KORG Gadget 音源人気投票「ガジェットアワード2021」結果発表
このほど Gadget-Junkies.net では、ガジェットアワード2021(Gadget Awards 2021)を開催しました。
これはウェブ投票ツールタグボートを利用した、KORG Gadget のガジェット音源全44機を対象とした人気投票企画。1位3ポイント、2位2ポイント、3位1ポイントと投票し、その合計得点でランキングを決めていきます。
これまでKORG Gadget 総選挙として6月ごろに行ってきましたが、今年から年末へと舞台を移したアワードに。Twitter上で参加を呼びかけたところ、これまでで最多となるコルガジェユーザーが票を投じてくれました。
今回で3度目の開催となるガジェット人気投票。あなたの「推しガジェット」は、一体何位になったでしょう?
記事の最後では、コルガジェユーザーさんによる推薦コメントも掲載しています!
第1位 🇦🇺 ダーウィン 4→2→1位(↗️)
KORG Gadget ユーザーが選ぶ今年の人気No.1は、27Pを獲得した Darwin に決まりました。
過去の投票でも常に最上位グループに君臨しましたが、遂に王者となりました。
Darwin は、1988年にコルグが放った永遠の名機 KORG M1 をガジェット化したもの。数々のポピュラーミュージックで使われ続けた幅の広いPCMサウンドは、私たち音楽ファンの耳に刻み込まれていますよね。
ピアノやブラスといった生楽器はもちろん、アンビエントミュージックでも活躍しそうな抽象的なサウンドまで、あらゆるジャンルを全方位的にカバー。KORG Gadget においても拡張カードを追加すると、なんと3,300音色(!)が手に入ります。
そのハイファイなサウンドは無論のこと、ここまで Darwin が支持を集めているのは優れたユーザーインターフェースゆえ。スタンドアロンiPadアプリ iM1 譲りのサウンドブラウザは極めて洗練されており、膨大な音色群を素早く探すことが可能です。
SEARCH モードにしてサウンドのジャンルを指定すると、該当するプログラムが即座に表示。ユーザーは求める音色を、あらかじめ絞り込んでから探すことができます。さらに POPULAR モードにすることで、人気の定番プログラムを抽出表示。「あのサウンドが欲しいけど、どこにあるのかわからない…」という不便さは一切ありません。
簡素ながら横に並ぶパラメータノブも非常にわかりやすく、プリセットプログラムに様々な音色加工を施すことが可能。そんな Darwin は、かつての名機が今の技術で見事にリボーンした、いつまでも輝き続ける名ガジェットだと断言できます。
第2位 🇺🇸 フェアバンクス(初)
人気 No.2 に選ばれたのは Fairbanks (21P)となりました。
2020年にデビューした最新ガジェットが、いきなりの銀メダル。多くのコルガジェユーザーから受け入れられているのが分かります。
元々は KORG Module にて追加投入されたハイブリッド・デジタル・シンセサイザー。特徴としては、プログラムによって適切なパラメーターに切り替わる8つのノブと、膨大なジャンルを取り揃えた別売追加ライブラリーの存在です。
上の画像を見比べて分かる通り、呼び出したプログラムに応じ、必要なパラメーターが自動的に割り当てられています。これによりシンセの初心者であっても、簡単に音色作りを楽しむことが可能。バーチャル・シンセならではの仕様で、実に KORG Gadget らしい優しさです。
そしてもう一つのポイントは、2021年12月現在で11種類も存在する別売追加サウンドパック。しかも各パックはインストゥルメント別ではなく、Lo-Fi House や Tropical Pop といった具合に、ユーザーが求めるジャンルやムードごとに収録されています。それゆえ同じパックであっても、リズムやベース、リードを横断的に取り揃えていることも。このコンセプトは非常にユニークだと思います。
Halloween(ホラーサウンド)や mimoPop(ジャパニーズ KAWAII をテーマにしたボイス集)など、ニッチ?なサウンドを選べるのも楽しいですね。
第3位 🇹🇭 チェンマイ 8→12→3位(↑)
