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KORG Gadgetで学ぶ「かんたん」シンセ入門。第4回「アンプで音量を調整しよう」

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KORG GadgetのアナログシンセDublinで覚える「かんたんシンセ入門」シリーズ。ここまで、基本波形と音程を決めるオシレーター、音色を作るフィルターについて学びました。
今回は、フィルターで作ったサウンドの音量を設定するアンプ(VCA:Voltage-controlled Amplifier)について解説します。

目次

VCAの役割は「音量を決める」ことだけ

シンセにおけるアンプの役割は、テレビのボリュームと同じように音量を決めること。たったのこれだけです。
そうすると、シンセのVCAセクションには、ボリュームつまみが一つあれば十分なはずです。

実際のVCAセクションは、このようになっています。

頭文字「A・D・S・R」のノブがならんでいます。しかもこれらは、VCAセクション内にありながら実際はアンプではありません
何が何だかわからないと思いますので、このあと説明します。

シンセを"楽器"たらしめる「エンベロープ・ジェネレーター」

VCAセクションにある4つのノブは、アンプそのものではなく、エンベロープ・ジェネレーター(EG)というモジュレーターです。音量を時間的に変調させる役割をもちます。

VCA自体は「音量ボリューム」でしかない

シンセの音作りは、まずVCOで基本波形と音程を決めることから始まり、そのあとVCFで音色を作ります。そしてVCAの出番ですが…VCAができることは、フィルターから送られてきた音のレベルを決める事だけ。本当にそれだけです。

VCAには、音声信号を止める機能すらありません。鳴りっぱなしの音を止めるだけなら、鍵盤をスイッチにして音をON/OFFすれば良いのですが、それではブザーと同じです。シンセは電子楽器ですから、ピアノのように表現力豊かな演奏ができないと困りますよね。

EGの役割とは?

EGは、そんなVCAに時間的な音量変化をもたらしてくれます。小むずかしい表現をしてしまいましたが、つまりこういうことです。

ピアノを弾いて出る「音の一生」を考えてみましょう。

ピアノの鍵盤を弾くと、その奥にあるハンマーが弦を叩き、音が鳴り始めます。
鍵盤を押さえている間は音が鳴り続きますが、すこしずつ音量が減っていき、鍵盤から指を離すと音が消えます。しかし、すこしだけ余韻(よいん)が残ります。

上の文章で、マーカーにした部分を表現するのがEGです。
いわば、音量を決めることしか能のないVCAを、コントロールするのがEGの役割というわけです。シンセが楽器である以上、EGは絶対に欠かせない存在なので、VCAセクションに最初から備わっているのです。

EGのパラメーターについて

ここからは、EGのパラメーターを覚えていきましょう。

これは、EGでAttack、Decay、Sustain、Releaseを設定して生成された、エンベロープ波形の一例です。

ATTACK(アタック・タイム)

ATTACKノブは、鍵盤を押さえてから、音が最大になるまでの時間を決めます。

0だと鍵盤を押さえるのと同時に音が鳴り、1・2・3・・・とツマミを上げるにつれて「ふわっ」と音が立ち上がります。
ピアノのような切れ味を狙うならATTACKは0に、パッドやストリングス系は長めに設定すると、よい雰囲気が出るでしょう。

DECAY(ディケイ・タイム)

DECAYノブは、最大になった音が減衰して、一定の音量になるまでの時間を定めます。この一定の音量は、このあと説明するSUSTAINノブで定めます。

木琴などの打楽器系で、叩いてからすぐに音が消えるような音は、ATTACK=0、DECAY=極短、SUSTAIN=0にすると良いでしょう。

SUSTAIN(サスティン・レベル)

SUSTAINノブは、音が持続するときの音量レベルを決めます。

ちなみにADSRのうち、SUSTAINだけ音量レベルであることに注目しましょう。他のADRは時間です。
SUSTAINを上げると、鍵盤を押さえているあいだじゅう、その音量で鳴り続けます。0にすると、DECAYで定めた時間をかけて減衰し、最後は音が消えます。

RELEASE(リリース・タイム)

RELEASEノブは、鍵盤をはなした後、音が消えるまでの時間を定めます。「音の余韻(よいん)を決める」と言い換えても良いでしょう。

RELEASE=0だとキー・オフした瞬間にピタッと止まり、上げると音がゆっくり減衰していきます。
鉄琴のように、叩いた後もしばらく響く感じにできます。

EGは「アンプ」以外にもかけることができます

今回は、シンセサイザーにおいて音量をつかさどる「アンプ(VCA)」について解説しました。シンセを楽器として弾くには、VCAだけでなく、エンベロープ・ジェネレーターが欠かせないと分かりました。

それでは、もしEGを「VCO」や「VCF」にかけたら、一体どうなるのでしょうか?

やはり音程や音色を、時間的に変化させることができるのです。

次回は、シンセに劇的な表現力をもたらす超重要セクションエンベロープ・ジェネレーターを用いたサウンドメイクについて、より掘り下げます。

参考文献

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この記事を書いた人

KORG Gadgetエヴァンジェリスト。 http://www.Gadget-Junkies.net 運営。ロックなダンスビートにピコピコサウンドを乗せ、昔のビデオゲームっぽい音楽も作ってます!

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