シリーズでお届けしてきた KORG Gadget for Nintendo Switch 使い方特集。
初めからご覧いただいた方は、Switch版コルガジェをマスターできたのではないでしょうか。
筆者としても、操作方法や楽曲の打ち込み方などを説明し尽くした感はありましたが…ひとつ大事なことを忘れていました。
それは、シンセサイザーを使った「音作り」のやり方について触れなかったこと。

ツマミがズラッと並んだシンセは、一見難しそうで、実際とても奥深い電子楽器。しかし、とりあえずはこの記事に書いた3つの常套テクを覚えるだけで、とても多くのバリエーションのサウンドを作ることができます。
できるだけやさしく解説しますから、気楽に読み進めてくださいね。
Joy-Conで「ノブ」や「スライダー」を動かす方法

説明を始める前に、まずはNintendo Switchの「Joy-Con」を使った、ツマミ(ここからは「ノブ」と呼びます)の操作方法を押さえておきましょう。
以前の記事でも紹介しましたし、すでに出来る方は読み飛ばして結構です。
ノブを回す…Aボタンを押しながら、Joy-Conを「捻る」
左Joy-Conのスティック(または方向ボタン)でカーソルをノブへ持っていき、右Joy-ConのAボタンを押しながら捻るジェスチャーで「ノブが回転」します。
ガジェット・パネルへ行き、左スティックを使って、カーソル(水色の枠)を好きなノブに合わせてください。

右Joy-Conを、水平に構えます。

Aボタンを押しながら、右へ捻るとノブは右に回転し…

左に捻れば、ノブも左へ。

Switch版コルガジェでの音色エディットは、こうやって、リアルタイムにノブをグリグリ動かしまくるのが基本となります。この操作は、しっかり慣れておきたいところ。
スライダーを上げ下げする…Aボタンを押しながら、Joy-Conを「上下に倒す」
左Joy-Conのスティック(または方向ボタン)でカーソルをスライダーへ持っていき、右Joy-ConのAボタンを押しながら上下に倒すジェスチャーで「スライダーが上下移動」します。
スライダーにカーソルを合わせ、右Joy-Conを水平に構えて…

Aボタンを押しながら、上へ倒すとスライダーは上に、

下に倒せば、下へ動きます。

動かし方を動画でチェック!
言葉で説明すると、分かりづらいと思いますので…要するに、こう動かします。
【KORG Gadget】Joy-Con片手にモーション・プレイ!スライダーやツマミにカーソルを合わせ、右Joy-ConのAボタンを押しながら上下に動かしたり捻ったりすると、そのパラメーターを自在に動かす事ができる。優れたセンサーを持つSwitch版ならではの直感的操作感。斬新で素晴らしすぎる…。#GadgetSwitch pic.twitter.com/HRYrWEGjmB
— くらんけ@gadget-junkies.net (@Gadget_Junkies) 2018年5月2日
シンセで音作りを楽しむための「3つの美味しいエッセンス」とは?
初心者の方は、シンセサイザーを「覚える事が無数にあって、難しい楽器だ」と思うかもしれませんね。
いえいえ。なにもシンセについて、一度に全てを覚える必要はありません。
まずは簡単な音作りから始めて、シンセと親しみながら、少しずつモノにしていけば良いのですから。
ここからは、シンセの醍醐味を簡単に味わうための「美味しいエッセンス」を、3つほどお伝えしましょう。
① 「フィルター」で、音色を変える
シンセサイザーで音作りを楽しむ時、真っ先に覚えておくと良いのが「フィルター」。
ためしに、シンセ系ガジェットのフィルター・セクションにある「CUT OFF」ノブを、Joy-Conでグリグリ回してみてください。
上の実演動画では、アシッドベース・サウンドが得意な「Chicago」のCUT OFFノブを回して、リアルタイムに音色を変えています。
一つのツマミをいじるだけで、かなり大胆なサウンドメイクを行えるのが分かります。
この音の作り方は、まずピアノロール画面にて、ベタに4小節いっぱいに伸ばしたノートを打ち込み…

