3ガジェット限定コンペ「3 Gadgets challenge !! 2020」グランプリ発表!

2020年元日から、2週間にわたって開催された「初春のトラックメイキング・バトル」3 Gadgets challenge !! 2020。

Twitterの「診断メーカー」で偶然引き当てた、KORG Gadgetのガジェット3つだけを使って曲を作るというユーザーコンペティション。2019年の前回大会に続き、2回目の開催となります。

このほど遂に、グランプリ3作品、そして準グランプリ10作品を発表する運びとなりました。

なお、このあと発表するグランプリに輝いた3名様には副賞として、当Gadget-Junkies.netより以下の賞品の中から、お好きなどれかを贈呈します

【重要】3 Gadgets challenge !! 2020は、株式会社コルグ、株式会社ディチューン、およびすべての権利所有者とは全く無関係の、非公式・非営利なユーザー草の根イベントです。ご了承ください。

お待たせしました。いよいよ全エントリー121曲の頂点に立つ、グランプリ3作品の発表です!!

Congratulations!「3 Gadgets challenge !! 2020」グランプリはこの3曲!!

グランプリ1曲目は、WARYU〜和龍〜@japodragon1 さん作曲の inagony です!

【使用ガジェット】
① Brussels(EDM向きリードシンセ)
② Kamata(ナムコ音源)
③ Milpitas(KORG WAVESTATION)

雄大で、ドリーミーなエレクトロニカ・トラック。

ゆったりとした流れで始まり、美しくもどこかメランコリックな曲調…かと思いきや、中盤から終盤で一気に盛り上げるスペクタクルな展開。

使える音源の少なさを起伏あふれる構成力で補い、それが結果として、この曲の「色」そして「味」に昇華しています。

この楽曲の主役は、「ナムコ音源」のKamata

Kamataは、1980年代に数々の名作ビデオゲーム・ミュージックで用いられた波形メモリ音源をガジェット化したもの。

そんな、極めて個性的な電子音を出すKamata。筆者としてはアクの強い、昨今のEDMサウンドには馴染みにくい「暴れ馬」のようなガジェットだと思っていました。

しかしこの曲では、Kamataがトラックの要としての役割を果たすだけでなく、この楽曲に唯一無二の世界観を纏わせています。

曲の冒頭からトラックを支配するキックをはじめ、終始楽曲のメインを張るリード、要所で唸りを上げるブラスサウンド。

中盤、オルゴールのような可憐な音色が、Milpitasのオーガニックサウンドと絡まり、リスナーの郷愁を誘ったその刹那、緊迫感あふれるBrusselsの単音アルペジエーターが牙を剥きます。

この曲はエレクトロ・トラックでありながら、なんとなく山あり谷ありの人の人生が表現されているように感じるのは、筆者だけでしょうか?

かつて、「マッピー」や「ドルアーガの塔」のサウンドチップがKORG Gadgetに登場した時、恐らく昔のVGMの再現や、チップチューンへの応用が期待されたかと思います。

しかし、そんなビデオゲームの枠組みを超え、まさかこのようなハイエンドな使われ方をされるとは、Kamataを開発した方々も想像していなかったのではないでしょうか。

楽曲そのものの精巧さもさることながら、見事にガジェットの持ち味を活かし切ったinagony。3 Gadgets challenge !! 2020のグランプリにふさわしい名作です。

グランプリ2曲目は、門 (@kado_Zzz) さん作曲の 3Gadget2020-2001015

【使用ガジェット】
① Darwin(KORG M1)
② Pompei(KORG Polysix)
③ Miami(凶悪なワブルベース)

知的でクール、そしてジェントルなテクノトラック。

トラックとしてはシンプルながら、ひとつひとつの音の配し方に卓越したセンスを感じます。短い断片フレーズを駆使した、さり気ないオカズ使いも「粋」の一言。

曲は、アナログシンセによるシンプルなシーケンスから始まり、すぐに3パターンのフレーズが生まれ、複雑に溶け合います。

そこへ、アルペジエーターで作られたと思しきシンセベース・フレーズがソッと紛れ、程なくトラックの主役へ躍り出ます。

Darwinによるズシっとした4つ打ちキックに乗せて、やがて2小節のブリッジへと向かい、ストっと収束する…文句なくカッコいいです。

これらは、アナログシンセ・ガジェットPompeiによる仕事。

Pompeiは、いにしえの名機KORG Polysixをガジェット化したもので、80年代初頭の発売当時としては破格だった6音ポリを実現。

過激なモジュレーションがウリのMono/Poly(ガジェット名:Montpellier)に対し、Polysixはブラスやストリングスといった、楽器っぽい音色の演奏に適したシンセでした。

