KORG Moduleの高品位サウンドをGadgetで。「別売」追加ライブラリー・プレビュー。
2018年2月1日、コルグはiOS音源アプリ「KORG Module」のアップデート「バージョン 2.6」をリリースしました。
新しく3つの他社製エクスパンション・サウンド・ライブラリーが追加されたのが、大きなトピック。
他にもパフォーマンスの改善や演奏時の不自然な音切れが解消されるなど、全体的なリファインが行われています。
(新作ライブラリーの詳細については、以下の記事をご覧ください)
[clink url="https://gadget-junkies.net/?p=5741"]
これまで当ブログは「KORG Gadget 激推しサイト」という立場上、あまりModuleについて触れてきませんでした。
しかし、実はGadgetでも使うことができる「拡張ライブラリー」が充実してきた今、改めてModuleについて、9つあるサウンド・ライブラリー(2018年2月現在)の話題をメインに記事を書きたいと思います。
KORG Moduleのライブラリー音色は、Gadgetでも使用可能
KORG Moduleは、ピアノやエレピと言ったハイクオリティーな内蔵音源を、iPhoneやiPadで「演奏」することに特化したアプリ。
そして、そのModuleの音色ライブラリーは、すべてGadget for iOSでも扱う事ができます。
ただし専用ガジェットとしてではなく、Moduleをガジェット化した以下のモデルのどれかに「追加」される形で供給されます。
- Salzburg(アコースティックピアノ)
- Montreal(エレクトリックピアノ)
- Alexandria(オルガン)
- Firenze(クラビネット)
- Glasgow(マルチ音源)
たとえばModuleで、追加ライブラリー「KAPro Orchestral Dreams」を購入した場合・・・
Gadgetでは、そのライブラリーの音色を、マルチ音源ガジェット「Glasgow」で使うことになります。
なので「Moduleで購入したのにGadgetが見つからないぞ!」と勘違いしないでくださいね・・・筆者のように。苦笑
購入したライブラリーがどのガジェットで使えるかは、このあとガイドしていきますのでご安心を!
エクスパンション・サウンド・ライブラリーの一覧
2018年2月現在、Moduleの拡張音源として、個性豊かな9本のライブラリーが存在します。
これらはModuleアプリ内のストアで購入することができ、作曲を行うクリーエーター自らの音楽スタイルに合わせて拡張していくことが可能。
一つずつ紹介していきましょう。
SCARBEE EP-88M (20 Programs)
<音色が追加されるガジェット:Montreal>
今回のアップデート(2018年2月)で追加された、新作ライブラリーその1。
デンマーク・SCARBEE社製の、とても丁寧に仕上げられたプレミアム・エレクトリックピアノです。
華やかで、ダイナミック・レンジの広いエレピサウンドが持ち味。
KApro Orchestral Dreams (63 Programs)
<音色が追加されるガジェット:Glasgow>
新作ライブラリーその2。
こちらは、コルグのミュージック・ワークステーション「KRONOS」に音色を提供していたKAPro社製のライブラリー。
KORG Gadgetで初めて、本格的なオーケストラ・サウンドをもたらしてくれます。
伸びやかでツヤのあるストリングス・アンサンブルは絶品!
KApro Dreamy Synths (63 Programs)
<音色が追加されるガジェット:Glasgow>
新作ライブラリーその3。
様々なヴィンテージ・シンセの「美味しいサウンド」を取り揃えた、即戦力なサンプル音色群。
ウォームな質感のブラスやシンセストリングス、アンビエントに使えそうなドローン、果てはコンピューター・ボイスも収録されていて、飛び道具としても超便利。
80's Electric Piano (30 Programs)
<音色が追加されるガジェット:Montreal>
「これぞエイティーズ…!」と叫びたくなるような、煌びやかな質感のキラキラ・エレピ。
ハウスにマッチするド派手ピアノのほか、YAMAHA DX7にとても近いFMエレピが多く、思わずニヤリとしてしまいますね。
リバーブを深めにかけると、90年代のローファイ前に流行った、都会的なゴージャス・サウンドの出来上がり!
