FM音源ガジェットChiang Maiについて。80年代っぽいキラキラサウンドを作ろう

Chiang Mai(チェンマイ:タイ王国第二の都市)は、VPM(可変位相変調)という「元の波形を位相変調」して音作りを行うシンセ。
硬質で金属的なサウンド(エレピやベルなど)が得意で、かのFM音源とよく似ています。
しかしChiang Maiを楽しむにあたり、あの「オペレータ」や「アルゴリズム」といった難解な概念を学ぶ必要がありません。
アナログシンセのような簡単操作で、FMサウンド作りが楽しめるよう、工夫されています。
「Chiang Mai」における音作りの流れ
Chiang Maiは、5種類の波形から選べるオシレータが2基搭載されています。
そして、それらを位相変調するセクションを経て、1基のフィルタで音色を作ります。
フィルタ用とアンプ用に配備されているEGは、オーソドックスな「ADSR」タイプ。
最後にコーラスとディレイで、サウンドを整えましょう!
各パラメータの説明
Chiang Maiは、OSC/FILTER と EG/AMP の2画面で構成されています。
OSC/FILTER画面
主に音程を決めたり、音色を作り込むための画面です。
OSCILLATORS(1,2)セクション
LEVEL(0~127)
それぞれのオシレータの「音量バランス」を調整します。
WAVEFORM(Sine,Triangle,Saw,Square,Pilse)
それぞれのオシレータの元波形を「サイン波」「三角波」「ノコギリ波」「矩形波」「パルス波」の5種類から選択します。
PITCH(-24~+24)
それぞれのオシレータの「音の高さ」を設定します。値が±1変わると半音。±12で1オクターブ分。
HARMONICS(0.5~24)
VPMの変調周波数を「オシレータの倍音の倍数」(ハーモニクス)として設定します。
このHARMONICSとDEPTHの設定が、Chiang Maiによるサウンドデザインのキモとなります。
DEPTH(0~127)
VPMの「モジュレーションの深さ(変調度)」を設定します。
このDEPTHとHARMONICSの設定が、Chiang Maiによるサウンドデザインのキモとなります。
ENV(0~127)
EGによる、VPMの「モジュレーションの深さへのモジュレーション量」を設定します。
ADSRのパラメータから影響を受けやすくなります。
FILTERセクション
FREQUENCY(0~10)
フィルターの「カットオフ周波数」を設定します。
一般的なFM音源シンセでは、存在し得ませんね。
RESONANCE(0~127)
フィルターの「レゾナンス」を設定し、カットオフ周波数付近を強調してクセを出します。
これも、一般的なFM音源シンセでは存在し得ません。
ENV AMT(-5~5)
EGによる「カットオフ周波数へのモジュレーション量」を設定します。
ADSRパラメータからの影響を受けやすくなります。
KEY AMT(-1~1)
キーボード・トラックによる「カットオフ周波数の変化量」を設定します。
EG/AMP画面
2つ目の画面では、音色に時間的変化をもたらしたり、音量を定める事ができます。
ENVELOPES(Filter,AMPLIFIER)セクション
ATACK(0~127)
フィルタ、またはアンプの「アタックタイム」(鍵盤を叩いてから最大レベルになるまでの時間)を設定します。このパラメータを上げると、音がふわっと立ち上がります。
DECAY(0~127)
フィルタ、またはアンプの「ディケイタイム」(サスティンレベルに至るまでの時間)を設定します。短くすれば歯切れの良い、長くすればゆったりとしたサウンドになっていきます。
SUSTAIN(0~127)
フィルタ、またはアンプの「サスティンレベル」(音が継続するレベル)を設定します。0 にすると、DECAYで設定した時間に音が消えます。
RELEASE(0~127)
フィルタ、またはアンプの「リリースタイム」(鍵盤から離れてから音が消えるまでの時間)を設定します。長くすれば余韻が増していきます。
CHORUSセクション
DEPTH(0~127)
「コーラス効果の深さ」を設定します。
SPEED(0~127)
「ゆらぎの速さ」を設定します。
DELAYセクション
TIME(1/64~1/1)
「ディレイタイム」を設定します。このパラメータを上げると、やまびこの間隔が長くなります。
LEVEL(0~127)
「ディレイレベル」を設定します。このパラメータを上げると、やまびこの音量が上がります。
OUTPUTセクション
LEVEL(0~127)
Chiang Maiの「出力レベル」を設定します。
「Chiang Mai」サウンドメイキングのポイント
やはり、OSCILLATORSセクションにある HARMONICS と DEPTH でしょう。
通常のアナログシンセでは、主にフィルターで音色を作りますが、Chiang Maiでは更にこの2つのパラメータにより、倍音成分を調節しての音色作りが可能となります。
HARMONICSノブを上げることで、ベルっぽい、キンキンした煌びやかなサウンドになっていきます。あまりに倍音を上げすぎると聴き取れなくなりますが…。
この2つのパラメータに加えて ENV も使い、VPMの持ち味である金属的なモジュレーションサウンドを作ってみてくださいね。
それではまた。Have a nice trip!