先日リリースされたKORG Gadget 2。6つの新音源など多くのトピックで賑わっていますが、ひときわ重要なのはMIDI出力が可能になったことでしょう。これによりKORG Gadget以外の他社製アプリや、シンセサイザー、ドラムマシンといったハードウェアと同期演奏できるようになりました。
今回は、その役割を担うガジェットTaipeiにフォーカスし、基本的な使い方を紹介します。
MIDI-Out Control Module「Taipei」で何ができるの?

「Taipeiのツマミを回したり鍵盤演奏して生み出すMIDI信号を、他のアプリやハードウェアに送って、それらを演奏したり音色を変えたりできる」ガジェットです。
Taipei自体から音が出るのではなく、Taipeiが外部アプリやハードをコントロールする…役割としては、この一点に絞られます。
ご覧のとおり、MIDIコントローラーがガジェット化されたような見た目です。

搭載された5つのセクション(X-Yパッド・ノブ・アルペジエーター・LFO・鍵盤)を駆使して、外部音源をコントロールするのですね。
外部音源をコントロールしてみよう
それでは実際に、KORG Gadgetで外部アプリを演奏してみましょう。
最も簡単な使用例として、KORG GadgetでiPad用アプリDXiを演奏します。

DXiは、YAMAHA DXシリーズを再現したシンセアプリ。KORG GadgetにはないガチなFM音源サウンドだけに、期待が膨らみます!
外部音源をTaipeiで演奏してみよう
まずはDXiを起動してください。KORG GadgetにDXiを「外部アプリ」として認識させるためです。
次にKORG GadgetのTaipeiで、DXiに演奏させたいシーケンスを打ち込みます。

打ち込み終わったら、Taipeiの右上にあるSETTINGSボタンをタップして、OUTPUT SettingsのDXi FM synthesizerをタップ。

この状態でTaipeiをプレイすると、DXiからサウンドが鳴ります。
DXiを開くと、Taipeiで打ち込んだシーケンスが演奏されているのがわかります。

たったこれだけで、外部アプリと同期演奏できました!この動画も参考にしてくださいね。
当然ながら、KORG Gadget Taipeiを複数並べることにより、複数の外部アプリと同期演奏できます。こちらの動画は、ELECTRIBE WaveとDXi、そしてLondon&Dublinによる共演。プログラムチェンジが出来ないのは残念ですが、その代わり「アプリごとに独自の音を鳴らす」というのもオツですよ。 pic.twitter.com/ricPftvYhH
— くらんけ@Gadget-Junkies.net (@Gadget_Junkies) 2019年3月16日
外部音源をTaipeiの鍵盤で演奏してみよう
ハードウェアのMIDI機器はもちろん、「バックグラウンド再生」可能なiOSアプリなら(すべてのアプリではないようですが)、KORG Gadget Taipeiの鍵盤で演奏したり、ノブやX-Yパッドで音色をエディットできます。
バックグラウンド再生をONにする方法はアプリにより異なりますが、たとえばDXiでは「i」というアイコンをタップしてオープンする設定画面から行え…

ELECTRIBE Waveであれば、iOS設定 > ELECTRIBE Wave > Background Audioで行えます。

外部アプリのバックグラウンド再生が可能になったら、Taipeiの鍵盤を弾いてみましょう。
もし外部アプリの音が鳴らない場合は、TaipeiのOutput Settingsで、そのアプリが選択されているかをチェックしてくださいね。

このように、Taipeiの鍵盤を弾けばDXiやELECTRIBE Waveといった外部アプリを演奏できますし、SCALEボタンをタップすれば「コード機能」や「アルペジエーター」も使えます。


外部音源をコントロールしてみよう(ノブ編)
Taipeiには、8つのツマミとX-Yパッドが搭載されていて、それぞれに「コントロール・チェンジ」(以下「CC」)ナンバーを割り当てることができます。

CCは外部機器に対して、音量やパン、フィルターなど、あらゆる制御情報を伝えることができる「MIDI信号」の一種。
あらかじめ外部機器用に割り当て済みのプリセットが15種類ほど用意されますが、どれもprologueやvolcaシリーズなど、KORG社製ハードウェアシンセ用の設定です。


プリセットにない外部機器でも、ユーザーがCCナンバーをノブやパッドに割り当てることができます。
やり方は簡単で、ノブやパッドの「CC# 〇〇」と表示された部分をタップし、任意のCCナンバーを選択するだけ…