Chicagoのアルペジエーターを「ON」。

そして、Yボタンを押してプレイし、CUT OFFノブを回して展開をつけているのです。

このCUT OFFノブは、誰でも、簡単に音作りを楽しむ事ができる「魔法のツマミ」。シンセ初心者の方は、まずCUT OFFノブでフィルターによる音色変化の面白さを体験し、それから少しずつ他のツマミの役割を覚えていくのが良いでしょう。
ちなみに、フィルターについてもっと知りたい方は、以下の解説記事がありますので、時間のある時にお読みくださいませ。

② 「エンベロープ・ジェネレーター」で、音の立ち上がりや減衰のされ方を調整する
先ほど紹介したフィルターでは、シンセサウンドの「音色」を変えましたが、今度は「音量」をいじってみましょう。
どう言うことかと言うと、例えばピアノの鍵盤を弾くと「ポ〜ン」と鳴り響きますよね。

押さえている間は音がある程度鳴り続け、鍵盤から指を離すと音が消えます。
このような「音量変化カーブ」を波形で表すと、以下のようなイメージとなります。

この波形を生み出すのが、エンベロープ・ジェネレーター(EG)。しばしば「ADSR」とも呼ばれます。
例えば、音の出だしが「ふわっ」としたパッドサウンドを作りたければ、「Aノブ」を少し上げます。
木琴のような「コン」とスグに音が消えるサウンドが欲しければ、「A」と「S」を絞りきって、「D」をわずかに上げる…といった具合。
なお、フィルターと同じくEGもリアルタイムに変化させると、とても面白い効果が得られます。
シンセ初心者の方にオススメなのは、カットオフとEGの合わせ技。この実演動画では、CUTOFFツマミの動きを記録させた後、DECAYツマミを上げ下げして変化を付けてます。こうすればシンプルなアルペジオ・フレーズでも、単調さを回避できますよ。
Joy-Con操作がヘタでスミマセン。(^-^;)#GadgetSwitch pic.twitter.com/mrra9TXaHC— くらんけ@gadget-junkies.net (@Gadget_Junkies) 2018年5月26日
こうやって、「CUT OFF」や「EG」をリアルタイムにいじくりまくると、一気に「シンセを操っている感」が味わえますよ!
このEGについても別の解説記事があります。ADSRの各パラメーターについて、より詳しく理解したい方は、どうぞ。

③ 「LFO」で音を揺らしたり、リズミカルなフレーズを作ったり…
最後に、いかにもシンセっぽいサウンドを作れるテクをご紹介。
「LFO」というモジュレーションを、音程や音色、それに音量にをかけて、それらを「周期的に揺らす」事で、ビブラート・ワウワウ・トレモロといった効果を、あなたのサウンドにもたらすことができます。

このLFO。シンセによっては「MG」と表記されますが、まったく同じ役割。それでは実際にLFOを用い、劇的な音色変化を体験してみましょう。
例1「SEっぽいユニークなサウンドを作る」
ここでは、セミモジュラー・シンセ Dublin を使います。

Dublinはモノフォニック…つまり「単音」しか演奏することができませんが、パッチケーブルで「音の流れ」を演奏者自ら決めることができるので、音作りの自由度がとても高いシンセ。以下は、このDublinを使っての「LFO実演動画」です。
KORG Gadget for Nintendo Switchのアナログシンセ「Dublin」は、オシレーターにLFOをかけることが出来ます。MGとPITCHをパッチケーブルで繋ぎ、MGのツマミをグリグリやると、伸びやかなビブラートから「ビーム」や「サイレン」みたいな奇音まで色々作れて、面白いですよ!#GadgetSwitch pic.twitter.com/I9TP3mEJ45
— くらんけ@gadget-junkies.net (@Gadget_Junkies) 2018年5月31日
この動画では「音程」に対してLFOをかけていて、伸びやかな「ビブラート」から「レーザービーム」や 「サイレン」っぽい極端な音まで、様々なサウンドメイクを行っています。
これらの音の作り方は、まずDublinの初期音色「048: Dublin Init」を呼び出し…

