さらば、音楽共有サービス「Allihoopa」。2019年1月17日で閉鎖…今すぐ、私たちがやるべき事とは?

2018年12月13日、KORG Gadgetユーザーをはじめとする音楽制作者にとって、ショッキングなニュースが飛び込んできました。
スウェーデンのアリフーパ社が手がける楽曲共有サービス「Allihoopa」が、2019年1月17日をもって閉鎖するという、極めて衝撃的なアナウンスを行ったのです。
Allihoopaは、KORG Gadgetはもちろん、FigureやTake、TNR-i、そしてReasonなど、全15種類の音楽制作アプリで作成した楽曲を、ネット上に公開することができるサービス。
さらにAllihoopaがユニークなのは、アップされた楽曲を他のミュージシャンが自由にダウンロードでき、自分の環境でリミックスやアレンジを施した上で再アップが可能である点。
世界中のミュージシャン同士によるコラボレーションが簡単に行えるという、実に画期的でエキサイティングな楽曲共有サービスでした。
そんなAllihoopaは、今やKORG Gadgetユーザーと世界を繋ぐメイン・ストリームとして、すっかり定着。
コラボのみならず、アップされた楽曲に対し「いいね」を付けたり、コメント欄に感想を書き込めるなど、世界中にいるミュージシャンとの交流もできる音楽SNSとして機能していました。
そんなAllihoopaが、突如「Allihoopa is closing down」との声明を発したのです。
その内容は、おおよそ以下の通り。
- 楽曲共有サービス「Allihoopa」の全サービスを2019年1月17日をもって終了し、公開されているデータ(楽曲)とアカウントをすべて削除する。
- そのため、私たちはデータを簡単にダウンロードできる仕組み「Mixtape」を用意した。
- Allihoopaアプリは、Appストアから削除する。またFigureとTakeアプリについても、新たなオーナーが見つからない限り削除される(削除後もローカルで使うことは可能だが、Allihoopaへの接続はできない)。
- Allihoopaで知り合ったミュージシャンとは、今のうちにメッセージを送ったり、ユーザーグループやフォーラムを作るなどして、交流を保つ事を期待する。
…なんとAllihoopaの閉鎖のみならず、とても簡単にお洒落トラックを作成できるiOSアプリ「Figure」や「Take」の廃止をも示唆する、極めて重大なアナウンスです。
この非常事態を受け、1月17日までに行わねばならない事。それは「アップ済み楽曲の回収」です。
今回は、その方法について述べます。
Allihoopaが用意した「Mixtape」で、自分の楽曲を回収(ダウンロード)する。
私たちはAllihoopaがこの世から消滅する2019年1月17日までに、アップしたソングデータを、MacやPC、iOSデバイスに取り戻さねばなりません。
そうすれば、あとでSoundCloudなど、他の共有サービスにて「再展開」することができますからね。
ダウンロードに際しては、自ら「Pick Up」し、プロジェクトファイルの回収をコツコツ行っても良いのですが、アップした曲の数が膨大だとかなりの作業量。
そこで、ここではMixtapeという、自作曲やコラボトラックを一括ダウンロードできるツールを紹介します。
使い方はとても簡単。Allihoopaのサイト上に表示される「Create Mixtape」ボタンを押すだけで、一連のダウンロード処理が自動的に完了します。
PCでダウンロードする場合のやり方
あなたがMacやPCをお持ちの場合、是非そちらで作業を行うことをオススメします。
① Allihoopaにアクセスし、ソングデータを一斉ダウンロードする
まずはWebブラウザからAllihoopaにアクセスし、ログインします。
ご自身のプロフィール画面に進み、「Create Mixtape」ボタンをクリック。
以下の画面にて、MacやPCなどローカル環境にダウンロードする場合は「Download」、クラウド・スペースへ保存したい方は「Save to Dropbox」をクリック。ここでは、この後行う作業の関係上「Download」を選択してください。
ネット環境にもよりますが、筆者のアカウントのように68MB程度のデータなら数秒でダウンロードが完了。
ただしAllihoopaの閉鎖日が近づくとユーザーが殺到し、サーバーに負荷がかかって重くなることが予想されますので、ダウンロードは早めに済ませておくのが良いですね。
➁ ダウンロードしたソングを、PC上で表示/再生する
MacやPCのダウンロードフォルダに格納された、先ほどMixtapeで落としてきたフォルダを開き、そこにある「index.html」をダブルクリックしてみましょう。
するとWEBブラウザにて、あなたがAllihoopaで活動してきた様々な記録が表示されます。
