KORG Gadget for iOSには、ブレイクビーツ作りに特化したStockholmというガジェットがあります。ソウルミュージックやファンクのドラムソロ部分を、サンプラーで切り刻んで再構築するという過激な手法ブレイクビーツを、手軽に楽しむことができます。
今回はこのStockholmにフォーカスし、チュートリアル形式で使い方を覚えていきましょう。
ループ・プレーヤー「Stockholm」で何ができるんだろう?
まずは今回フォーカスするガジェットStockholmについて、ざっくりご紹介します。
Stockholmは、PC上で動作するDAW「Propellerhead Reason」に搭載されているループ・プレーヤー"Dr.OctoRex"をガジェット化したものです。

Mr.OctoRexは、その名が示す通り「Rex形式のオーディオファイル」を「1台につき8つまで」扱えるReasonデバイス。
Stockholmも機能としてはほぼ同じで、プリセットのRexファイルをエディットしたり、外部からRexファイルを取り込んだりして、自作曲に使うことができます。

Rexファイルとは
Rexファイルは、元々Propellerhead社の音楽ソフトRecycleで用いられている形式です。

ドラムループやフレーズといった一つのオーディオ波形を、「細かい音のかけら」にスライスするのが特徴です。
これは、一本の波形が細かくスライスされた様子です。

こうする事で、ピッチ(音の高さ)はそのままにループ全体のテンポを変えたり、スライスしたフレーズを並び替えてビートを組み立て直したり(ブレイクビーツ)、分解したフレーズごとにあらゆる加工を施したり…といったことが可能となります。
そんな感じで、ループ素材を柔軟にエディットできるのがRexファイルで、そのRexファイルを取り扱うループ・プレーヤーがStockholmです。
Stockholm 超クイック・スタートガイド
ここからは、実際にStockholmでRexファイルを呼び出しながら、基本操作を覚えていきましょう。
プリセットされたループを呼び出してみよう
まずは、ガジェットブラウザーでStockholmを起動します①。

Stockholmはアプリ内課金アイテム(1,840円)です。
起動したら、ループのプリセットを呼び出してみましょう②。あらかじめ最大8つのループを内蔵した39種類のプリセットが用意されています③。

ここでは、001: Drum Breaks 1のままでチュートリアルを進めます。
ループを試聴しよう
Stockholmは1台につき、ドラムやギターループなどを最大8つセットできます。
SELECT LOOPセクションを見ると、8つあるスロットにループがセットされています。

そして、右手のディスプレイに表示されている波形がセレクト中のループです。

このループを試聴するには、波形を直接タップします。好きな場所から再生でき、タップしている間プレイします。

ループをピアノロールにコピーしよう
ループフレーズをMIDIデータのように扱えるよう、ピアノロールにコピーしてみましょう。
COPY LOOP TO TRACK①をタップします。

ピアノロールにノートが生まれ②、ループの演奏データがコピーされました。ここでトランスポートのPLAYボタン③をタップすると、ループの最初から再生します。


ちなみに、このループは2小節分あります。すべてを再生するために、ピアノロールも2 Barにしましょう。
ブレイクビーツに挑戦しよう
ピアノロールに並べた波形は、こんなイメージです。

これから触るのはMIDIデータですから、波形そのものを物理的に切ったり貼ったりしなくても、ノート化したスライスを好きなだけ入れ替えできます。
オリジナルのループは、こんなビートでした。
それを、このようにエディットすると…

こんなビートに変貌します。
こうして、あるループを解体して新しいビートに作り変える…つまりブレイクビーツできるのが、Stockholmの醍醐味です。
テンポを変えてみよう
先ほど「このループ波形は2 Bars分の長さ」と述べましたが、そういったループに関する情報は波形ディスプレイに表示されます。
この波形は100.0 BPMのテンポ①で、長さは2.0 Bars②、そして4/4、つまり4分の4拍子③であることがわかります。

さて、KORG Gadgetで新規ソングを開いたときは128.0 BPMです。このままPlayボタンをタップすると、当然128.0 BPMでループ再生されます。
そこで、波形本来のスピードである100.0 BPMにテンポチェンジしてみましょう。

そしてPlayボタンを押すと、この波形本来のテンポである100 BPMで再生されます。このようにStockholmでスライスされた波形は、音質や音程感を保ったまま自由にテンポチェンジできます。
全体的なピッチを変えてみよう
LOOP TRANSPOSEノブ①を回すと、そのままのテンポでループ全体の音程を上げ下げできます。半音単位で1オクターブまで変更できます。

ノブを回すと、はじめCの位置にある鍵盤が移動する②ので、どのぐらい音程がシフトされたか分かります。

ちなみに、LOOP TRANSPOSEの動きをパラメーターとして仕込むと③、ループのピッチがゆらいでユニークなサウンドになります。


上のようにLoop 1 Transを設定すると、こんなサウンドになります。
スライスのピッチを変えてみよう
今度は、それぞれのスライスの音程を変えてみましょう。
このループ波形(Brk100 Bobholness.rx2)は、Prvwモードで左から3番目のスライス①をタップすると、スネアの音が鳴ります。

ためしに、このスネアだけピッチを上げてみます。
波形の下に並んでいるパラメーターからPitch②をタップすると、スライス上で直接ピッチを上げ下げ③できます。

そしてPrvw(プレビュー)をタップしてからスライスをタップすると、そこだけ音程が変わったことがわかります。
LOOP TRANSPOSEノブと同じく半音単位で変えることができますが、ここで設定できる範囲は±50…8オクターブ以上におよびます。
他のパラメーターも変えてみよう
波形表示ディスプレイには、ピッチだけでなく合計7つのパラメーターがあります。

- Pitch 音の高さ
- Pan ステレオ定位
- Level 音量
- Decay ディケイタイム。下げると音が短くなる
- Rev 逆再生
- FFreq フィルターのカットオフ周波数。上げると音が明るくなる
- Alt スライスを4つあるオルタネートグループのどれかに割り当て、そのグループ内でランダム再生させる
- Prvw プレビューモード。スライスをタップすると試聴できる
このうちAltだけ補足すると、たとえばスネアのスライス(①〜⑤)をオルタネートグループ1にしてプレイすると、自分の番でグループのスライスがランダムに鳴ります。

スネアグループ、キックグループ、ハイハットグループといった感じで設定すると、同じループの繰り返しなのに規則性がなくなるので、生演奏っぽくできるのがAltの使い方でしょう。
パラメーターをオールリセットするときは、RESET CURRENT PARAMETERS⑥をタップしましょう。

◇
Stockholm by Reasonのシリーズ記事1回目は、基本的な操作方法を覚えていきました。かんたんなチュートリアルでしたが、ブレイクビーツの楽しさを体験できたと思います。
次回はプリセットだけでなく、この世に存在する無数のRexファイルを取り込んで、活用するやり方を紹介します。