Mellow Tape Keyboard (20 Programs)
<音色が追加されるガジェット:Glasgow>
60〜70年代のプログレッシヴ・ロックで多く聴かれた「メロトロン」サウンドを幅広く収録。
ストリングス・バイオリン・フルート・コーラスなどの音色をテープに収録し、それを鍵盤演奏(再生)させて得られる独特のサウンドは、ノスタルジックで郷愁を帯びています。
筆者を含め、Marseilleの20〜22番音色(TAPEシリーズ)がお好きな方にとっては、まさに夢のような胸キュン・ライブラリーでしょう。
TRITON Best Selection (100 Programs)
<音色が追加されるガジェット:Glasgow>
コルグのミュージック・ワークステーション「TRITON」から、よりぬき100音色を収録。
「Mellow Tape Keyboard」が60〜70年代で、「80's Electric Piano」が80年代なら、これは90年代サウンドでしょうか?
ポピュラー音楽にマッチする、非常に美味しい音色が手に入ります。
【販売終了】PREMIER Vintage Organ (16 Programs)
<音色が追加されるガジェット:Alexandria>
横須賀に本拠を置くPREMIER SOUND FACTORY社製の、ヴィンテージ・オルガンに特化したライブラリー。
ロックのバッキングにぴったりな、野太く、ザラついた質感の荒々しいオルガンサウンドが拡張されます。
オルガンといっても教会っぽさはなく、叩きつけるようなパーカッシヴや、ハモンド系が得意みたいですね。
【2018.12.1追記】Premiere Vintage Organは、11月30日のKORG Module Ver.2.7.1へのアップデートを持って販売終了となりました。
Ivory Mobile Grand (16 Programs)
<音色が追加されるガジェット:Salzburg>
真打ち登場。泣く子も黙る、米・SYNTHOGY社製のコンサート・グランド・ピアノ。
しかもこのIvory Mobile Grandは「Ivory II」と同じ録音から収録しているそうで、はっきり言ってガチです。
この音源のDAW版は、宇多田ヒカルさんも愛用しているようですね。
Ivory II っていう音楽ソフトです いろんなグランドピアノの音が入ってるの。 RT @YUKi_i_i_i: 11枚もディスクあるソフトってどんなソフトなんですか!?
— 宇多田ヒカル (@utadahikaru) 2011年7月22日
Ivory Mobile Grandは、そのうち「German Steinway D Concert Grand」のサンプルを収録。
それでも約2GB(!)もありますが、ぜひゲットしておきたいプレミアム・ライブラリーです。
Wurley Electric Piano (14 Programs)
<音色が追加されるガジェット:Montreal>
甘く儚いサウンドで夢見心地になれる、エレクトリック・ピアノ。
冒頭ご紹介した「SCARBEE EP-88M」のエレピサウンドに比べ、ベロシティーレイヤーによる音色変化が自然で穏やか。
ダイナミック・レンジもそこそこで、全体的に大人しめな印象を受けます。
この辺りの質感の差は好みなので、それぞれのサウンドを試聴してみて購入を決めてくださいね。
あとがき:Moduleを購入する前にチェックしておきたいこと
手持ちの音色を劇的に拡張する追加ライブラリーは、あなたの音楽的な引き出しを広げてくれる、実に頼もしい存在です。
しかし、ぜひ購入前に気に止めたいのは、KORG Gadget 「for Mac」において「SCARBEE EP-88M」「KApro Orchestral Dreams」「KApro Dreamy Synths」、そして「Ivory Mobile Grand」の4ライブラリーは、たとえModuleで購入したとしても扱うことができないこと(2018年2月現在)。
今回リリースされたKORG Moduleの拡張音色は、3つともiOSでのみ動作しKORG Gadget for Macには非対応。同じアペンドであるコンサートピアノ「ivory」も同様で、他社製ライブラリーをMac版に搭載するのは難しいのかも…とはいえiOSとMacで連携できず不便なので、ぜひMacでも使えるようにして欲しい所。 pic.twitter.com/iLuNWyPyGY
— くらんけ✈︎KORG Gadgetブログ (@Gadget_Junkies) 2018年2月3日
共通するのは、どれも他社製のライブラリーだという点です。
これは販売契約に基づく…いわゆる「大人の事情」が見え隠れするようで、やむを得ない対応だと思われますが、せっかく購入したライブラリーなのだからiOS/Mac問わず使えるようになってほしいものです。
ただし、同じく「他社製」オルガンライブラリーの、PREMIER SOUND FACTORY社製「PREMIER Vintage Organ」だけは、なぜか例外。
なので、次のバージョンアップで案外あっさりMacでも使えるようになるのでは・・・と、密かに期待しています。
今回はKORG Moduleについて、エクスパンション・サウンド・ライブラリーを中心に書いていきました。
それではまた。Have a nice trip!
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