それゆえ、どちらかといえばコードバッキングやパッドサウンド向けでしたが、この楽曲ではベースにリード、飛び道具に至るまで徹底的にフィーチャー。

それが結果として、この曲をウォームで、どこか湿り気のある感触にさせていると感じます。

ミニマルなれど無機的でなく、巧みなフィルター使いなどでサウンドが静かに胎動し続け、リスナーを飽きさせません。それでいて音色変化は抑制的。

それこそが、この曲を大人っぽくさせているように感じます。

トラックの隅々まで緻密に作り込まれ、聴き込めば聴き込むほどに深い味わい。トラックメーカーのクラフトマンシップを感じさせる逸品です。

そして最後のグランプリは、化石ハンター 1/3新曲固定@KasekihunterLv3 さん作曲Foundationです!

【使用ガジェット】
① Durban(ベースアンプ)
② Zurich(レコーダー
③ Chiangmai(キラキラFMシンセ)

癒しのアンビエント・トラック。

楽曲制作に際し、環境音をiPhoneのボイスメモアプリで録音。それをKORG Gadgetのオーディオトラックに展開し、バックトラックはChiangmaiだけという、ミニマルの極北に位置するような作品です。

筆者はこの曲を聴いた時、思わずのけぞるほどの衝撃を受けました。ここまでやるのかと。

何よりも素晴らしいのは(実際にそうなのかは分かりませんが)、「診断メーカー」から課されたムチャ振りに対し、積極果敢に挑戦されていること。

このような、単体では一切音の出ないオーディオトラック用ガジェットを2つ引いた時点で、普通のトラックメーカーならエントリーを諦めると思います。あり得るとしても、Zurichでボーカル、Durbanでベース演奏、その他の部分はChiangmaiでしょうか。

しかし化石ハンターさんは、そんな困難を逆手に取り、誰もが決して真似できない、ユニークなアンビエント作品を作り上げたのです。

Zurichにフィールド・レコーディングした環境音を貼り付け、更にDurbanを使い、本来はベースを歪ませるためのエフェクト・プロセッサーでピンクノイズを生成(作者曰く「1/f ゆらぎ」)。

ノイズには、癒し効果がある(現に、ノイズをループ再生する癒しアプリも存在します)事が知られていますが、自身が制作するアンビエントトラックに、その作用を応用しているのです。

この発想は、ちょっと一線を超えています。無礼を承知で言わせてもらえば「常人離れ」している。

そんな、創作の醍醐味を感じさせてくれる孤高さを讃え、グランプリの一曲とさせていただきました。

以上、「3 Gadgets challenge !! 2020」グランプリの発表でした!

大賞まであと少し…!「3 Gadgets challenge !! 2020 準グランプリ作品」はこちら!

ここからは、惜しくもグランプリを逃した珠玉の名曲たちを紹介します。

選考は、エントリー120曲あまりのどれもがハイレベルゆえ難航を極めました。選者として嬉しく光栄である反面、正直つらく苦しい作業でした。

そんな中から選ばれた、3 Gadgets challenge !! 2020「準グランプリ」10作品を発表します!

#01 Moirai [運命の三女神] – ショーン@iPhoneで作曲挑戦中@seanwinter12

【使用ガジェット】
① Alexandria(オルガン)
② Bilbao(ワンショットサンプラー)
③ Chicago(エグいベースマシン)

【筆者コメント】前回大会のWinnerが、今回も優れたソング・ライティング能力を存分に発揮した。3ガジェット限定とは思えない、カラフルで目眩く推進力。作者の真骨頂。

#02 Recife & Kamata & Kiev – Cosmos – mgnmgn@mgnmgn5

【使用ガジェット】
① Recife(ダンス向きドラムマシン)
② Kamata(ナムコ音源)
③ Kiev(ベクターシンセ)

【筆者コメント】#GadgetSonic2019 でグランプリを受賞した、フューチャーベースの名手が3ガジェットに挑戦。相変わらずの超絶クオリティに脱帽。楽曲の良し悪し=音源数では決してないことを再認識。

#03 CLOAD – gaecen (@gaecen) 

