いノートだけ上げ下げされます。

ノートを選んで変える

先ほどのケースで、たとえば上から2番目のノートだけ変えたいときは、Selectモード①に切り替えて変えたいノートを選択②。パラメーター表示の下に現れるVelocityボタン③で上げ下げすればOK④です。

ノートをまとめて変える

複数のノートを同時に変えることもできます。先ほどと同じように、Selectモード①に切り替えて変えたいノートを複数選択②。パラメーター表示の下に現れるVelocityボタン③で上げ下げすればOK④です。

今回覚えたやり方で、これまで打ち込んだノートのベロシティーを上げ下げしてみましょう。キーオンごとに音量を変えて、起伏のある演奏の再現を目指してください。

以下はその一例です。参考にしてみてください(画面タップorクリックで拡大します)。

Bar 1
Bar 2
Bar 3
Bar 4

打ち込んだノートをBar 5〜8にコピーする

これまで作ってきた4小節分のコードを5〜8小節にコピーして、このチュートリアルを終わりにしましょう。「ドラムトラックを作ろう」編で覚えた「Bar単位コピー」でも良いのですが、今回はより素早くコピーできるやり方を覚えます。

Selectモード①に切り替え、どのノートでも良いので選択②。ここですべて選択③をタップすると、今いるクリップすべてのノートが選択状態④となります。

つづいてコピー⑤をタップすると、コピーしました⑥と表示されます。そして5 Barに移動⑦し、1マス目のどこでも良いので長押しして、ペースト⑧という吹き出しを表示させます。

ペーストをタップすると、Bar 1〜4のノートが、Bar 5〜8にコピーされます。

最後に8 Barを少しだけアレンジ⑩して、コードトラックの完成です!

おつかれさまでした!今回はコードトラックの作り方を覚えました。設定したキーとスケールにふさわしいコード進行を、かんたんに作ることができました。また、コードトラック作りを通じて、ノートの打ち込み方やコピーのやり方などを、自然と覚えられたと思います。

引き続きこのチュートリアルで、ベースやメロディートラックを作っていきましょう!

チュートリアル第4弾「ベーストラック編」は近日公開!しばしお待ちを!!

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この記事を書いた人

KORG Gadgetエヴァンジェリスト。 http://www.Gadget-Junkies.net 運営。ロックなダンスビートにピコピコサウンドを乗せ、昔のビデオゲームっぽい音楽も作ってます!

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