画面切り替えボタンを押して、

以下のPATCHBAY画面に移動します。

そして、MG 1セクションのジャックにカーソルを合わせてAボタンを押すと…

このように、PATCHBAY INPUTSセクションの「PITCH」ジャックにカーソルが行き、そこまでパッチケーブルが伸びます。

Aボタンを押すと、MG 1とPITCHが結線されますので、この状態でMG 1の各ノブをいじってみて下さい。
例えば、動画冒頭の「プー」という味気ない音に、伸びやかなビブラートをかけるには、以下のように設定します。

ポイントは、「BPM」&「KEY」ボタンをオンにすること。そうすることで、LFOの振幅加減がBPM(曲のテンポ)と同期し、音楽的な表現が可能となります。
穏やかなビブラートを表現するため、AMOUNTノブを0からわずかに上げ、WAVEFORMで三角波の揺れを指定。
そしてFREQ(速度)を7にし、8分音符分の揺れを音程にかけています。
これ以降は実演動画を見ながら、各ノブの役割を理解して下さいね。
例2「音色変化に富んだカラフルなフレーズを作る」
例1では、LFOを「オシレーター」にかけましたが、今度はLFOを「フィルター」にかけて、音色を大胆に変化させてみましょう。
この記事のはじめで、CUTOFFノブを回しての音色変化術を学びましたね。あのノブをグリグリする繰り返し操作を、LFOくんに任せてしまおう的なアプローチです。
KORG Gadget for Nintendo Switchで「いかにもシンセ」なサウンドを作るには、LFOを活用すると良いですね。この動画では白玉コード4小節を流しつつ、フィルターにLFOをかけてアルペジオっぽく演奏させてます。LFO波形にS&Hを使えば、意表をつくフレーズも生み出せますよ。 ( ^▽^)#GadgetSwitch pic.twitter.com/Jn6d88TVtY
— くらんけ@gadget-junkies.net (@Gadget_Junkies) 2018年5月30日

Phoenixはポリフォニック…つまり、同時に複数の音を発声できるアナログシンセで、和音の演奏が可能。
この動画では、コード「CM7」と「FM7」を繰り返し演奏させながら…

ガジェットパネルのSYSTH画面で、各パラメーターを以下の通り設定。

そうしておいて、MOD / FX画面のMODULATIONセクションのノブを、リアルタイムにいじっています。

この例の目的である「フィルターにLFOをかけ、リズミカルな音色変化をもたらす」には、やはりBPM&KEYボタンを「オン」にするのが肝要。

その状態でFILTERノブを上げると、MODULATIONセクションの「LFO部分」で定めた各設定が、フィルターのCUT OFFに反映されます。
この結果が、上の動画における音色変化というわけですね。
作った音色は保存しよう
さて、今回紹介した3つのノウハウを駆使して作った、あなただけの音色。気に入ったサウンドを作ることができたらセーブして、他のソングにも使いまわしましょう。
やり方は簡単。音色名が表示されている SOUND PROGRAM の所でAボタンを押すと、メニューが表示されるのでユーザー・プリセットを保存を選択。

以下の画面に切り替わるので、ユーザー・プリセット名を入力。

これで、あなたオリジナルの音色が、そのガジェットの内蔵メモリにセーブされます。以後は、別のソングにおいても「ユーザー」バンクから、いつでも呼び出すことができますよ!

シンセの音作りについて、もっと知りたい方は・・・
今回は、シンセ初心者の方でも楽しく音色作りができるよう、3つのテクニックを紹介しました。
まずは「シンセサイザーの面白さを体験していただく」ことが目的だったので、あまり理論的なことには触れませんでした。
しかし「シンセの構造」や、「どうなると音色が変化するのか?」といった理論を体系的に覚えると、あなたのサウンドメイクの幅が劇的に広がること間違いなし。
そんなシンセサイザーそのものに興味を持たれた方向けに、Gadget-Junkies.netではシンセ入門シリーズを用意しています。

こちらも、できる限りやさしく解説していますので、次のステップを学びたい方は是非どうぞ。
それではまた。Have a nice trip. ciao!
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