すべてのトラックメーカーに捧げる「楽曲共有サービス」7選。
私たちトラックメーカーが「作曲」という表現活動をするからには、やはりオリジナル楽曲をネット上にアップして、世界中のリスナーへ届けたいですよね。
ネット以前の時代、名の売れていないアーティストが自身の作品を発表するのは、本当に大変でした。
自主制作CDをエンジニアにマスタリングしてもらい、それをCD工場でプレスしたのち、ディストリビューターに頼んでレコード店に流通させる…手間もお金もかかったものです。
ネット時代となり、誰でも手軽にトラックをシェアできるようになりましたが、その代名詞的存在が、楽曲共有サイトの始祖SoundCloud。
SoundCloudは、私たちKORG Gadgetユーザーにとって、常に身近な存在であり続けました。
それはKORG Gadgetで作ったトラックをアプリから直接アップできるGadgetCloudと呼ばれる仕組みが存在するから。
「トラック完成→直接GadgetCloudにアップ→(出来が良ければ)そこのランキングに掲載→SoundCloudやSNSで「いいね」されてシェア→次の曲作りの励みに」という、トラックメーカーにとっての良循環をもたらしてくれていました。
そんな幸せなシーンに激震が走ったのは、このニュースがきっかけでした。
テクノロジー・ニュースサイトTechCrunchさんによる記事を要約すると…
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2017年7月、SoundCloud社は40%の社員をレイオフした
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理由は、コストを減らすことで第4四半期まで時間を稼ぐためだが、あと50日しか残されていない
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このままSoundCloudが終了すれば、ただでさえ綱渡り的なインディー・ミュージシャンにとって深刻な打撃となるだろう
…とのこと。
記事はたちどころにツイッターで拡散し、世のトラックメーカーの間で物議を醸しました。
ぼく的にはネットの世界ではよくある話だし、きっとSoundCloudの理念を受け継ぎつつ、長期維持可能なビジネスモデルを構築できる資本が入るだろうと(今のところ)楽観視しています。
やたら今日は「SoundCloudがヤバい」というTLが流れてきますが、ぼくらユーザーは何ら気をもむことはないと思います。だってホリエモンが没落してもライブドアブログは健在だし、ハドソンが潰れても桃鉄が新作で遊べるでしょ?笑https://t.co/LMJXemRNEU
— くらんけ*KORG Gadgetブログ (@Gadget_Junkies) 2017年7月13日
ということで個人的には心配しなくて良いと思うのですが、私たちトラックメーカーにとって「一定のリスク」が顕在化したのも事実。
たとえリスクがなくても、あなたのトラックを世に広めるため、SoundCloudに次ぐ第2・第3のチャンネルを持つのも悪くないでしょう。
そこで、そんなSoundCloudの代わりになりうる「楽曲共有サイト」はどんなものがあるのか、調べてみました。
自作曲をシェアできる楽曲共有サービスは?
ここからは「聴き専」ではないトラックメーカーにとり、自作曲の発信メディアになりうる「楽曲共有サービス」を、7つ紹介します。
SoundCloud
SoundCloudは2008年にドイツ・ベルリンで設立。
インディー・ミュージシャンにとって、自身の楽曲を拡散させるための代名詞的存在です。
SoundCloudの最大の特徴であるソーシャル機能が魅力的で、「いいね」「SNSやブログへのシェア」「プレイリスト」「コメント欄」などの機能が、サービス開始当時は極めて斬新でした。
その強力なソーシャル性からか、エイフェックス・ツインやスクリレックスなどのプロアーティストもsoundcloudを活用しており、ユーザー拡大の呼び水になっています。
前述の通りKORG Gadgetアプリで作成したトラックをシームレスに公開できることから、私たちGadgetユーザーにとって最も身近なサービスと言えましょう。
やり方はKORG Gadgetのヘッダーにあるファイルボタンをタップし、エクスポートメニューから"GadgetCloud"を選択するだけ。
これだけでエンコード処理とアップロードが自動的に行われます…とてもラクですよね。
なおGadget-Junkies.netでは、SoundCloudへのアップロード方法について別の記事で紹介していますので、ご参考に。
YouTube
YouTubeは2005年にアメリカ・カリフォルニア州で設立。
「あなたのチューブ」(ブラウン管=テレビ)というサービス名からもわかるように、本来は動画を共有するためのサービスですが、もちろん楽曲のみをアップすることも可能です。
動画共有サービスとして世界最大であるYouTubeは、圧倒的なユーザー数による拡散力が期待できる点が魅力でしょう。
KORG Gadgetで作ったトラックをYouTubeへアップするには、ヘッダーのファイルボタンをタップしてエクスポートメニューを開き、保存先を「Dropbox」「iTunes」から選び「Master」(2ミックス)でエンコード。
そしてYouTubeに行き、改めて保存先からアップロードすることになります。
SoundCloudに比べ、結構な手間がかかりますね。。
Allihoopa
Allihoopaはスウェーデンのプロペラヘッド・ソフトウェアが手がける楽曲共有サービス。
