今回は、このところ相次いでリリースされているKORG Module (Pro)用追加サウンドパックのうち、KORG Gadget Fairbanks(デジタル・ハイブリッド・シンセサイザー)に対応するパックをガイドします。
鍵盤楽器(ピアノSalzburg、エレピMontreal、マルチキーボードGlasgow、オルガンAlexandria、クラビFirenze)に対応する追加パックは、こちらをご覧ください。

Fairbanksとは?
Fairbanks(フェアバンクス)は、2020年10月にリリースされた、KORG Gadgetに追加可能なガジェット(音源)のひとつです。


鍵盤楽器を備えたiOSアプリKORG Module (Pro) をインストールすると、KORG Gadgetでガジェット音源として扱えるようになります。

今回取り上げるFairbanksは、Moduleの鍵盤楽器のうちハイブリッド・デジタル・シンセサイザーをガジェット化したもの。
呼び出したプログラムに応じて、ノブに割り当てられたパラメーターが切り替わる「ハイブリッド仕様」なのが大きな特徴です。一体どういうことでしょうか?
これは、KORG Gadget Fairbanksのプログラム「Sync Lead」を呼び出したパネルです。

こちらは「Warp Sweept」を呼び出したパネル。各ノブに先ほどとは異なるパラメーターが割り当てられています。

実際のシンセサイザーだと、「Filter Cutoff」や「Filter Peak」といったノブは固定になっています。しかしFairbanksはバーチャル音源なので、そのプログラムに必要なパラメーターだけが自動的にセットされます。これにより、ユーザーは効率よく音色作りを楽しめるのです。
もう一つの大きな特徴は、豊富な別売サウンドパックが用意されることです。今回紹介する追加パックで、ユーザーは好みのサウンドを自由に揃えることができます。
追加サウンドパックの購入方法
個別のサウンドパックを紹介する前に、それらをKORG Gadgetで使う方法を説明します。
ざっくり言うと
- アプリ「KORG Module (Pro)」を起動
- 画面右上の「Store」をタップ
- Store画面で「購入する」をタップ
- App Storeで支払い手続き
- インストール完了後、「KORG Gadget」を再起動
この記事で紹介するサウンドパックは、すべてKORG Module (Pro)アプリの「Store」から購入できます。
KORG Moduleアプリ画面右上のStore①をタップ。

追加サウンドパックのストアが表示されます。サウンドパックのプレイボタン②をタップすると、そのパックが使われているデモソングを試聴できます。
迷ったらデモ版を試用③で、実際にためしてみましょう。


気に入ったら購入する④をタップして、画面中央に表示されるApp Storeで支払い手続き⑤を行なってください。

手続き完了後にアプリを再起動すると、KORG Moduleにカテゴリ「Far North」が追加され、KORG GadgetのFairbanksにも同じプログラムが追加されます。

新たにリリースされたサウンドパックを購入するには、KORG Module (Pro)とKORG Gadget 3 for iOSをアップデートします。
ハイブリッドシンセ用 追加サウンドパック
ここからは、Fairbanksに対応する追加サウンドパックを紹介します。
Hybrid Synth Pack 2

| Hybrid Synth Pack 2 | ¥610 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
今回取り上げる中では、比較的一般的な楽器やシンセサウンドを拡張するサウンドパックです。
収録プログラムは、オルガン系1、クラビ系1、ストリングス系1、シンセ系17、ベル/マレット系3、ピッキング系1、ベース系4、それとノイジーなリズムループが2。
あえて追加購入するか迷うところですが、特にシンセ系は時間的変化に富むアクの強い音色。こうしたサウンドを1から作るのは相当骨が折れると思います。
Fairbanksにプリセットされたプログラムが増強される感じで、そのようなサウンドを好むなら試してみる価値はあります。
Cinematic

| Cinematic | ¥610 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
その名の通り、映画音楽さながらの壮大、かつ迫力あるSFX系サウンドが収録されたサウンドパックです。
とにかく大作映画感あふれるプログラム群。印象的なワンショット効果音から、リリース・タイムを深く取ったドローンサウンドや重厚なトロンボーンなどを豊富に取り揃えます。ストリングスも優美さというより、シリアスな響きがします。
一方で、トリッキーなステップシーケンスを刻めるプログラムもあり、サウンドスケープ的なサウンドも多彩です。
実際に映画音楽や劇伴制作に使えるのはもちろん、オリジナル動画作成時のアタック素材にも最適。トラックにアクセントをもたらすSE集としても便利です。
このパック単体でも、抽象的で非音楽的な即興演奏を楽しめます。そういう意味では、オーガニックなアンビエント作品でも活躍します。
Lo-Fi House

