シリーズでお届けしている、KORG Gadget for Nintendo Switch入門講座。
前回はドラムマシン・ガジェット London を用い、リズムトラックを入力しながら KORG Gadget の基本操作を覚えました。
2回目の今日は、ドラムと同じくソングのボトムを司るベーストラックの打ち込みを通じ、トラック・メイキングを行う上での基本中の基本「ステップ入力」に挑戦します。
ステップ入力とは?
KORG Gadget for Nintendo Switchの場合、ボタンやスティックを操作し、ピアノロールのグリッドに直接ノートを置いていくのがステップ入力。自分のペースで時間に追われず、じっくり入力できるのが利点。
リアルタイム入力はそれとは反対に、ガジェットを「演奏」(実際はコントローラー操作)しながらノートを貼り付ける打ち込み方。ソングのテンポに合わせて素早くノートを配置したり、リアルタイムにツマミの動きを記録させることができます。
リアルタイム入力については、この後のレッスンで取り上げます。
ベース向きのガジェットは?
さて、これから行おうとしている「ベース」のトラックメイキングに適したガジェットは、16種類あるうち一体どれでしょうか?
実は、どのシンセ・ガジェットにも大抵ベース用の音色が用意されていて、どれを選んでもそのガジェットの特徴に沿った低音域が出せます。
たとえば Chiangmai には、FM音源ならではの「バキッ」「モコッ」としたベース、 Kingston だと、ファミコンっぽい「ブー」というベース…といった具合。
そんな中、とりわけベース作りに特化した設計なのが Chicago、Miami、そして Dublin です。
Chicagoは、アシッド・サウンド作りが得意なベースマシン。見た目からしてRolandの名機「TB-303」ばりに、強力なフィルターで過激な音作りを楽しめます。
Miamiは、ダブステップなどで用いられる超定番サウンド「ウォブル・ベース」作りにフォーカス。BPMと同期させてLFOを揺らす機能により、あの怪物の咆哮のようなウォブルを超簡単にクリエイトできます。
そして、クラシカルなルックスが印象的なDublin。このガジェットは、まさに「質実剛健」といった感じがします。
プレーヤー自らがパッチケーブルを抜き差しし、音の流れをある程度決めることのできるセミモジュラーと呼ばれる仕様で、じっくり音作りをやりたい方にうってつけ。それでいて操作が分かりやすく、扱っていくうちに「シンセの構造」を体験的に学ぶ事ができます。
今回のチュートリアルでは、このDublinを使ってベーストラック作りに挑戦。
余談ですが、Twitter上でアンケートを行なったところ、やはりDublinをメインに使われる方が多い結果になりました。
ソングデータをロードする
まずは前回のチュートリアルでSwitchにセーブしたソングデータを呼び出します。
ソフトを立ち上げ、メニュー画面にて「曲をロード」を選択。
ロード画面で、前回セーブしたソングを呼び出します。
これで、前回の続きから制作できます。
新規トラックを作成する
これからベースを打ち込んでいくわけですが、それにはベース用のトラックが必要ですよね。
新しいトラックを作るには、オーバービュー画面の「+ボタン」にカーソルを合わせ、Aボタンを押してください。
ガジェット・セレクターが表示されるので、Dublinを選択。
これからベースを入力する「トラック 2」が追加されました!
