これまでのチュートリアルでは、ドラム、ベースと打ち込んできましたので、今回はコード(和音)の入力に挑戦します。
「ポリフォニック音源」を用意しよう
KORG Gadgetでのトラック・メイキングは、常に「ガジェット選び」から始まります。
では、これから行おうとしている「コード入力」は、どのガジェットを選ぶのが良いでしょう?
赤枠で示したガジェットがポリフォニック、つまり一度に複数の音を、同時に演奏できる音源です。
今回のテーマ「コードトラックの入力」を行うガジェットは、この中から選ぶのが最適解。これから和音を打ち込もうとしているのに、単音しか出せない音源では困りますからね。
PCM音源モジュール「Marseille」
さて、コード入力には「ポリフォニック・シンセ」ということで、8つのガジェットに絞られました。
それぞれ個性的な音源ですが、今回はピアノやブラスといった「生楽器系のサンプル」を取り揃えたMarseille(マルセイユ)をチョイスしましょう。
このMarseilleですが、実はシンセサイザーではなく「音源モジュール」。シンセのような音作りを行うのではなく、リアルな生音系サウンドが多数収録されたガジェットです。早速始めましょう。
Gadgetを立ち上げ、過去のチュートリアルで作ったソングデータをロード。
ドラム・ベースに次ぐ3つ目のトラックを作ります。
ガジェットセレクターで、Marseilleを選択。
トラック 3に、Marseilleが立ち上がりました。早速クリップを開きましょう。
ピアノロールにコードを入力する
トラック 3「Marseille」のピアノロールです。ちなみに音色は「001 : Marseille PIANO」。
この画面を見て、「斜線のあるグリッド」と「斜線のないグリッド」があることに気付くと思います。「斜線のないグリッド」をよくみると、こんな音の階段になっています。これは、デフォルトで設定されている「Cドリアン」というスケール。
スケールとは「マイナースケール」や「琉球音階」などのこと。音楽知識のない方でも、実に情緒のある演奏が楽しめます
しかも演奏時は、スケールから外れた斜め線グリッドを避けてくれるので、音楽的に間違いのない曲作りが可能というわけ。しかし、今回はこの機能を使いません。
スケール機能をオフにする
Xボタンでメニューを表示し、「スケール/キーの設定」を選択。
以下のポップアップにて、スケールを「Chromatic」にしてください。
スケール表示がオフになりました。
とはいえ、スケール機能が重宝するのも事実。そちらは別の機会で取り上げます。
1小節目に「C」を入力する
今回のチュートリアルでは、トラック 3の1小節目に「C」、2小節目に「F」のコードを打ち込んでみましょう。
まず、Cは「ド・ミ・ソ」という3つの音で構成されています。
これをピアノロールで入力すると、このようになります。
Cの構成音「ド・ミ・ソ」を、この通りステップ入力してみてください。
2小節目に「F」を入力する
続いて、2小節目にコード「F」の入力。まず、前回のチュートリアルでやったように、ピアノロールを2小節分に拡げてみましょう。
Xボタンでメニューを表示し、「クリップの長さ」→「2 小節」です。
Fは、このように「ファ・ラ・ド」の3和音で構成されています。
Cの時と同じように、2小節目のエリアにFの構成音でステップ入力します。
前回のチュートリアルで覚えた「コピー&ペースト」技で、ササっと打ち込んじゃいましょう。
ベロシティーを調節する
ここまで入力したトラックを、ちょっとYボタンでプレイしてみてください。
Marseilleの「001 : Marseille PIANO」音色で、コードが「C→F」と演奏されますが……生ピアノにしては、少々違和感があることに気づくでしょう。
その理由は、どの音も全く同じで大きさで抑揚がないこと。そしてどの音もジャストタイミングすぎて機械的であるからだと思われます。
もちろんテクノなどあえてジャストで打ち込むことを良しとする向きもありますが、単調さを回避するテクニックは覚えておきたいもの。ぜひ音のベロシティー(音量)を変えるやり方を覚えましょう。
Xボタンでメニューを開き、「ベロシティーを編集」を選択。
すると、ベロシティーのパラメーターを設定するエリアが、ピアノロール下半分に出現します。
これから一つ一つの音のベロシティーを調節したいのですが、なにせ「ジャスト」で打ち込まれているので、コード部分の3音が完全に重なっています。
重なった部分の音を切り替えるにはそこへカーソルを持っていき、左Joy-Conのスティック上下操作で音を選択してください。今回は、こんな感じでベロシティーを散らしてみました。
グリッドを1/64にして発音タイミングをズラす
違和感の原因その2「タイミングがジャストすぎる」点も修正しましょう。人間が演奏しているかのように、コードを構成するノートの発音タイミングを前後にズラすテクです。
Xボタンでメニューを開き、「グリッド」→「1/64」と選択。
すると、ピアノロールで入力できる最小単位が、デフォルトの1/16(16分音符)から1/64(64分音符)になります。
この1/64単位で、コード構成音の発音タイミングを前後に移動してください。「ポロロ〜ン」と鳴らすため、このように音をズラしました。
「スイング」機能を活用する
より自然な演奏に聞かせるため、ソング全体をスイングさせる方法もあります。スイングは前の音を長めにとり、その分後ろの音を短めにとることで「ダッツ|ダッツ|ダッツ|ダッツ」となるリズム。曲全体に「揺れ感」がもたらされます。
やり方は、オーバービュー画面でXボタンを押してメニューを表示し、「曲の設定」を選択。
「曲の設定」ポップアップの「スイング」で、その量を設定してください。
Yボタンで再生させながら数値を変えると、効果がわかりやすいでしょう。スイング量に決まりはないので、あなた好みで設定してだいじょうぶですよ。
あとがき
ここまでのチュートリアルで、「ドラム」「ベース」「コード」と、3つのトラックをステップ入力で作っていきました。経過時間にとらわれず、ゆっくりじっくり自分のペースで打ち込めたかと思います。
次回はその逆。ソングを再生させながら、ノートやパラメーターをどんどん記録していくリアルタイム入力に挑戦。
両方の入力方法をモノにすれば、ますます効率的に打ち込むことができますよ!
コメント