| Lo-Fi House | ¥610 |
|---|---|
| プログラム数 | 31プログラム |
何度もテープ・ダビングが繰り返されたような、ローファイでザラついた質感がクールなサウンドパックです。どのサンプルもワルっぽさや煙っぽさを感じる「くぐもった」音色です。
アッパーなハイファイ・サウンドが目立つKORG Gadgetで、まったく異質な存在感を放ちます。個人的には初期エイフェックス・ツインを彷彿とするアングラさを感じます。
ロービット・サンプリングなノイジーさはBilbaoを思い起こしますが、このパックはシンセサウンドがメイン。ダークでオールドスクールなアシッド・ハウスに特化したパックです。
80s Dance Pop

| 80s Dance Pop | ¥610 |
|---|---|
| プログラム数 | 35プログラム |
ローファイとは対極にあるド派手でツヤのあるサウンド。80年代に一世を風靡したユーロビートサウンドが収録されています。
アナログシンセによる、ファットなヴィンテージサウンドが持ち味。底抜けに明るく煌びやかなブラス系音色は、ハイエナジーなリードやバッキングにピッタリです。
もちろん今風なエレクトロにも完全対応します。もしあなたが、ポリフォニック・シンセ・ガジェットLisbonをお好みなら、こちらのサウンドも気に入る可能性が高いでしょう。
他にも力強いシンセベースや、FM系デジタルシンセ・サウンドも。まさにディスコ大好きっ子にとって至れり尽くせりなサウンドパックです。
Far North

| Far North | ¥610 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
Far Northは、まさに極北の冬景色を想わせる幻想的なサウンドパックです。
アタックが甘めでヒンヤリとした感触のシンセパッドをはじめ、ベルやフルート、オルガン、クワイヤといったプログラムは、どこか寂しげな雰囲気をたたえます。
ドリーミー・ガジェットHelsinkiを更に突き詰めた雰囲気ですが、こちらはウォームな音色や、ウェーブ・シーケンス的に蠢(うごめ)くプログラムもあって多彩。サウンドの傾向としては、往年のデジタルシンセKORG M1(KORG Gadget Darwin)的だと感じました。
輪郭のはっきりしない抽象的で陰鬱な音色が多く、アンビエントやチルアウトに大きく振ったサウンドパックです。
Synth Drum

| Synth Drum | ¥610 |
|---|---|
| プログラム数 | 34プログラム |
あらゆるシンセサイザーで作られた、ユニークなドラムサウンドを集めたパックです。
生ドラムとは正反対なシンセキックやスネアをはじめ、派手にスイープするシンセタム、ノイジーなハット、巧みにデザインされたリバース・サンプルといった、あらゆるパーカッシブ・サウンドを網羅。
LondonやRecife、Bilbaoといったドラムガジェットとは一味違ったサウンドです。ほかにも珍妙な打楽器音を生むTokyoがありますが、こちらのSynth Drumsは、よりリアルなシンセドラムといった感じです。
このサウンドパックを試していて改めて思うのは、ドラムサウンド作りにおいてノブに最適なパラメーターを割り当ててくれるFairbanksは、極めて優れたデザインであること。リアルタイムにディケイが変化するトリッキーなドラムなど、複雑な音作りが簡単に楽しめます。
Neo Soul

| Neo Soul | ¥610 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
ソウル・ミュージックを基軸とし、ヒップホップやファンク、ジャズなどあらゆるジャンルが融合する「ネオ・ソウル」向けにデザインされた、ユニークなコンセプトのサウンドパックです。
どのプログラムもおしゃれ度が高く、とりわけブライトな感触のシンセリードが魅力的。捻りの効いたエレピやオルガンも面白い音です。
それゆえネオ・ソウルだけでなく、モダンなエレクトロ・ミュージックに幅広く対応する、即戦力なプログラム群に仕上がっています。
Melodic Techno

| Melodic Techno | ¥610 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
メロディック・テクノは、ディープハウスから派生した新ジャンル。そんなトラック向きのプログラムが30種類ほど収録されています。
豊かな音色変化を伴うオーガニックなパッドサウンドと、FMシンセをエディットしたタイトで煌びやかなプログラムがメインで、グリッチなパーカッシブ・サンプルもあります。
このライブラリーの音で随所に美しいフレーズを挟み込むと、アンダーワールドのような大人っぽくも深みのあるトラックに仕上がります。
あらゆるエレクトリック・ミュージックにマッチする、エモーショナルなサウンドパックです。
Tropical Pop

