「KORG Gadget for Nintendo Switch」まとめ。ひとりでも4人でも楽しめる「ゲーム感覚」作曲アプリ!
コルグは2018年1月18日、「KORG Gadget for Nintendo Switch」(コルグ・ガジェット・フォー・ニンテンドー・スイッチ)についての詳細情報を発表しました。
当代きってのモバイル音楽制作アプリKORG Gadgetですが、昨年はMac版のリリースで念願のDAWの仲間入りを果たし、今度はなんとゲームの世界へ殴り込み。
そんな進化を止めないKORG Gadgetに興味を抱くあなたへ、現時点で判明している「for Switch」についての最新情報をお送りします。
この作品の発売に先立ち、筆者自らSwitch本体を購入しましたので、気合を入れてレポートしてまいります!
ゲームとDAWが奇跡のフュージョン。世界初?「4人対戦作曲」モードも
これまでも「音楽ゲーム」というジャンルは存在しました。
「ダンスダンス・レボリューション」や「太鼓の達人」など、手足をフィジカルに使ってステージクリアしていく、リズムアクション系の作品がメインです。
それらと、このKORG Gadget for Switchが決定的に異なるのは、あらかじめ用意された楽曲をプレイするのはなく、プレーヤー自らが楽曲をクリエイトしていく点。
このソフトは、コルグ自らがうたうように、普通の音楽ゲームを超えた「MUSIC PRODUCTION STUDIO」なんですね。
確かに「Joy-Con」を用いた演奏や入力はゲーム感覚で行えますが、実際はゲームというより、もっと能動的なDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)に近いプロダクトです。
ただし、この後紹介する「マルチプレイモード」については、最大4人で同時に協力(または対戦)プレイすることが可能。
このモードこそが、KORG GadgetをNintendo Switchでリリースする大きな意義なんでしょうね。
16種類のシンセとドラムマシンを搭載。あのナムコ音源「Kamata」も!
「for Switch」でプレイできる「ガジェット」(KORG Gadgetでは「音源」の事をこう呼びます)は、全16種類。
特設サイトの紹介画像には、iOS版で最初から用意されている15種類プラス、波形メモリ音源のKamataが見えます。
Kamataは、コルグとバンダイナムコが共同開発した、とてもマニアックなガジェット(iOS版では追加購入することで使用可能)。
「ゼビウス」「マッピー」「ドルアーガの塔」など珠玉のナムコ社製アーケードゲームで広く用いられた、伝説の波形メモリ音源です。
ゲームプレイとの好相性ゆえの選抜なんでしょうね。
シンセサイザー・ガジェット(13種類)
ここからは、KORG Gadget for Switchでプレイできるガジェット楽器を紹介します。まずはシンセ編。
1.Kingston | チップチューン |
2.Dublin | セミモジュラー |
3.Kiev | ベクターシンセシス |
4.Berlin | オシレーターシンク |
5.Wolfsburg | ゴージャスサウンド |
6.Helsinki | パッドサウンド |
7.Miami | ワブルベース |
8.Marseille | 生楽器系マルチ音源 |
9.Chiangmai | キラキラFM音源 |
10.Chicago | アシッドベース |
11.Brussels | 強力リードサウンド |
12.Phoenix | オールマイティ |
13.Kamata | 昔のナムコ音源 |
ドラムマシン・ガジェット(3種類)
そしてドラムマシン編。
軽いテクノポップを作るならTokyoで良いでしょうが、基本的にはオールマイティーなダンス系ドラムマシン・LondonでOKです。
スクラッチや声などワンショット系の効果音を多く収めたAmsterdamも、対戦プレイ時の「ツッコミ」に使えて面白いと思いますよ!
14.London | 万能ドラムマシン |
15.Tokyo | チープなアナログ系 |
16.Amsterdam | SFXポン出し用 |
各ガジェットについて、もっと知りたい方はコチラをご覧ください。
楽曲制作は「サウンド」「ミックス」「シーケンス」「フレーズ」の4画面で完結
Nintendo Switch版KORG Gadgetでは、4つの画面で楽曲制作を行います。これはiOS版&Mac版と同様。
DAWにしてはユニークな画面構成ですが、極めて洗練されているので、一度慣れると簡単・かつスピーディーに曲作り作業を行うことができます。
それでは、各画面について解説しましょう。※リリース前につき、各画面の名称は正しくない可能性があります。
① ガジェット画面
16個のガジェット(シンセまたはドラムマシン)から一つを選び、豊富なプリセットから音色を呼び出す画面。
もちろん呼び出した音色は、各種ツマミやスライダーを駆使してエディットして、新しいサウンドのクリエイトが可能です。
すべてのガジェットには、画面下部に「鍵盤」か「パッド」が用意されているので、ガジェットを演奏することもできますよ!
② ミキサー画面
各ガジェットの音量や定位を調整し、適切なバランスでミックスする画面。トラックのミュートやソロ、リバーブもかける事もできます。
開発中だからなのかも知れませんが、FX系(ディレイやコンプなど)のパラメーターが見当たりませんね。製品版ではどうなるのでしょうか?