【使用ガジェット】
① Phoenix(万能アナログシンセ)
② Abu Dhabi(スライスサンプラー)
③ Wolfsburg(ゴージャスシンセ)

【筆者コメント】知る人ぞ知る、ファミ通創成期に活躍した「ゲヱセン上野」こと上野利幸さんが、なんと「3 Gadgets challenge !! 2020」に参戦。懐かしのファミコン「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」でゲーマーを魅了した確かなクオリティー。その卓越したポップセンスは、2020年においても輝きを放ち続ける。

#04 Beyond twilight -黄昏の彼方-くぼんヌ。@きょにゅP (@kubonnu)

【使用ガジェット】
① Lexington(ARP ODYSSEY)
② Dublin(セミモジュラーシンセ)
③ Glasgow(PCM音源)

【筆者コメント】どこかシネマティックでスケールの大きい、アンニュイな風情漂うプログレ・トラック。曲の中盤では、それまでの4拍子から5拍子へと切り替わり、楽曲展開が目まぐるしく変化。KORG Gadgetの強みが存分に活かされる。

#05 曲名不明 – Taiki overthere@TaikiOverthere

【使用ガジェット】
① Montpellier(KORG Mono/Poly)
② Zurich(レコーダー)
③ Recife(ダンス向きドラムマシン)

【筆者コメント】コルガジェの名手がコルガジェを飛び出し、生ドラムを披露するという驚異の展開。次元を超えたソングライティングの力量はもちろん、そのプロデュース能力にも注目すべし。

#06 3Gadgets 4th – スウェンジー@swenzy_swenzy

【使用ガジェット】
① Bilbao(ワンショットサンプラー)
② Lisbon(宇宙シンセ)
③ Phoenix(万能アナログシンセ)

【筆者コメント】小粋でチャーミングな、80年代後半の肌触りを抱くデジタルサウンド。なぜだか細野晴臣やコシミハルの楽曲を彷彿とさせるオシャレな感触。これぞグッド・ミュージック。

#07 3Gadgets challenge – 鍵盤鉄道@JNR_series583

【使用ガジェット】
① Recife(ダンス向きドラムマシン)
② Tokyo(エレクトリックドラム)
③ Phoenix(万能アナログシンセ)

【筆者コメント】ある意味で3 Gadgets challenge !! 2020の象徴とも言える、チャレンジングなトラック。本来ありえない「Phoenix=ドラム」「Tokyo=旋律」を成す離れ業。それでいてサラッと聴かせるのは、トラックメーカーの確かな技量あってこそ。

#08 3 Synths Challenge –chaki @M3春 K-11b@mistyminds

【使用ガジェット】
① London(ダンス向きドラムマシン)
② Milpitas(KORG WAVESTATION)
③ Salzburg(グランドピアノ)

【筆者コメント】深い眠りから覚めたかのような、センチメンタルな作品。シンプルなバックビートに乗せてたゆたう、オーガニックな旋律。荘厳、そして、またとない美しさを抱いた名曲。

#09 3Gadgets2020a – emm@emm20170801

【使用ガジェット】
① Montreal(エレクトリックピアノ)
② Marseille(PCM音源)
③ Wolfsburg(ゴージャスシンセ)

【筆者コメント】タイトで小粋なテクノトラック。ドラムを使えない状況を逆手に取り、ハイブリッドシンセ・エレピ・PCM音源だけで作り上げた、独自の音世界。

#10 #3Gadgets2020−4 – lili@llschweinll

【使用ガジェット】
① Chicago(エグいベースマシン)
② Kamata(ナムコ音源)
③ Recife(ダンス向きドラムマシン)

【筆者コメント】世界の辺境で息づく民族音楽のような、不思議な魅力をたたえたトラック。ハヌマーンやクリシュナ、女神ラクシュミらの黄昏を想起させる。郷愁を禁じ得ない逸品。

以上、準グランプリ10作品の発表でした。

KORG Gadgetユーザーコンペティション「3 Gadgets challenge !! 2020」、いかがでしたでしょうか。

己の意思ではままならない、偶発性を伴うトラックメイキング…ありがたいことに、この企画に対する称賛の声を数多く頂いています。

最後に、グランプリ3作品の発表をもって「3ガジェット限定コンペ」3 Gadgets challenge !! 2020を閉幕させていただきます。

エントリーいただいた皆さん、本当にありがとうございました!!

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