…なのですが、すぐに私たちは困難な事態に直面します。それは、コントロールしたい外部機器のパラメーターが「CC何番」なのか分からないこと。
たとえば、外部シンセの「フィルター」をノブで操作したくても「CUT OFFのCCナンバー」が不明ならお手上げです。
この問題を解決するには、次の2つの手段があります。
手段① 「MIDIインプリメンテーション・チャート」を入手する
MIDIインプリメンテーション・チャートは、その機器が扱うMIDIメッセージに関する仕様書で、CCについても必ず記載されます。
このチャートは、すべてのMIDI機器での表示が義務付けられており、たいていはマニュアルの最後に掲載されます。
アプリであっても、こうした情報がネット上で見つかる可能性はあります。「アプリ名」「CC」といったワードで検索してみてください。
運が良ければ、このiELECTRIBEのようなCCリストが手に入るでしょう。

手段② CCナンバーを自力で調べる
アプリのCCリストが見つからない場合は、筆者が考案した原始的なやり方で把握してみましょう。
nanoKEY StudioなどのiOSデバイスに接続できるコントローラーを使って、その物理ノブでコントロールを試みる方法です。
実際にDXiでやってみます。
iOSデバイスにコントローラーをつないでKORG Gadget Taipeiを立ち上げ、8つのノブに「CC#0」〜「CC#7」をセットしてください。

DXiを起動し、コントローラーとの接続操作を行います。

そして、そのコントローラーの物理ノブを片っ端から回してみましょう。このとき、DXiの画面に表示されたノブやスライダーが連動して動いたら正解!
このやり方で筆者が把握できたDXiのCCナンバーです。
やり方は、Taipeiのツマミに1から128のCCナンバーを片っ端から割り当て、外部音源アプリに切り替えて、nanoKEY Studioのツマミをグリグリ回す。で、運良くそのアプリのノブやスライダーが動いたら正解!という。。我ながらプリミティブすぎて情けなくなるが、一応これで目的は果たせるよね。(^-^;) pic.twitter.com/5tQWcA9nrK
— くらんけ@Gadget-Junkies.net (@Gadget_Junkies) 2019年3月16日
ちなみにCCナンバーは0から127番まであるので、すべてを調べるのは大変です。
そこで、このようにTaipeiを16台使って全CCナンバーをセットし、CC把握用プロジェクトとして保存するのがオススメです。1台目のノブにCC#0から#7、2台目にCC#8から#15…と割り当てるのです。

このプロジェクトを「外部アプリのCCチェック用」として呼び出せば、CCナンバー調べの労力が軽減されますよ。
外部音源をコントロールしてみよう(X-Yパッド編)
今度は、Taipeiの「X-Yパッド」で外部機器をコントロールしてみましょう。

パッドをX軸(横方向)、およびY軸(縦方向)になぞることで、それぞれに仕込んだMIDIメッセージを連続的に変化させ、外部音源をコントロールします。
X-Yパッドもノブと同じくCCナンバーの割り当てが可能ですが、それとは別に6種類のコントロールをアサインできます。

これなら外部音源のCCナンバーが不明でも、気軽にコントロールできますね。
外部音源にアルペジオをかけてみよう
Taipeiには、独自のアルペジエーターが用意されています。

ガジェットに標準搭載されているアルペジエーターとの違いは、前者はキーをトリガーしている時だけかかるのに対し、後者は打ち込んだノートに対してもアルペジオが適用されること。そして、前述のX-Yパッドでコントロールできる点です。
アルペジオをMIDI信号として出力するには、ARPボタンをオンにします。そしてTYPEで、上昇・下降・ランダム・トリガーといった13種類の中から、アルペジオパターンを選択します。

アルペジオを曲のテンポと同期させたければ、BPM SYNCボタンをオンにした上で、そのスピードを「全音符〜64分音符」の範囲内で調節しましょう。
ゲートタイムも可変でき、上げると滑らかな、下げるとキビキビしたアルペジオが得られます。
外部音源のサウンドをLFOで揺らしてみよう
最後に紹介するのは、LFOの効果をMIDIメッセージとして外部機器に送る機能です。

LFOをMIDI信号として送出するには、LFOボタンをオンにし、WAVEからLFO波形を選択します。

実際に外部音源をLFOさせるには、その音源が「CC何番」であればLFOのMIDIメッセージを受信してくれるのかを調べなくてはなりません。
筆者が試したところ、DXiではCC TYPEを「CC#74」にすると、LFOしてくれました。
Taipeiは、KORG Gadgetに無限の可能性をもたらす…!

今回は「KORG Gadget Taipei」について、基本的な機能を解説しました。これからも「Taipei応用編」として、ミキサーアプリ「AUM」を用いてのレコーディング方法や、フィジカルコントローラーの活用術などについて、さらに掘り下げた解説を行う予定です。

