KORG Gadget 追加サウンドパック特集 2021 〜ハイブリッド・シンセ編〜

この記事では、このところ相次ぎリリースされている Fairbanks(デジタル・ハイブリッド・シンセサイザー)の追加サウンドパックを紹介していきます。

Salzburg(ピアノ)、Montreal(エレピ)、Glasgow(マルチPCMキーボード)、Alexandria(オルガン)、Firenze(クラビ) の追加パックは、こちらの記事をご覧ください。

Fairbanksとは?

Fairbanks(フェアバンクス)は、2020年10月にリリースされた、KORG Gadgetに追加可能なガジェット(音源)のひとつ。

6種類の鍵盤楽器を備えた演奏アプリ KORG Module Pro をインストールすると、KORG Gadgetでも「ガジェット」として扱えるようになります。 

 

今回取り上げる Fairbanks は、Moduleの ハイブリッド・デジタル・シンセサイザー をガジェット化したもの。最大の特徴は呼び出したプリセット音色に応じ、ガジェットパネルのノブに割り当てられたパラメーターが切り替わる「ハイブリッド仕様」である点……どういうことでしょうか?

これは、KORG Gadget Fairbanksのプリセット音色「HPF Strings」を呼び出した時のパネルです。


こちらは「Ring Mods – Harsh Light」を呼び出した時のパネル。各ノブに、全く異なるパラメーターが割り当てられました。

通常のシンセサイザーだと、「cutoff」や「peak」といったノブが固定になっています。一方、Fairbanksはバーチャル音源という特性を生かし、その音色に必要なパラメーターだけが自動的にセットされるのです。

それゆえ、Fairbanksの操作パネルは極めてシンプル。結果としてユーザーは、効率よく音色作りに取り組むことができるわけですね。

そして、もう一つの大きな特徴は、あらゆる傾向の音色をフォローする即戦力、かつ豊富な別売サウンドパックが用意される点。ユーザーは好みの傾向のサウンドパックを、必要に応じ揃えることができます。

Fairbanks 追加サウンドパック購入方法

個別のサウンドパックを紹介する前に、それらの音色をKORG Gadget Fairbanksに追加する方法を説明しておきましょう。

この記事で紹介するサウンドパックは、すべてKORG Moduleアプリの「Store」で購入します。

まずは、KORG Moduleアプリ画面右上の「Store」をタップ。


追加ライブラリーの紹介画面に移ります。


再生ボタンをタップすると、そのサウンドパックが使われているデモソングを試聴できます。

気に入ったら「購入する」をタップしましょう。画面中央に表示されるApp Storeにて支払い手続きを行なってください。7日間だけ、無料で試すことも可能。


手続き完了後にアプリを再起動すると、KORG Moduleに新たなプログラムが追加され…


KORG GadgetのFairbanksでも、Moduleと同じプログラムが追加されます。


なお、新たにリリースされたサウンドパックを購入するには、KORG ModuleとGadgetアプリを両方ともアップデートする必要があります。

Fairbanks 追加サウンドパック紹介

お待たせしました。ここからは2021年4月現在、7種類ほど用意されている追加サウンドパックを紹介していきましょう。

Hybrid Synth Pack 2(30プログラム)

今回取り上げる中では、比較的一般的な楽器や、シンセサウンドを拡張するサウンドパック。

収録プログラムは、オルガン系1、クラビ系1、ストリングス系1、シンセ系17、ベル/マレット系3、ピッキング系1、ベース系4、それとノイジーなリズムループが2。

…こう見ると、敢えて追加購入するか迷うところですが、どれも時間的変化に富む、個性的…言い換えると、非常にアクの強い音色。こうしたサウンドをシンセのプリセットから作るのは、相当骨が折れると思います。

まさにFairbanksの基本プリセットが増強される感じ。そのようなサウンドを好まれるなら、試してみる価値はあるでしょう。

Cinematic(30プログラム)

その名の通り、映画音楽さながらの壮大で迫力あるSFX系サウンドが収録されたサウンドパック。

とにかく分厚く大仰なサウンドが持ち味。インパクト溢れるワンショット効果音から、リリース・タイムを深く取ったドローンサウンドや重厚なトロンボーンなど。ストリングス一つとっても、どこかシリアスな響きです。

一方で、トリッキーなステップシーケンスを刻めるプログラムもあり、いわゆるサウンドスケープ的な範疇ではありますが、そのサウンドは思いのほか多彩。

実際に映画音楽劇伴制作に用いるのはもちろん、オリジナル動画作成時のアタック素材にも最適。あなたのトラックに得難いアクセントをもたらすSEとしても使えるでしょう。

また、このパック単体でも、抽象的かつ非音楽的な即興演奏を楽しめると思います。そういう意味では、オーガニックな響きを湛えたアンビエントでも大活躍します。

余談なれど筆者的には、このところ活況を呈している「シネマティックVlog」にこの音をつけてあげると、より劇的な仕上がりになるのでは?と感じました。

Lo-Fi House(31プログラム)