| Tropical Pop | ¥610 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
トロピカル・ポップと題された、南国ムード満点なサウンドパックです。
その名の通り、エキゾチックなスティールドラムやパーカッション、意匠を凝らしたフルートをはじめ、高揚感を伴うビルドアップ・ライザー系音色、サイドチェインっぽい起伏を伴うサンプルもあり、今日的なEDMにも対応します。どこか涼やかさを感じさせるリードやパッドも魅力的。
ジャスティン・ビーバーのような、歌モノのダンストラックにもマッチするサウンドパックです。
Halloween

| Halloween | ¥1,220 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
Halloweenのテーマはホラー。人々を不安に陥れ、その心象風景を描くかのようなエフェクティブな効果音が多く収録されています。
こうした生弦楽器のせり上がりや不穏なクワイア、リバースを駆使する効果音は、本来プロの音効さんの作り込みで生まれるサウンド。特殊な工夫やテクニックが要求されるため、シンセサイザーによる音作りとは性質が異なります。Halloweenは、そんな私たちではフォローできない領域を補ってくれるサウンドパックです。
KORG GadgetにもSFX系サンプル・タンクAmsterdamがありますが、Halloweenはワンショットサンプルの他、より長くリリースが取られ、時間的変化に富むサウンドが多い印象です。
ひとつのサンプルでもピッチを変えることで表情は一気に変わり、30プログラムとはいえ思いのほか音色選択の幅があります。
楽曲制作においては、イントロやブレイク、場面転換時のアクセントをはじめ、バラエティ番組で耳にするような効果音が満載。動画配信時の効果音としても重宝します。
mimoPop

| mimoPop | ¥1,220 |
|---|---|
| プログラム数 | 42プログラム |
2021年12月に登場した、KORG Moduleでは初となるボイス系サウンドパックがmimoPopです。
ジャパニーズ「Kawaii」がコンセプト。ダンス&ボーカルガールズグループ kolmeで活動中のMIMORIさんによる、キュートなコーラスやボイスパーカッション、そして「コルグ!」「ありがとう!」といった掛け声が40種類ほど収録されています。
これらのサンプルは鍵盤演奏で音程が変わり、元素材をFairbanksのパラメーターで加工することもできます。
mimoPopの使い所として真っ先に思い浮かぶのは、KORG GadgetのピコピコガジェットKingstonを交えてのチップチューン。ボイス系サンプルと組み合わせて使えば、キャッチーなポップトラックが出来上がります。
もちろん通常のダンスチューンでも、シーン替わりやブレイクに用いることでリスナーの意表をつく「飛び道具」になります。そうした意味では、セガのアーケードゲームで使われたボイスデータを収録するOtoriiと同じ使い方ができそうです。
Plucks & Mallets

| Plucks & Mallets | ¥1,220 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
Plucks & Malletsは、弦を爪弾いたり、木琴を叩いたりといった、硬質なサウンドが取り揃えたサウンドパックです。
全体的にオーガニックな雰囲気ですが、FMを用いたデジタルっぽい音もあり、ユニークなパーカッシブ・サウンドが豊富に収録されています。
キー・オフ後の余韻(よいん)で微妙に変化するプログラムも魅力で、こうした意匠を凝らしたプリセットがPCM系のサウンドパックらしいところ。
そんな「弾く」「叩く」にフォーカスしたライブラリーは使い道が多く、ベースにレイヤーしてより際立たせたり、プログラムを単体でイントロやブレイクに起用して、マジカルな雰囲気を演出するのも面白いです。
90s IDM

| 90s IDM | ¥1,220 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
IDM(Intelligent Dance Music)は、90年代に台頭したダンスミュージックの一種。フロアで踊らせるためのテクノというより、知性や実験的な雰囲気を感じさせるリスニング・ミュージックです。
そんなIDMに特化したサウンドパックが90s IDMです。
持ち味は、エイフェックス・ツインやマウス・オン・マーズのようなクールで陰鬱な質感。モジュレーションを強烈に効かせたパッドやリード、ベースサウンドは非常に過激で、これをシンセサイザー初心者が作るのは困難です。そんな風変わりでインテリジェンスな匂いのする即戦力プリセットが、30も手に入ります。
IDM制作に向くのはいうまでもありませんが、精巧にデザインされた有機的に変化するプログラムは、アンビエントにも最適です。
Manipulated Voices