この時点で、トラック 2に音源「Dublin」がセットされているので、すぐにベースを打ち込む事ができますよ。
ピアノロールにノートを入力する
トラック 2のクリップにカーソルが合っていることを確認し、Aボタンを押してください。ピアノロールが表示されます。
トラック 1(ドラム)のピアノロールに比べ、左に鍵盤があったり、マス目が多かったりと、見た目が少々違いますね。
そして新たに、ドラムトラックの打ち込むときには意識しなかったノートの長さという概念が生まれます。
ドラムの時はこんな感じで、キックやスネアが「鳴り始めるタイミング」だけ決めればよかったのですが・・・
今回のような「フレーズ」を作る場合、打ち込んだノートそれぞれに「長さ」を調整してあげる必要があります。そうでないと、なかなか音楽的な表現に繋がりませんから。
C4のノートを入力する
実際に、ベースフレーズを打ち込んでみましょう。今ピアノロールに表示されているカーソル位置は「C4」、つまり「4オクターブ目のド」です。
とりあえず、この位置のままAボタンを押し、ノートを置いてください。
16分音符のノートが打ち込まれ、同時に「ベン」という音が鳴りましたね。これは、Dublinのプリセット音色1番「80's Bass」の音ですが、ベースにしては音が高い気がします…。
C4のノートを削除し、C2にノートを入力する
ここは、もっとベースらしい低域で鳴らしたいもの。せっかく入力したC4ですが、ノート上でAボタンを押して削除してください。
そして、左Joy-Conのスティック(または方向ボタン)で下へスクロールさせて「C2」にカーソルを合わせ、そこにノートを打ち込みます。
入力と同時に、今度は「ボン」という、低いシンセベースが鳴りました。
さてここからは、ベース・フレーズの一例として、こんな1小節分のノートを入力していきたいと思います。
長いノートを入力する
上のフレーズは、真ん中のノートが他よりも長いですね。今は16分音符のマス目(グリッド)なので、これが4つ分ということは「4分音符」のノート。
起点となる場所でAボタンを押したまま、左Joy-Conのスティック(または方向ボタン)を右にやると、長いノートを打ち込むことができます。
そしてAボタンを離すと、そのノートの長さが確定します。
ノートの長さを調整する
入力済みのノートの長さを調整するには、そのノート上で、右Joy-Conのスティックを左右に倒してください。
右に倒すとノートが長く、左に倒すと短くなります。
小節数を増やす
ところで、今作っているフレーズは、1小節分しかありません。
やはり短いフレーズの繰り返しは単調。もっと小節数を増やして展開を作ってみたいもの。
Xボタンを押してメニューを表示し、「クリップの長さ」→「2小節」を選ぶと…
トラック 2のクリップが、2小節分に拡大されます。
ノートをコピー&ペーストする
この2小節目のエリアにも、ノートを打ち込んでみましょう。イチから入力しても良いのですが、1小節目で入力済みのノートを「コピー&ペースト」すれば効率的。
ノートをコピーするやり方としては、クリップ全体をコピーする全選択と、任意の範囲を指定してコピーする範囲選択の2通りがあります。
コピー元を「全選択」する
Xボタンでメニューを開き、「選択」→「全選択」→「コピー」で、そのクリップにある全てのノートをコピーできます。
コピー元を「範囲選択」する
希望するノートだけをコピーしたい場合は、まずXボタンでメニューを開き、「選択」→「範囲選択」。
そして左Joy-Conのスティックや方向ボタンを使って、コピーしたいノートだけを囲んでください。
範囲指定後Aボタンを押すと、次に何をしたいのか聞いてきますので「コピー」を選択。コピー元の範囲が確定します。
また、ZRボタンを押しながら左Joy-Conを操作すれば、メニューを呼び出さなくても範囲指定が可能です。
この操作は快適なので、ぜひ覚えておきたいですね。
コピーしたノートを貼り付ける
ペーストしたいグリッドまでカーソルを持っていき、Xボタンでメニューを開いて「貼り付け」を選ぶと、ペーストが完了します。
選択したノートだけを移動
すでに入力済みのノートを指定し、他のグリッドへ移動させることもできます。
一つのノートだけを移動させるには、そのノート上にカーソルを合わせた後、Aボタンを押しながら移動したいグリッドへ直接持っていけます。
選択した複数ノートの移動/長さ調節/削除
範囲指定したノートをまとめて移動させるには、Xボタンメニューで「全選択」または「範囲選択」を行った後、「移動」を選びます。
左Joy-Conでコピー先を自由に移動できます。Aボタンで確定。
今回は、2小節目のフレーズをF2(2オクターブ目のファ)に移動しました。同じように、複数のノートごと長さを変えたり、まとめて削除することもできます。
これで今回のチュートリアルは終わりですが、最後にそのソングデータを保存しておきましょう。次回以降のチュートリアルでも使用します。
リアルタイム入力をモノにすると、トラックメイキングが劇的にはかどる
今回は、ステップ入力について掘り下げました。このチュートリアルで、コルガジェにおける基本的な打ち込み方法はマスターできたのではないでしょうか。
もう一つの入力方法「リアルタイム入力」については、別の機会に詳しく取り上げたいと思います。
さて次回は「ドラム」「ベース」ときましたから、「ピアノ」を使ってのコード(和音)の入力に挑戦します。
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