何度もテープ・ダビングが繰り返されたような、ローファイでザラついた質感が実にクール。どのサンプルも歪み気味で、ワルっぽさや煙っぽさを感じる、くぐもった音色です。

アッパーなハイファイ・サウンドが目立つKORG Gadgetにあって、まったく異質な存在感。個人的には、初期エイフェックス・ツインを彷彿とする、アングラな匂いがします。

ロービット・サンプリングなノイジーさはBilbaoを想起しますが、こちらはシンセサウンドがメイン。とにかくダークでオールドスクールな、アシッド・ハウス制作に特化したパックと言えましょう。

80s Dance Pop(35プログラム)

そしてこちらはローファイとは対極に位置する、ド派手でツヤのあるサウンド。80年代に一世を風靡した「ユーロビート」なサウンドが収録されています。

アナログシンセによる、ファットなヴィンテージサウンドが持ち味。底抜けに明るく煌びやかなブラス系音色は、ハイエナジーなリードやバッキングにピッタリ。

無論、今風なモダン・エレクトロにも完全対応します。もしあなたが、ポリフォニック・シンセ・ガジェットLisbonをお好みなら、こちらのサウンドも気に入る可能性が高いでしょう。

他にも力強いシンセベースや、FM系デジタルシンセ・サウンドまで搭載。まさに「ディスコ大好きっ子」にとって、至れり尽くせりのサウンドパックに仕上がっています。

Far North(30プログラム)

Far North…まさに極北の冬景色を想わせる、幻想的なサウンド。

アタック甘めでヒンヤリとした感触のシンセパッドをはじめ、ベルやフルート、オルガン、クワイヤなど。どの音色も、どこか寂しげな雰囲気をたたえます。

あのドリーミー・ガジェット Helsinki を更に突き詰めた世界ですが、こちらはウォームな音色や、ウェーブ・シーケンス的に蠢くプログラムなど、より多彩。サウンドの傾向としては、往年のデジタルシンセ KORG M1(KORG Gadget Darwin的だと感じました。

輪郭のはっきりしない、抽象的で陰鬱な音色が多く、アンビエントやチルアウト方面に大きく振ったサウンドパックと言えましょう。

Synth Drum(34プログラム)

あらゆるシンセサイザーで作られた、ユニークなドラムサウンドを集めたパックです。

生ドラムとは正反対なシンセキックやスネアをはじめ、派手にスイープするシンセタム、ノイジーなハット、巧みにデザインされたリバース・サンプルといった、あらゆるパーカッシブ・サウンドを網羅。

London RecifeBilbaoといった既存のデジタル系ドラムガジェットとは、一味違ったサウンドです。他にもKORG Gadgetには、珍奇な打楽器音を生み出すアナログドラム Tokyo がありますが、こちらの「Synth Drums」は、言い方は変ですが よりリアルなシンセドラム といった印象。

豪快なクラッシュシンバルなどもあり、トラックの展開に意外性をもたらすFXにも使えるでしょう。

このサウンドパックを試していて改めて思うのは、ドラムサウンド作りにおいて、ノブに最適なパラメーターをアサインしてくれるFairbanksは、極めて優れたデザインである点。リアルタイムにディケイが変化するトリッキーなドラムも素早く作れるなど、とても楽しい音作り体験ができるでしょう。

Neo Soul(30プログラム)

ソウル・ミュージックを基軸とし、ヒップホップやファンク、ジャズなどあらゆるジャンルが融合する「ネオ・ソウル」向けにデザインされたという、なかなかマニアックなコンセプトのサウンドパック。

どのプログラムもおしゃれ度が強く、とりわけブライトな感触のシンセリード・サウンドが得意な印象。捻りの効いたエレピオルガンも魅力的です。

それゆえネオ・ソウルだけでなく、モダンなエレクトロ・ミュージックに幅広く対応する、即戦力的なプログラム群に仕上がっています。

どれもユニークなサウンドパック。まずは「無料試用」で体験しよう。

今回は、Fairbanks対応の追加サウンドパックを紹介しました。

昨年10月のデビュー以来、早くも7本目(2021年4月現在)というリリースラッシュですが、どのサウンドパックも個性的で出来が良く、是非このクォリティーを維持してほしいと思いました。

とりわけ筆者的には、これまでのKORG Gadgetにはなかったサウンドを補完してくれる Cinematic Lo-Fi House 、トラックにドリーミーな質感をもたらしてくれる Far North あたりがお気に入りです。

まずは7日間の無料試用で、あなたに合ったサウンドパックを見つけてみましょう。

それではまた。Have a nice trip. ciao!

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