そして第3位は、2つのガジェットが合計得点 19P で並びました。この場合、合計得票数の多い方が、より多くのユーザーから支持されていると考えます。したがってユーザー人気 No.3 は Chiangmai に決まりました。
KORG Gadget のデビューと同時に存在し、KORG Gadget for Nintendo Switchにも搭載されている「オリジナル15」の一角。キラキラとした煌びやかなFMサウンドが持ち味です。これまではランキングの中位を推移しましたが、ここに来てトップ3入りを果たしました。一気に9位分ものジャンプアップ。
Chiangmai のストロングポイントは、魅惑的なサウンドと引き換えに極めて難解であるFM音源の音作りを、アナログシンセライクに落とし込んだ優れたエディット性能。
こちらは Chiangmai のガジェットパネルですが、OSC / FILTER と EG / AMP の2画面だけで完結しています。パラメーターを見ても、一般的なアナログシンセと同じくオシレーターから始まり、 VPM(倍音成分を決める、Chiangmai のキモとなるセクション)を経て、フィルター(本来 FM にはありえない要素)、EG…という極めてオーソドックスな構成です。そこには、FM音源独特のキャリアやオペレーターといったものは皆無。
それゆえChiangmaiは、決して本格的なFM音源ガジェットではありません。しかしこれはユーザーフレンドリーに徹した、あえての割り切り仕様だと言えるでしょう。簡単操作で気軽にFM音源の世界を味わえる。これまた実に KORG Gadget らしい配慮だと思います。その辺りの「優しさ」を改めて見直されたのが、今回ユーザーからの支持を集めた要因かもしれませんね。
以上、ガジェットアワード2021「トップ3」の発表でした。
4位以降のガジェットは…?
さてここからは、ガジェットアワード2021において TOP 10 入りしたガジェットを見ていきましょう。ちなみに今年の投票では得票数ゼロの同率18位が最下位となります。
Chiangmai と同率3位は、Phoenix(8→8→3位)が入りました。
KORG Gadget のリリース当初から名を連ねるクラシカルなアナログシンセで、ウォームかつコシのあるサウンドが持ち味。コルガジェでの曲作りには欠かせないスタメン・ガジェットですが、人気的には中堅どころといった感じでした。しかし、2021年は堂々の3位。
決して派手さはありませんが、イージーオペレーションで堅実なアナログ・サウンドが手に入るのが美点。そうした使い勝手の良さも、コルガジェユーザーから再評価された要因かもしれません。
続いて人気だったのは、生楽器系ユニバーサル・ガジェット Glasgow(14→6→4位)。この所じわじわと評価が上がってきています。Fairbanks 同様、高品位な追加ライブラリーが多数展開されているのが特徴で、その充実さと比例し人気化している印象です。
Gladstone(9→9→5位)も順位を上げました。KORG Gadget 唯一のアコースティック・ドラムですが、このたび全ドラム系ガジェットのトップに躍り出ました。
同率6位には3つのガジェットが登場。まずは昨年大躍進したアシッドマシン Chicago(22→3→6位)。2021年はわずかに順位を落としましたが、依然として上位をキープしています。
アナログドラムの Tokyo(13→7→6位)は自身最高位を獲得。4モジュール構成のドラムシンセという結構クセのあるガジェットですが、あのような表情豊かなパーカッション・サウンドは他では得ることができません。
そして、過去の投票で2連覇を果たしてきた絶対王者 Lisbon(1→1→6位)がまさかの同率6位。今回のアワードで注目トピックとなりました。とはいえ14Pという高得点を維持しており、その評価は揺るぎません。特にベースミュージック系サウンドを好むガジェットユーザーにとっては、またとない相棒であり続けるでしょう。
同率7位は Helsinki(8→4→7位)と Milpitas(9→16→7位)。奇しくもアンビエントが得意なガジェットが2つ入りました。ただし同じアンビエント向きでも、前者はストレートな胸キュン系で、後者は複雑なオーガニックさを持ち合わせます。それぞれ持ち味の異なるサウンドゆえ、決して被ることはありません。