③ シーケンス画面
すべてのガジェットの演奏情報(シーン)が並ぶ画面。
横方向に並んだガジェットのシーンが同時再生され、最後まで進むと「下の行の再生に移る」か「同じ行をループ再生」します(選択可)。
つまりKORG Gadgetでは、時間軸が「上から下」へ進んでいくのですね。
④ ピアノロール画面
シーケンス画面から選択した「シーン」の内容を表示する画面。
いわゆる「打ち込み」を行う画面で、ドレミファ…をブロックのように並べてフレーズを作り、それをガジェットが演奏します。
すべての操作は「Joy-Con」で。回したり、傾けたり・・・
さて、Nintendo Switch版KORG Gadgetでは、どのようにして曲作りを行うのでしょうか。
もちろんSwitchの標準コントローラー・Joy-Conを操作して行うのですが、様々なジェスチャーによる入力手段が用意されているようです。
Joy-Conを回す・・・ツマミが回る
Joy-Conを「回す」ジェスチャーを行うと、その動きにセンサーが反応して、画面上で選択されたツマミを回すことができるとの事。
具体的には、「左のJoy-Conで、方向ボタンを押しながらノブを選択し」「右のJoy-Conで、Aボタンを押しながら手首をひねって回す」と、選択されたノブを回すことができます!
文章にすると少々メンドくさい感じですが、実際にやってみると「Nintendo Wii」譲りの操作方法で極めて直感的でしょう。非常に工夫された仕掛けです。
Joy-Conを傾ける・・・スケールに沿った演奏・打ち込み
Joy-Conを「傾ける」と、あらかじめ設定したスケール(音階)の音だけを演奏できるようです。
スケールというのは、ざっくりいうと単なるドレミファソラシド「以外」の演奏を可能にする機能。
たとえば「琉球音階」を選ぶと、こんな感じで演奏できます。
この機能によって、しばしばギターソロで演奏される「マイナー・ペンタ」や、「ジプシー」「アラビアン」など様々な音階を用いた即興演奏を、何の音楽理論を持たずに行えます。
つまり、Joy-Conを「傾ける方向」によって、決めたスケール通りに音が上昇下降し、アドリブ演奏できるんですね。
最大4人同時プレイ(音楽制作)が可能「マルチプレイモード」
さて、ここからはKORG Gadget for Switchを「音楽制作対戦ゲーム」たらしめる、「マルチプレイモード」について見ていきましょう。
4分割された画面を見ながら、最大4人同時にプレイできるモードで、実際はこのようにして遊ぶようです。
ちなみにこの動画は、KORG Gadget for Switchの開発者・佐野電磁氏自らによるパフォーマンス。笑
プレーヤーごとに色分けされたカーソルが4つ表示され、自分のカーソルを操作して演奏データを打ち込んだり、シンセのツマミを回したりするうちに、自然と楽曲が完成していってますね。
4人で担当パートを決めてガチ作曲するもよし、好き勝手にいじってカオストラックにするもよし、相手の演奏を消したり変えたり追加したりしてイヤガラセプレイを行うもよし。笑
おそらく世界初の「4人対戦作曲」・・・その営みは、もはや「娯楽」を超越し、一種の「アート活動」に近いものがあると感じますが、いかがでしょう?
リリースは「2018年春」を予定・・・品薄続くSwitch本体は?
さて、「マリオ」や「ゼルダ」「スプラトゥーン」シリーズなど、大ヒットゲームのリリース・ラッシュで絶好調のNintendo Switch。
本体は2017年3月に発売されましたが、2018年1月現在、いまだに品薄状態が続いています。
しかし任天堂はSwitch本体を毎月160万台出荷することを発表しており、確実に出回り始めている様子。
そんな中、KORG Gadget for Switchは2018年春の発売予定ということで、その頃までには難なく入手できるでしょう。
なおパッケージでは供給されず、Nintendo eShopにおけるダウンロード販売とのことです。
"Play Games. Make Music."
以上、ゲーム感覚で作曲できるKORG Gadget for Switchについて、2018年1月時点で判明している事柄をまとめました。
調べれば調べるほど、据え置きゲーム機であるNintendo Switchの美点を生かした、新たなアプローチによる作曲環境が実現していると感じました。
他にも、ライブ会場の大型スクリーンに投影させてインタラクティブ・プレイを行ったり、逆に携帯性を生かし、電車内やカフェなど、様々なシーンで自由に曲作りができたりします。
リビングで親子セッションなんて、とっても素敵ですよね。
そんな無限の可能性を秘めたKORG Gadget for Nintendo Switch。この春のリリースを、心待ちにしたいと思います。
それではまた。Have a nice trip!
※この記事を作成するのにあたり、多くの画像を株式会社コルグ様のウェブサイト、およびDETUNEltd様がアップされた以下の動画よりキャプチャーさせていただきました。ありがとうございました。
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