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非現実的な音色使いでトラックをユニークにするテクニック(Berlin編)

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突然ですが、筆者はハイ・ラマズHigh Llamas)というイギリスのロックバンドが大好きです。

https://en.wikipedia.org/wiki/The_High_Llamas

彼らの作品の中でも、特にオルタナバンドのステレオラブ(Stereolab)と組み、1998年にリリースしたCold and Bouncyは大傑作でした。

当時大流行りしていたエレクトロと、ビーチ・ボーイズのような甘く美しいメロディーが融合した、本当に夢のようなアルバムだったことを覚えています。

この作品がユニークだったのは、めくるめくホーンセクションや、ストリングス・アンサンブルのバックで常に鳴っていた、アナログシンセによるSEっぽいサウンドの存在。

この要所要所に散りばめられた不思議サウンドはとても印象的で、曲全体をエレクトロでもない、単なるグッド・ミュージックでもない、唯一無二の存在に押し上げていました。

32秒すぎからのサウンドが、それです。

旋律とユニゾンしたかと思えば、いきなりリズム隊の一員としてグルーヴを形成したり…。

多分にステレオラブ側のアイディアだと思われるこの「ブクブクサウンド」や「ビチャビチャサウンド」を、KORG GadgetのアナログモノシンセBerlinでシミュレートしてみたいと思います。

本邦初公開。筆者くらんけのオリジナルメソッドです!

目次

いざ、Berlinを2トラック使っての再現実験!

今回の試みのために一曲ご用意しました!

オリジナルからサビの8小節分だけ抜き出してます。

色々な音があってわかりづらいので、ざっくりミュートしました。

これからこの2トラックにフォーカスして、音色の作り方をご紹介したいと思います。

① 主旋律に寄り添ってユニゾンするトラックを作る。「ブクブク」の正体は「LFOのS&H」?

まずは新規トラックを作成してBerlinを選択し、「030 Initialize Berlin」を呼び出してください。

いきなりですが、音色完成後の画面を出しておきます。

「VCO / MOD」画面と…

「VCF / AMP」画面です。

この通り設定すれば、同じ音色が再現できます。

…一応、設定ポイントを解説していきますね。興味のある方だけご覧下さい。笑

VOLTAGE CONTROLLED OSCILLATOR セクション

基本波形ですが、Pulse波が最も派手に音色変化するので、これを選択。

Saw波も味があっていいですね。音色の動き方が若干マイルドになります。

あとの3本のスライダーはすべて0。

本来Berlinはオシレーター・シンクが持ち味なので、この辺りの設定がキモになるのですが、この音色ではあえて「強制同期させる側」だけのオシレータ出力にしています。

この方が、何となく音色が不明瞭になって筆者好みでした。

LOW FREQUENCY OSCILATORセクション

ここが、この音色の「ブクブク」具合を特徴付ける一番のポイント。

LFOの波形を「S&H」(サンプル・アンド・ホールド)にして不規則な揺らぎ方をさせ、更にゆらぎを与える周期(FREQ.)を「6.31」と、かなり高速にしています。

TEMPOスイッチはOFF。こうする理由は、LFOをテンポ同期させないというより、揺らぎ間隔を「1/32」までしか細かくできないからですね。

それではVCF / AMP画面に移りましょう。

VOLTAGE CONTROLLED LOW PASS FILTERセクション

レゾナンスを102と、かなり上げています。カットオフ周波数は4.00あたり。

こうするとLFOくんの気分次第で、不規則ながら気持ちよく発振してくれます。

あとはシーケンスを主旋律と同じ(コピー)にすればOK。

素直なメインメロディーの音色とユニゾンさせることで、とてもユニークな旋律が生まれますよ!

他にもADSRなど、ここで触れなかったセクションの設定もソコソコ重要ですが、これといった答えがあるわけでもないので、お好みの設定で大丈夫だと思います。

② ひたすら反復してリズム隊の一翼を担うトラックを作る。同じくLFOの使い方がキモ

続いて同じくBerlinで作る反復トラック。

他のトラックの裏でリズミカルに「ビチャビチャ」動き続けることで、曲全体に何とも奇妙なグルーヴ感を生み出しています。

これも最初に音色の完成形をお見せしますね。

「VCO / MOD」画面と…

「VCF / AMP」画面です。

先ほどと同じく、ポイントを絞って解説します。

LOW FREQUENCY OSCILATORセクション

やはりLFOの設定が鍵になります。

今回は揺らぎ波形に「Tri波」を選択、FREQ.は「4.4」あたり。かなり高速です。

「Saw波」も捨てがたいですね。

こちらは「ピュッピュッ」という澄んだ感じで、何というか「水っぽさ」がなくなるというか。

VOLTAGE CONTROLLED LOW PASS FILTERセクション

レゾナンスをMAX(127)にして、派手に発振させてます。

カットオフは先ほどよりかは開き気味。

あまり開きすぎると発振しなくなるので、スライダーを上げ下げしながら、ほどよい「ビチョビチョ」ポイントを探りましょう。

シーケンスパターンについて

これを延々繰り返しています。

どのBarも「F#4」で鳴らしていますが、全く調性感のない音色なので、どこでも良いと思います。

たったこれだけで、リズム隊にエレクトロっぽい変態っぽさ?が加味されるように感じませんか??

一筋縄ではいかないグルーブ感が生まれたようにも思いますが、いかがでしょう。

今回のまとめ

以上、奇妙な「ブクブク」「ビチャビチャ」サウンドの作り方について、ポイントを絞って解説しました。

「ディケイ短め」「レゾナンス高め」で、歯切れよく発振させるというエレクトロニカの定番テク「グリッチノイズ」の、応用みたいな感じだったかもしれませんね。

ぜひユニークなトラック作りに生かしてくださいませ。Have a nice trip. ciao!

(↑今回のブログで使ったトラックの原曲です)

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この記事を書いた人

KORG Gadgetエヴァンジェリスト。 http://www.Gadget-Junkies.net 運営。ロックなダンスビートにピコピコサウンドを乗せ、昔のビデオゲームっぽい音楽も作ってます!

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