続く Wolfsburg(5→5→8位)は若干ランクを落としたものの、ゴージャス仕様のハイブリッドシンセとして人気が定着している様子。
KORG Module 仕込みの高品位アコースティック・ピアノ Salzburg(11→15→8位)も、自己最高ランクを記録しました。やはり追加アペンドである Ivory の存在感が大きく、本格的な演奏に対応するガジェットゆえの評価でしょう。
2021年の Dublin(3→4→8位)はこの位置。KORG Gadget の象徴とも言えるアナログ・セミモジュラーシンセで、常に安定した得票数を集めます。そのファットな出音は、ベーストラックに起用する第一候補として君臨し続けることでしょう。
ワンショット・サンプラーの Bilbao(8→15→8位)。ランキング上では中位、下位、中位と推移しています。しかしローファイなドラム系プリセットサンプルに加え、5秒までのサウンドファイルをインポートし、MIDI演奏させることのできる唯一無二のガジェット。筆者的には、もう少し評価が上がっても良いのに…と思ってしまいます。
単独9位に、ナムコ音源の Kamata(7→12→9位)。これ単体にフォーカスするとまたとない輝きを放つものの、KORG Gadget にあって特異な存在感を醸し出す波形メモリサウンド。実のところ少々扱うのが難しいガジェットですが、常にある程度の票を集めますね。一定のファン層を保っている印象です。
一方、KORG Gadget きってのチップチューン・ガジェット Kingston(12→11→10位)が初のトップテン入りを果たしました。ポイント的にも5P→8P→10Pと、地道に得票数を上げています。人気が年によって乱高下するガジェットもあれば、こうした味のある?動きをするガジェットもいて、ちょっと面白いですね。
使い勝手の良いフューチャー系ドラム Recife(4→8→10位)、そしてコルガジェの象徴ともいえるEDMドラム London(7→6→10位)は、なんとか10位圏内に踏みとどまりました。共にドラムガジェットの中では4番人気。ランキング的には冴えない結果となりましたが、どちらもコルがジェになくてはならないベーシックなガジェットです。
最後のトップ10は Warszawa(ー→12→10位)が滑り込み。獲得ポイント的には今ひとつゆえこのランクですが、実際は7人が票を投じています。これは3位1ポイントを選択したユーザーが多いということですね。このあと紹介するコメントでは5人が書き込んでいて、一推しにしないまでも気になる存在ではあるガジェット…といった所でしょうか。
以上、トップ10の発表でした。
11位以降のガジェットは…?
ここからは11位から、残念ながら得票数ゼロとなった18位までを見ていきましょう。
このゾーンのガジェットは、過去のランキングとそれほど変わらない印象です。今年のトピックとしては、一昨年、昨年と得票数ゼロだったワブル番長 Miami(17→18→12位)に8Pが入り、ジャンプアップしたこと。
それと効果音サンプルタンクの Amsterdam(14→17→11位)も上向いてます。昨年の1Pから9Pに増えました。
その反面、タイトー音源の Ebina(ー→9→14位)や、ベクターシンセの Kiev(12→11→16位)あたりの下げがキツめでしょうか。また KORG MS-20 をガジェット化した Memphis(17→10→17位)は、なぜか年によっての乱高下が激しいです。
そして残念ながら得票ゼロだったのは、オルガン音源 Alexandria(17→18→18位)、セガ音源 Otorii(ー→13→18位)、ベースアンプ Durban(16→18→18位)、MIDIアウトコントローラー Taipei(11→18→18位)の4ガジェット。例年いくつかのガジェットは得票できないものですが、なんと Alexandria はこの3年の間、まだ一度も票を得ることができません。これは44ガジェット中、唯一の記録となります。
以上、ガジェットアワード2021のランキング結果発表でした。
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