元々はプロペラヘッド社製のDAW「Reason」や、iOSアプリの「Figure」「Take」などで作ったトラックをユーザー同士がシェアし合い、自由に取り込んでコラボレーションできる…というのが売りのサービスです。
このAllihoopaに、このほどKORG Gadgetからもトラックをアップできるようになりました。
GadgetCloudと同じく、ファイルボタンをタップし、エクスポートメニューから"Drop to Allihoopa"を選べば、エンコードとアップデートを自動的に行えます。
したがってKORG Gadgetユーザー的には、SoundCloudに匹敵する好相性。
まだまだ新興のサービスで、盛り上がりはこれから…といったところですが、「SoundCloudにもしものこと」(あまり想像したくはありませんが)があった場合、私たちGadgetユーザーの「移転先」として、有力なサービスだと思います。
なおAllihoopaについては、別の記事でも触れています。
bandcamp
bandcampはアメリカの北カリフォルニアにて2007年に設立。
元々はインディーズ・ミュージシャンが収入を得るための手段として始まったサービスで、トラックの「販売」を行えるのが最大の特徴。
売り手であるトラックメーカーが、販売方法や音質などを柔軟に設定できたり、リスナーに自由に値付けさせる設定も可能。
そのリスナーは、bandcampのサイト上にて無料で全トラックを試聴できるうえ、その曲やアルバムを高音質ファイルで手に入れることや、フィジカル(カセットテープ販売も!)に音楽をゲットできたりもします。
いわばリスナーは応援したいアーティストに「寄付」を行えるという、独特の文化が形作られていますね。
トム・ヨークのようなビッグネームから、こんなアングラ全開な怪しい作品まで扱われていて、とても楽しいですよ!
ニコニコ動画
日本発の動画共有サービスとして、2006年にオープン。
アップされている動画に対し、あの2ちゃんねるに由来する「おびただしい数のユーザーからのツッコミコメント」が、横方向に流れていくのが特徴。
YouTube同様、動画の代わりに静止画を貼ることで、音声のみの公開も可能です。
音楽的な傾向としては、初音ミクなどのボーカロイド・トラックを筆頭に、多種多様なマニアックさが特徴。
KORG Gadget、今年の大型アプデでオーディオトラックに対応し、ボカロ楽曲を制作しやすくなりました。
これを機に「ボカロP」デビューもいいのでは?
クレオフーガ
2007年に立ち上がった、音楽投稿コミュニティーに特化したサービス。
岡山県にあるIT企業みたいですね。
「ファイナルファンタジー」の作曲を手掛けた植松伸夫さんが審査委員長の「四国西予ジオパークミュージックコンテスト」や、優秀作は「太鼓の達人」のBGMに採用されるコンテストなど、様々な企画が常時行われているのが特徴。
各種オーディション企画も盛んで、そのせいかリスナーもクリエーターが多い印象ですね。
寄せられるコメントも、トラックメイカー的な視座のコメントが多いので、とても勉強になると思いますよ。
ツイッター
最後に意表をついて「ツイッター」を紹介します。
ご存知の通り、ツイートするときに2分20秒(140秒)までの動画をアップできますよね。
実はあなたがお使いのPCがMacであれば、KORG Gadgetで演奏されているトラックを「動画ごと」アップすることで、すこぶるラクに公開できるんです。
やり方はiPadやiPhoneをMacに接続し、
MacのQuickTimeのアイコンを右クリックして「新規ムービー収録」を選択。
するとMacのデスクトップに「ムービー収録」というウインドウが現れ、接続されているiOSデバイスの画面がそのまま表示されます。
これはリアルタイム・ムービーなので、iOSデバイスを操作すると連動して動きます。
その画面の下の方に、音量スライダーと録音ボタンのあるボックスが表示されてます。
適切な音量に調節し、準備ができたら録音ボタンをクリックしてiOSデバイスのプレイボタンをタップすれば、KORG Gadgetの演奏を「動画」として収録できます。
あとはその動画を一旦保存し、ツイッターにアップするだけ。
ユーザーのWi-Fi環境にもよりますが、まずまずな音質でエンコードされますので、手軽な方法としてツイッターに直接アップするのも悪くはないと思います。
SoundCloudにアップしたトラックを他のサービスに避難させよう
今回はKORG Gadgetユーザーとして、また、やっている音楽の傾向として、どの楽曲共有サービスを選べば良いかを考えてみました。
どれも特色のあるサービスなので、自分にあったものを選べば良いですね。
一応KORG Gadgetとの親和性という意味では、 SoundCloud=Allihoopa>ツイッター>その他 の順で、使いやすいと考えます。
経営危機が囁かれているSoundCloudですが、いざという時に備え、またあなたの情報発信源を増やすという意味でも、複数の共有サービスに楽曲をアップするのもアリ。
なおSoundCloudにアップ済みのトラックは、自分でダウンロードできます。
あなたがアップしたトラックの設定画面に行き、Permissionsタブを選択して"Enable downloads"にチェックを入れてください。
するとそのトラックが、ダウンロードできるようになります。
ちなみにデフォルトでは、Enable downloadsは無効(つまりダウンロード不可)です。
今のうちに、あなたの公開済みトラックをローカルに「避難」させれば、SoundCloudに何があっても?難は逃れられるでしょう。
それではまた。Have a nice trip!
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