| Manipulated Voices | ¥1,220 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
KORG ModuleではmimoPopに次ぐ2つめのボイス系サウンドパックがManipulated Voicesです。
全体的にワンダーな雰囲気を纏(まと)ったプログラムを30ほど収録。ボイス系だけでなく、パッドやリード、ベース、SFX系サウンドもあります。
特徴としては、ハイブリッドシンセのパラメーターでプリセットをかなり操作できること。ウネるようなモジュレーションを駆使する、スタートポイントを変化させてリスナーの意表をつく、オシレーターと重ねてサウンドに変化を持たせる…そんな使い方で攻めた音作りが行えます。
音の傾向はアンビエント・ミュージック向けですが、他のジャンルでもスパイスとして振りかけることで、トラックに不思議な雰囲気がプラスされます。
Intense Bass

| Intense Bass | ¥1,220 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
アグレッシブなワブルベース・サウンドを中心に30プログラムを収録したサウンドパックです。
フューチャー・ベースやダブ・ステップなど、今っぽいジャンルにフォーカスしたライブラリーで、ダークかつワルなサウンドが手に入ります。
使いどころとしては、ベース・ミュージックをやる上での即戦力としてはもちろん、リスナーの意表をつくFXをイントロやブレイク、アウトロで使うと、より印象的なトラックにしてくれます。
デモソングが非常にかっこいいので、ぜひ聴いてみてください。きっと欲しくなるはずです。
Hyperpop

| Hyperpop | ¥1,220 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
極めて今日的な、アタッキーかつネジくれた感触のサウンドを集めた追加サウンドパックです。
ハイエナジーなstabサウンドをはじめとする、楽曲のアクセントで使うと効果的なプログラムが多い印象。ダブステップやベース・ハウスをやるミュージシャンにとって大きな武器になります。
まさに今を生きる、躍動感あふれるEDMパフォーマー向けのライブラリーです。
Dreampop

| Dreampop | ¥1,220 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
Matt Pikeの手により制作されたサウンドパック。6オペFMシンセopsix譲りの、煌びやかかつ甘く、儚いサウンドがKORG Gadgetにて再現します。
Dreampopと題するだけあり、どこか気だるく幽玄な雰囲気なリードやパッドサウンドがメイン。夢見心地なサウンドを楽しむことができます。
このページでも取り上げている追加パックShoulder Padsと同じく、意匠を凝らして作り込まれたプログラム群です。
Space Western

| Space Western | ¥1,220 |
|---|---|
| プログラム数 | 40プログラム |
Space Westernはその名のとおり、西部劇のサントラに寄せた哀愁漂うサウンドを揃えたパックです。
ジェスチャーを交えたウッドウインド系のプログラムが目立ちますが、あまり温かみを感じさせず、うら寂しい荒野のイメージなのが特徴。孤高なソロ演奏で持ち味を発揮します。
そんな木管楽器系と並ぶ豊富なパーカッション系プログラムも、ウェスタン映画のような枯れた味わいです。
映画音楽やサウンドトラック製作にはもちろん、詩情あふれるノスタルジックなトラックにもベストマッチします。
Future Synths

| Future Synths | ¥610 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
レトロフューチャーな楽曲制作にふさわしいサウンドパックが、こちらのFuture Synthsです。
30プログラムのほぼすべてがリードまたはパッド系で、アナログ系のウォーミーなサウンドが特徴的。どれも選りすぐりの洗練された逸品です。
このFuture Synthsに興味を持った方は、ぜひUKソウルシンガーJames Berkeley制作のデモソングを聴いてみましょう。
Shoulder Pads

| Shoulder Pads | ¥1,220 |
|---|---|
| プログラム数 | 30プログラム |
Shoulder Padsは、バブル期を象徴するファッションアイコン「肩パッド」のことで、その名のとおり80年代サウンドに触発され制作されたサウンドパックです。
元々はFMシンセopsix向けのライブラリーだけあり、目が覚めるような華美で煌びやかなプログラムが目白押し。FMシンセを元に作り込まれたプログラムは存在感があり、単品でも「映える」トラックが仕上がります。
そんな装飾的なサウンドが持ち味のShoulder Pads。良い意味で「わざとらしさ」があふれるユニークなサウンドパックです。
どれもユニークなサウンドパック。まずは「無料試用」で体験しよう。
このページでは、KORG Module、そしてKORG Gadget Fairbanks対応の追加サウンドパックを紹介しました。
2020年10月のリリース以来、すでに20本を数えるハイブリッドシンセ向けサウンドパック。どれも個性的で出来が良く、今後もこのクォリティーを維持してほしいところです。
まずは7日間の無料試用で、あなたに合ったサウンドパックを見つけてみましょう。