なお、この画面はネット上ではなくローカルに保存してあるファイルにアクセスして表示されるので、Allihoopaが閉鎖した後もいつでも確認できますよ。
続いて「View Music Pieces」をクリックすると、一斉ダウンロードしたソングがリスト表示されます。
プレイボタンをクリックすれば、その曲の再生が始まります。
➂ オーディオ・ファイルを取得する
ソングの「Go to folder」をクリックしてください。
すると、実際のオーディオ・ファイルや、曲のカバー画像が格納されたフォルダにアクセスできます。
そのフォルダを開くと、以下のファイルが格納されています。
このオーディオ・ファイルは「.mp4」形式。曲やジャケットをPCのiTunesにコピーすれば、いつでも聴くことができますね。
➃ プロジェクト・ファイルを取得する
ダウンロードしたソングデータは、先に述べた通りオーディオ・ファイル形式ですから、このままではKORG Gadget上で開くことができません。
曲そのものをコルガジェで再編集したい場合は、以下の方法で「プロジェクト・ファイル」形式のデータを取得しましょう。
まず、オーディオ・ファイルや曲のカバー画像が格納されたフォルダにアクセス。
以下のファイルのうち、今度は「piece.gadget」に注目してください。
このファイルは圧縮されているので展開(解凍)してあげましょう。筆者はThe Unarchiverを使いました。
piece.gadgetファイルのアイコン上で右クリック(Control+クリック)し、メニューより「このアプリケーションで開く」→「その他…」を選択。
「The Unarchiver」を選び、「開く」をクリック。
するとpiece.gadgetファイルが展開され、新たに「piece」フォルダが生成されます。
このフォルダ名を「曲名.gdproj2」に変更してください。すると以下のダイアログが表示されますので「追加」をクリック。
これで、ダウンロードしたソングのプロジェクト・ファイルが生成できました!
このプロジェクト・ファイルは、そのままKORG Gadget for Macで開くことができますし…
iOS版のコルガジェで開きたい方は、iTunesを使ってファイルを転送しましょう。
やり方は簡単。PCにiOSデバイスを接続してiTunesを起動し、接続した「端末アイコン」をクリック。
iTunesの左カラムにある「ファイル共有」をクリックし、表示された「ファイル共有」リストから「Gadget」を選び、その右にある「Gadgetの書類」へ、展開したプロジェクト・ファイルをドラッグ&ドロップ。これで転送完了。
iOSデバイスのKORG Gadgetを起動して、転送したプロジェクト・ファイルを開いてみましょう。
これでダウンロードしたソングを、思う存分編集できますね。
iOSデバイスでダウンロードする場合のやり方
もしPCをお持ちでない場合でも、iPhoneやiPadに直接ダウンロードすることは「一応可能」です。
やはりAllihoopaのサイトにアクセスし、Mixtapeを使って一斉ダウンロードするわけですが…
このやり方で得られるのは、このような「.zip」形式のファイルとなります。
アプリ「AudioShare」に展開するなどして、中身のソングをオーディオ・ファイル形式で再生することは出来ますが…
iOSデバイスだけではプロジェクト・ファイルを生成する手段がないため、出来る事はここまで。
やはりMacやPCで、ダウンロード→プロジェクト・ファイルの取得までを行った方がいいでしょう。
Allihoopaが遺した偉大な足跡。そして今後の音楽共有シーンについて。
今回は「Allihoopaが閉鎖」というアナウンスを受け、アップしたソングデータの回収方法について解説しました。
筆者としては、このような記事を書かねばならない事態となり、残念でなりません。
Twitter上ではサービスの終了を惜しむ声が溢れていますが、一方でこんな前向きなツイートも。
思えば
マイスペース→サウンドクラウド
→アリフーパ…と、サービスの
アップデートが進んでるので
僕は楽観的にこの状況を見てますよ👍ユーザビリティの開発余地は
(例えばableton liveやcubaseなどの相互乗り入れ)まだまだあると思うので
これからが楽しみですね— Taiki overthere (@taiki0405m) 2018年12月14日
確かに、これまでも音楽共有サービスは着実に進化してきました。
今後も既存の仕組みを推し進めたり、全く新しいコラボ手段を提案するサービスが、きっと出現し続けるでしょう。
より楽曲共有の可能性が開かれ、さらにパワーアップしたサービスの誕生を期待しつつ、「世界中の異なる環境下にあるミュージシャン同士のコラボレート文化」という偉大な足跡を残した、Allihoopaの最期を見届けたいと思います。
それではまた。Have a nice trip!