KORG Gadgetで学ぶ「かんたん」シンセ入門。第1回「シンセって何だろう?」
楽曲制作アプリKORG Gadgetには、ガジェットと呼ばれる様々な音源が用意されています。
ガジェットは、音作りを行う電子楽器シンセサイザー、ビートメイクを担当するリズムマシン、あまねく音を取り込み楽曲に生かすサンプラーの3つに、大きく分類できます。
他にもオーディオトラックを扱えるガジェットや、外部へMIDI出力できるガジェットもあります。
とりわけシンセサイザー(以下「シンセ」)は、Gadgetで楽曲制作を行う上で「主役」であると言えましょう。
どのシンセガジェットにも魅力的な音色がプリセットされていて、そのまま使うだけでも曲を作ることができますが、やはりゼロから自分だけの音色をクリエイトできるのがシンセの醍醐味。
とは言え、何の知識も持たない初心者の方は「シンセ?何となく難しそう……」と感じるかもしれませんね。
そこで今回から「シンセサイザーの音作り」について解説するシリーズを始めます。
当ブログはKORG Gadget「超」入門サイト。実際のガジェット音源を用いながら、具体的で実践的、そして、出来るだけ易しく書いていきますので、興味のある方はお付き合いくださいませ。
そもそもシンセって何?キーボードと何が違うの??
私たちが目にする、ピアノのように鍵盤が備わった楽器はキーボードと呼ばれてますよね。
家電量販店の売り場で見かける「電子ピアノ」や「ポータブルキーボード」(カシオトーンなど)、小学校で弾いた「鍵盤ハーモニカ」もキーボードに含まれます。
もちろん、鍵盤が備わったシンセもキーボードの一種なわけですが、決定的に異なるのは自分で好みの音を「作る」ことができる点。
料理に例えると、すべて調理済みの食材が用意され皿に盛り付けるだけ…というのではなく、食材を切る、味付けをする、火にかけて煮る・焼く…と言ったプロセスを踏みながら、音作りを行えるのがシンセです。
演奏しながら味付けを変えることもできるので、動きがある、ライブ感に溢れ、しかもユニークな曲を作ることができますね。
これこそが、シンセで作った曲の魅力だと筆者は思います。
どうやって「音を作る」の?
シンセサイザーの語源「シンセサイズ」は、「合成する」。つまり音を合成して音を作るという意味。
楽音に限らず、あらゆるノイズや環境音、そして人の声など、この世に存在する全ての音は無数の正弦波(サイン波)が組み合わさって出来ています。
ですから、もしシンセに「正弦波を出す装置」を大量に用意し、それらを丹念に調整すれば、理論的にはどんな音でも作れるでしょう。
この概念を「加算方式」と言いますが、現実的にはちょっとムリそうですよね。音作りも大変な作業になると思われます。
テクノロジーの進化により、デジタルシンセの世界では「加算方式」タイプも存在します。しかし、最初から倍音を多く含む波形を用意し、それを削って音を作る「減算方式」が、今日におけるシンセの基本的な考え方。
微粒子レベルのパーツを無数に組み合わせるのではなく、木材や岩石のカタマリを彫刻するようにして音を作る…といったイメージでしょうか。
シンセの要素は3つだけ
では、実際どのようにして音作りを行うのでしょうか。
シンセにおける音作りは、3つの要素を押さえるだけで可能となります。
私たちは学校で音の3要素を学びましたよね。「音の高さ(音程)」「音色」「音の大きさ」。
まさにそれらが、そのままシンセの構造となります。
音の3要素 | シンセでは…? |
---|---|
音程 | オシレーター(VCO) |
音色 | フィルター(VCF) |
音量 | アンプ(VCA , EG) |
つまりシンセによる音作りは、
…という流れで行います。
もちろん音作りには、より多彩な表現を行うための要素もありますが、基本的にこの3ステップで完了します。
これらを、シンセの本体に備えられたツマミやスライダーで加減しながら音作りを行うわけです。
結構、単純でしょう?
この後はKORG Gadgetを使って解説します
今回からスタートした「KORG Gadgetで学ぶシンセ入門」シリーズ。
次回は、音作りのための基本波形を決める「オシレーター」について、実際のガジェット音源を操作しながら具体的に解説したいと思います。
引き続き、お付き合いください!
参考文献
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